SUMMER SONIC 2025で観たメンツのこと

ということで、今年もサマーソニックに行ってまいりました。

もう数年前までのようなおっさんホイホイ的な洋楽バンド系はほぼ不在、無理くりBLOC PARTYとThe Prodigyあたりが何とかそれっぽいという状況ですが、その代わりに「単独まで行く決断はしにくいが、まとまって見られるなら一度は是非観ておきたい」というレベルの方々が割と多かったので、今回は社会見学的なモードで参加した次第。


1日目で最も「社会見学」だったのがLiSAさんでしたが、「紅蓮華」を2曲目に片付けて更にぶっ飛ばしていったのがかっこよかったです。完全にハードロックの人じゃないか。
ROCK IN JAPANでふらっと出てきて、「さくら」を一発目にやった後はやりたい放題だった森山直太朗を思い出しました。

amazarashiは初期のド名曲「夏を待っていました」を開演前のサウンドチェックでさらっとやっただけなのが悲しかったですが、それでも聴けてよかった。

BLOC PARTYは、彼らを独特たらしめている重要な要素に、リズムがずれるギリギリの後ろで引っぱたく感じのドラムがあると思っている派ですが、メンバーチェンジがあってもちゃんとそういう感じで叩けるドラマーでいてくれるのが最高。

それでも初日で最強だったのはThe Prodigyでしょうか。
キースが亡くなってどうなっているかと思ったら、むしろより狂暴になっていました。
レーザーや他照明の力も借りてはいるものの、現役感とかいうレベルじゃない。「The Fat of the Land」が1997年のリリースで、アレンジは刷新されつつも未だにこのレベルで鳴っているの、とんでもない。


2日目はほぼ全日社会見学モード。
Mrs. Green Appleはさすが時代の覇者だと体で感じられる堂々っぷりと動員でしたし、FRUITS ZIPPERは抜群に可愛かったですが、これまでに自分が聴き観てきたアイドル系の音楽とは全く違う種類のものなのだということが何となくわかったし、Da-iCEはバンドの演奏が音源よりもシンプルになっていて、その分彼らの声がより映えるようになっていてその歌をバリバリ堪能できて、あまりにも軽妙なトークも含めてものすごく好感度上がるなど。

ただ、唯一今年の初出演洋楽で、事前に音源聴いて心を鷲掴みにされていたInfinity Songのライブがあんまり素晴らしすぎました。

女(Vo.)、女(Vo.&AG)、男(Vo.)、男(Vo.&EG)の4人組、サポートにキーボード、ベース、ドラムスの3人。
ブラックミュージック感はそんなになく、むしろネオアコにも通じるようなシンプルなメロディの曲が多いのですが、そんなメロディと、完璧なコーラスによるハーモニーと、アコギとキーボードが引っ張る流麗なアレンジと、「音楽の美しいところ」を束にしてそれでぶん殴りにくるような音楽。
かつ、コーラスに厚みが増すと同時にそれらが歪んだギターや激しいリズムと絡み合うことで、ただ美しいだけでない重厚さや混沌まで表現してしまう恐ろしさ。

基本は非常にオーセンティックなんだけど、実際聴いたことないタイプの音楽でした。
男Vo.のエイブラハムが常に変な踊りを踊っていることだけ問題ですが、些末です。

びっくりするくらい人がいなかったのでそれが残念でしたがこの時間、スタジアムでAlicia Keysと被っているし、MOUTAINステージでは優里と被っているし。というかJ-POPやK-POP中心に観ていた人が来ることは期待できないし。

あと、去年までのSONICステージは割と行き交う人が多い位置にあったので何となく覗いてそのまま見入ってしまうというパターンも割とありましたが、今年ステージ位置がだいぶ変わって今年はそれほど人流が多くない位置になったので、もういろいろ止むを得ない。
ということで、ステージ位置が変わったこととかは次回ですが、ただ、メンツ的にもいろいろ厳しく見えます。

サマーソニック全体としてフジロックのようなフィロソフィーを持たないことは従前からクリエイティブマンも発信していることで、それ自体は問題ではないですし、J-POPが好きな人はその出演者を追い、K-POP好きな人も洋楽好きな人も同じように追うことで1日楽しめるような構成にはなっていて、そこは本当にすごいと思うものの、それらのリスナーが交わるようなところが本当に見えなくなっていて、違うフェスを同時並行でやっているようにも感じたり。

特に今年はJ-POPの方で、王道的な出演者と早耳的な出演者がさらに分割されてきているような感じで、いよいよしんどく見えます。
もちろん運営もわかっていて、Alicia KeysのステージのゲストにJ-POP勢をAIから若手までガンガン出してきたサプライズは、そこに接点を見出してもらおうとしたのではないか、とも思います。

どんどん嗜好が細分化されていく中で、それをキャッチアップしていこうとするのにはそろそろ限界は来ています。
根本的に何か対策をする必要があるのではないかと思っているのですが、危機感を運営を持っていないはずもなく「ロッキンオンソニック」も、将来への布石でもあるでしょうし、正味自分がサマーソニックに毎年通っていいるのは、そのもがきっぷりというか運営やメンツの変遷と、それによる「場」の変化を面白がっている節があるので。
結局期待しているんです、毎年。