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【前編】武具製作者の位相文字について(ずんだもん解説)

どうも、ずんだもんなのだ😌

今回は「武具関係の位相文字」について解説するのだ。江戸時代の武具関係の史料には、しばしば難しい造字がされ、使用されてきた形跡があるのだ。

江戸時代には、職業の細分化と同時に、識字率の向上によってさまざまな語句を漢字で表記するようになったのだ。そうして社会集団内の位相語は位相文字を生み出し、定着して現代まで残るものもあれば、廃れてしまった(廃字化)ものもあるのだ。今回はそんな廃字も多く取り上げて、「武具製作者」をテーマに前編と後編にわけてお話するのだ。

武具製作関係者にも位相文字はある

武具製作関係者の中で用いられた字の中で、現役の字はたとえば「画鋲」などの「鋲(びょう)」や、「𩊱(しころ)」などがあるのだ。「鋲」は、金属製の留具を意味する国字(日本製漢字)とされ、形声の造字とされることが多いのだ。
武具製作では、「鋲」の字のほかにも、さまざまな造字をしていて、バリエーションがあるのだ。
たとえば、旁を「屏」や「并」、「平」などに変えた造字が挙げられるのだ。

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「⿰金屏」の例
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他例(⿰金屏)
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他例2
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「鉼」の例。「鋲」と混用している。
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「𨥾」の例
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他例

「𨥾」字は室町時代後期に成立したとされる『伊京集』由来のである可能性があるのだ。
ほかにも、仮借で、「釘」や「鏕」字を「びょう」と読ませたものもあったのだ。「釘」字は出典控え忘れてしまったけれど一例のみ、「鏕」字も一例のみ確認できたのだ。

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「鏕」字の例

ほかにも、「錶」という字は江戸時代から明治時代にかけて、主に往来物の資料に現れるのだ。この字は中国では時計の意をもっており、字形衝突を起こしているものと考えられるのだ。

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「錶」字。「べう(=びょう)」

武具製作では、ほかにも造字が色々みられるのだ。たとえば、兜の鉢につけて頸から襟を防御するものに、「シコロ」という語彙があるのだ。
国字とされる「𩊱」(現役で用いられている)のほか、「⿰革周」という字もあり、これらも武具製作で多く用いられてきたのだ。
「⿰革固」という字は『書言字考』(1717)などの大型節用集にも記載があるものの、確認した武具製作関連の資料には一例も見られなかったのだ。対して「⿰革周」の字は頻繁に用いられており、首の「周」りを被うものの意からの会意であるなら、こちらの字が元ではないかとも思うのだ。

また、意味を取りやすくするために、意符を換える、いわゆる「意符改換」を起こした例もあるのだ。たとえば、漢字の「錣」の意符を革へんに改めた、「⿰革叕」という造字なども用いられたのだ。

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「⿰革叕」

ほかにも、国字とされる「𩊱」の意符を、ぎゃくに金へんに改換した「鋂」という造字(衝突あり)もあるのだ。

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「鋂」の例。3例ほどあるので類化の可能性は薄い。

「𩊱」は、「シコロ」意外の用法に、「まい」と読ませる用法があるのだ。『日本国語大辞典(精選版)』を引くと、

しころ【錏・錣・𩊱】
〘 名詞 〙
① 兜の鉢につけて頸から襟を防御するもの。多くは札または帯状の鉄板を三段ないし五段下りとして威しつける。段により三枚錏、五枚錏などという。近世の当世錏には饅頭錏、日根野錏、割錏などの種類がある。
(以下略)

『日本国語大辞典(精選版)』ゟ

と、あるのだ。この、「三枚錏」「五枚錏」などの「枚」に「𩊱」の字を音読み風に当てた用法がいくつかあるのだ。

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「五𩊱」
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他例

「𩊱」字がそもそも「シコロ」の意味を持っているので、1字で済むという経済が働いているのが面白い点なのだ。「枚」と旁の「毎」が同音なのは偶然なのか、わからないのだ。

このように、漢和辞典に字が収録されていないものや、字は収録されているものの用法が載っていないものが多いのだ。これは武具製作関連の位相文字に限ったことではないのだ。
第二次世界大戦後には、漢字政策や教育の徹底などが主な背景にあり、位相文字は急激に減ってしまうのだ。そのため、このように埋もれてしまった漢字や用法が多く存在するのだ。
しかし、「鋲」のように、現代まで残って、日常でも見かけるようになったものもあるのだ。

後編では、そんな武具製作者の位相文字を多く取り上げて、一つひとつ丁寧に繙いていこうと思うのだ。
読み方が謎とされてきたその他の位相文字にについてもくわしく解説しようと思うのだ。

後編もお楽しみに😌

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【前編】武具製作者の位相文字について(ずんだもん解説)|ずんだもん
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