前回、アンプの電源電圧を高くした方がトランジスタのコレクタ容量(Cob)が小さくなると言うことでした。
ではナゼ、印加電圧でコレクタ容量(Cob)が変化するのかです。
トランジスタの構造から少し考えてみましょう。
下の図がトランジスタの簡単な構造図です。
これをダイオードで表現する事が出来ます。
それが次の図となります。
ダイオードが2個です。
このダイオードの上側に注目して下さい。
そしてダイオードの構造図が次の図です。
この絶縁部を挟んでカソードとアノード間で僅かな容量を持ちます。
この容量がトランジスタで言うコレクタ容量(Cob)と同じ容量にあたります。
この空乏層は、印加電圧を変えると空乏層の幅が変化します。
空乏層の幅が変ると言う事は、カソードとアノード間の絶縁部の距離(d)が遠くなったり近くなったりする訳です。
下の図の計算式では電極間距離(d)で容量が増えたり減ったりする事になります。
印加電圧を上げると電極間距離(d)が遠くなるので容量が減り、印加電圧を下げると電極間距離(d)が近くなり容量が増える事になります。
この原理を利用したのがバリキャップダイオード(可変容量ダイオード)です。
ダイオードが可変コンデンサになります。
コレクタ容量が多いと周波数特性を悪くし、歪み特性も悪くすると言うことです。
※補足:コレクタ容量(Cob)の非線形的な充電電流が入力信号に加算され歪みを発生させます。
特性の良いアンプを作る場合は、コレクタ容量(Cob)の小さいトランジスタを採用して電源電圧を高く設定しましょう。
でもコレクタ容量(Cob)の小さいトランジスタ(2SA872/2SC1775,2SA1016/2SC2362)はなかなか入手出来ません。
次回は、コレクタ容量(Cob)の影響を無くす方法を考えましょう。
コメント
コメント一覧 (4)
なるほど
分かり易い解説でやっと理解できました
問題は
悲しいかな音の良い素子は、
どんどんなくなっているという事ですね
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コレクタ容量(Cob)は色々と悪さをするので、これを抑え込む必要が有ります。
オーディオ用に適したトランジスタは残念ながら製造中止品になっています。
オーディオ全盛期の時とは違いますからしょうがないのでしょうねぇ。
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オーディオ用途の半導体市場、ましてや高音質を追求した市場は非常に狭くなっていますので、半導体製造メーカーもそれらの部品を作るメリットが薄れているのでしょうね。
現在市場に出回っているものでも、いつまで供給されるのかわかりませんね。
オペアンプなどの中で、オーディオに適した物を探して使うしか手が無くなってしまうのかも知れませんね。
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需要と供給の世界ですので、儲からない半導体は作らないし、オーディオもヘッドフォンオーディオが中心になりそうですし、寂しい限りです。
また、電子回路もFPGAでソフトで回路を組む時代です、半田ごても要らなくなりますね。
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