東京新聞社会部の望月記者が自分の人生に影響を与えた本や感銘を受けた本を紹介します。
今回は「ある裁判の戦記 竹田恒泰との811日間の戦い」(山崎雅弘著、かもがわ出版)です。
◆勝訴しても、時間とお金がかかる裁判
先日、私が被告となった民事裁判の高裁判決が確定し、私の完全勝訴(訴訟費用もすべて原告負担)で終わった。経緯を簡単に説明すると、2022年末に出演したラジオ番組で、私が「女性支援団体がネットで誹謗(ひぼう)中傷を受けたとして40代男性を提訴した」「ネットでは、事実無根の内容がくり返されていた」というニュースを紹介した。すると、この男性が「ラジオで名誉感情を傷つけられた」とわざわざ私を訴えてきたというもの。
私は元々、司法記者なので、名誉毀損(きそん)を含めて多くの裁判を取材してきた。相手方の代理人弁護士から届いた訴状はこれまで見たどの訴状よりもわかりづらく、本人訴訟(弁護士をつけない裁判)と思うような代物だった。「提訴自体が目的で、勝ち負けにこだわっていないのでは」と疑った。
だが、どんな裁判でも判決まで時間がかかる。勝訴すれば弁護士への成功報酬が別途、必要だ。ラジオ出演は記者の本業ではないので、会社が裁判費用を出してくれることもない。自分の蓄えを崩すことになるが、金銭的なダメージを与えることが狙いならば、相手の思うつぼだ。
「やれやれ、どんな段取りで進めようか」と思っていたところ、ヒントになったのは本書「ある裁判の戦記」でまとめられている、戦史・紛争史研究家山崎雅弘さんの裁判だった。スラップ裁判(SLAPP=言論封殺のため萎縮効果を狙った裁判)への対抗策としてぴったりなのだ。
◆言論の萎縮につながるスラップ訴訟の問題
著者の山崎さんは2019年11月、富山県朝日町の教育委員会が明治天皇の玄孫・竹田恒泰氏を招いた講演企画について、X(当時Twitter)で批判。竹田氏の過去の投稿を紹介しつつ、「教...
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クドトモ 1 時間前
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すとっく 2 時間前
望月さんを相手にした裁判がこんなに(?)あったとは知りませんでした。女性支援団体はコラボの件でしょうか。
この男性は、弁護士の伊藤和子さんとか、ほかの複数の女性たちにも言いがかりのような裁判していました。コラボへの名誉毀損罪で在宅起訴されていたかと思います。
立花孝志氏に言いがかりのような裁判を仕掛けられた望月さんも、ネットで個人攻撃を受けて持ち場を替えられた兵庫県担当の時事通信の女性記者もそうですが、こうした嫌がらせで記者の口を封じ込めようとするのは、報道の萎縮にもつながると思います。メディア業界全体で対策を考えてほしいです。
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