小さなオンライン書店から始まったAmazonは、世界中でサービスを展開する“巨大企業”に成長した。日本に進出したのは約25年前。2000年に「Amazon.co.jp」がスタートし、「置き配」「Amazonポイント」「ふるさと納税」など日本に合わせたサービスを拡大してきた。
2017年にはパーソナルAIアシスタント「Alexa」が日本語に対応。日本政府や名だたる企業が利用するクラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)を巡っては、2027年までに2兆2600億円の国内投資を予定するなど、ビジネスを意欲的に拡大させている。
私たちの生活に密着したサービスを提供しながら、挑戦を続けるAmazon。成長を加速させるために、Amazonの日本法人であるアマゾンジャパンは新たな人材を積極的に採用中だ。しかし、Amazonの内側が知られていないために「普段利用しているけど自分には縁遠い企業」と捉えている人もいるだろう。
Amazonのビジネスが私たちの生活や社会にどのようなインパクトを与えているのか。Amazonのイノベーションはどこから湧いてくるのか。Amazonで働く価値は何か――キーパーソンに聞く。
「Amazonの日本法人」と聞くと、ECサービスの運営や物流に携わる企業像をイメージするかもしれない。アマゾンジャパンで広告事業の採用を担当する石井亨さんは「ECや物流だけでなく、Amazonのあらゆるサービスを国内展開するための拠点です」と語る。
アマゾンジャパンが手掛けているのはECサービスだけではなく、動画配信サービス「Prime Video」や音楽配信サービス「Amazon Music」をはじめとするエンターテインメント事業、電子書籍リーダー「Kindle」やスマートスピーカー「Amazon Echo」などのデバイス事業、パーソナルAIアシスタント サービス「Alexa」、法人向け広告サービス「Amazon Ads」など多種多様なビジネスを手掛けている。AWSはクラウド事業をリードする立ち位置だ。
「本当にいろいろなビジネスが1つの会社内に集約されており、何らかの形でつながっています。そこからコラボレーションが生まれてイノベーションに通じるのです。日本発のイノベーションも多数あります。何百という職務ポジションがあり、自身のスキルを生かせる場所がきっとあるはずです」
Amazonのビジネスが持つ醍醐味(だいごみ)を感じられるのが、広告ビジネスを手掛けるAmazon Adsだ。石井さんは「広告事業は爆発的に成長しており、Amazonの経営陣は『第二の創業期』と位置付けています」と言う。
Amazon Adsはこれまで、Amazonに並ぶ商品の購買を後押しするデジタル広告を主軸にしていた。2025年、Prime Videoで動画広告を開始したことでブランディング広告の領域に進出。ブランド認知のための金融や旅行といったAmazonのECでは取り扱いのない商品、サービスの広告出稿が急増した。
「Amazonの購買データから関心層を見つけ出し、その層に向けてPrime Videoの動画広告やAlexaの音声広告、『Fire TV』のトップページをジャックする広告などで認知を高めます。AWSを基盤とした『Amazon Marketing Cloud』では、Amazonの膨大な顧客データとユーザー企業独自のデータを組み合わせることで、より精度の高い分析を可能にし、新たな施策につなげられます」
このようなAmazon傘下のサービスを横断的に活用し、事業を飛躍させる点が、Amazonのビジネスの面白いポイントだ。広告施策がデジタルでつながるため、ROI(投資利益率)なども検証しやすい。これまでは広告を売る営業職を求めていたが、現在はさまざまなサービスを統合して提案できるコンサルティング能力に長(た)けた人材が必要だと石井さんは熱望する。
Amazonサービスの日本展開、その裏側にも物語がある。例えば「Amazonフレッシュ」は、生鮮食品や日用品を最短2時間で配送するサービスで、新鮮な商品を少しでも早く手にしたいという日本人のニーズに合致した。一方で、日本に展開する際には苦労があった。生鮮食品を取り扱うためのルールや食品業界の慣例に従う必要があり、「『ものすごく大変だった』と聞いています」と同サービス責任者の声を石井さんが代弁する。
「大変だった一方で、Amazonフレッシュが多くの人に利用されていることが非常にうれしかったようです。Amazonは『何かを成し遂げたい』という人が活躍できる会社です」
商品購入時に付与される「Amazonポイント」も、ポイント好きの国民性に合わせたものだ。直近では、小さな商品を配送する際の過剰梱包(こんぽう)をなくすための梱包機械を開発したという。
「アマゾンジャパンが日本で25年間にわたって成功を続けられたのは、日本のお客さまのニーズをしっかり把握し、それをベースにサービスを提供してきたからに他なりません。米国本社の方針をそのままローカライズするのではなく、『お客さまにとっての価値は何か』という問いを起点にして考え、行動に移せる点がアマゾンジャパンの強みです」
アマゾンジャパンの従業員がチャレンジに前向きなのは、従業員の行動指針である16カ条の「リーダーシップ・プリンシプル」(LP:Leadership Principles)が根付いているからだ。「顧客を最優先に考える姿勢」「オーナーシップを重んじるカルチャー」などが浸透しており、顧客提供価値やデータなどから「なぜそれをやるのか」を説明できれば、やりたいことができる環境だと石井さんは説明する。
「LPが人事制度の根幹になっており、人事評価にも採用基準にもLPは使われております。Amazon創業時にジェフ・ベゾスが掲げたLPが今でも生きていることがすごいです」
LPは、キャリアチェンジの活性化にも寄与している。LPが社内の共通言語になっているため、新しい部署になじみやすいのだ。AWSジャパンで採用を手掛ける小川璃紗さんは次のように話す。
「社内で空いているポジションが公開されており、気軽に応募できるためキャリアチェンジが活発です。会社都合の異動ではなく、自身がやりたいことに挑戦できます。それを止める上長はおらず、むしろサポートする立場です」
「音楽が好き」という理由でAmazon Musicチームに異動した人、「ワールドカップを見たい」と言ってブラジルに転勤した人、などやりたいことを追い求める人が多い。アマゾンジャパンでITエンジニアとして活躍していた人がAWSジャパンに異動したり、Alexaチームにいた人がAWSジャパンに移ったりするのは日常的だという。「機械学習を突き詰めたい」として同じ部署でスペシャリストを目指す道もある。
「多種多様なビジネスが集まっているため、社内の異動が『転職』のようなものです。営業という職種だけでも、クラウド、広告、コンテンツなど、本当にさまざまな選択肢があります。キャリアを決めるのは自分自身なのです」
アマゾンジャパンとAWSジャパンは、イノベーションの源である「人」に対する投資を惜しまない。キャリアアップを支援するためにトレーニングメニューを多数そろえており、ITやビジネスについて学べる。最近は生成AIに関するトレーニング資料や学習講座などが大量に用意されている。社内で使えるAIツールも数多くそろえられている。
働きやすい環境の整備に取り組んでおり、眺望が良いカフェテリアやシャワールーム、仮眠室、ヨガなどの運動に使えるスタジオなどを東京・目黒にある本社オフィスに完備。雑談からイノベーションが生まれたり、新しい関係を築けたりと対面ならではの良さがあると小川さんは話す。
職種によってはコアタイムがないフルフレックス制を採用しているため、自身の都合に合わせて働ける。午後4時に一度退勤して家事や育児を済ませてから残った仕事に取り組む人も多い。介護と仕事を両立させているメンバーも多い。
「福利厚生に加えて、ITエンジニアにとってちょっとユニークな特典もあります。担当業務にもよりますが、AWSジャパンで働くメンバーには業務用AWSアカウントが無料で発行されます。クレジット(利用料金)を気にせずスキルアップのために利用できるので、エンジニアにとって魅力的だと聞いています」(小川さん)
アマゾンジャパンとAWSジャパンは成長が著しく、「採用ポジションがどんどん出てきている」(小川さん)ためキャリア採用を強化している。専門スキルを持つ人材も必要だが、それ以上に「挑戦マインドがある人」を重視しており、LPに共感できることが最も重要だと小川さんは説明する。
今後のキャリアを考えるとき、過去の経験の延長線で考えることが多い。それが自身のキャリアを狭めてしまうかもしれない。アマゾンジャパンやAWSジャパンには多種多様なポジションが用意されており、入社後にキャリアチェンジすることも可能だ。日頃使っているAmazonサービスの裏側には、あなたが思いもしない活躍の舞台があるかもしれない。
「本が買えるようになり、生鮮食品が買えるようになり、広告事業が成長し、クラウド市場が拡大し、生成AIが勢いを増しています。次のイノベーションを起こすのは、この記事を読んでいる方かもしれません」(石井さん)
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2025年8月18日