大阪初出展、客の列27時間途切れず…北九州自慢「資さんうどん」の濃いダシは関西でも受けた
北九州市で生まれた「資(すけ)さんうどん」は、もちもちとした食感の麺とこだわりのダシで仕上げたうどんをはじめ、おでんやカツ丼、ぼた餅など豊富なメニューで人気を博している。地域の「ソウルフード」として親しまれてきたが、近年では関西や関東にも出店。全国でファンの裾野を広げている。(畑中俊) 【画像】今福鶴見店をオープンさせ「心を込めて作ったものは、どこに行っても受け入れられる」と胸をなで下ろした藤田さん(左)と店舗でファンの声に耳を傾けるという伊藤さん(大阪市鶴見区で)=宇那木健一撮影
「守り続けた味は、関西でも変えない」
2023年春頃、大阪に進出する計画を巡り、社内で幹部が熱弁を振るった。資さんのうどんは関西風のうどんに比べ、もちもち感があってダシも甘い。店舗は福岡を中心に展開してきたため、大阪への出店は会社にとって大きな意味を持つ。
出店地域の好みにあわせて、商品の味を調整するチェーン店は珍しくない。だが、資さんには50年近く受け継いできた味を変えるという選択肢はなかった。
一方、新たな課題もあった。関西では知名度がなく、店の名前をどうにか知ってもらわなければならない。営業部長の藤田昌平(42)は「とにかく食べてもらうしかない」と腹をくくった。
その年の夏から、大型量販店や百貨店にキッチンカーで出向き、「これが資さんのうどんです」とテスト販売を繰り返した。
そして、11月20日午前10時、今福鶴見店(大阪市鶴見区)が24時間営業でオープンした。客の列は、27時間にわたって途切れることはなかった。藤田は「心を込めて作ったものは、どこに行っても受け入れられる」と胸をなで下ろした。
うどんの原点は、創業者の大西章資(しょうじ)(15年死去)が作り上げた至極の一杯にある。
ダシは、大西が創業時に2年がかりで生み出したものがベースで、サバや昆布、シイタケなど、何種類もの素材による味わい深さが売りだ。製鉄の街・北九州が発祥のため、工場労働者らに好まれるよう濃いめの味となっている。
メニューも豊富で、うどんのほかにも丼やおでんなど、トッピングを含めて150以上の商品がそろう。ぼた餅は「濃いうどんを食べた後にちょうどいい」として評判を呼び、ブランドを象徴する一品となった。