DeNA・竹田祐「やるべきことができたので100点」 2度の指名漏れを経験の26歳がプロ初勝利
(セ・リーグ、中日0-6DeNA、19回戦、DeNA13勝6敗、16日、バンテリンD)DeNAのドラフト1位・竹田祐投手(26)=三菱重工West=が先発し、プロ初登板で勝利を挙げた。前日15日に急きょデビューが決まる中、7回2安打無失点と快投。ドラ1投手のプロ初登板先発での勝利は、球団では2006年の山口俊以来19年ぶり。クライマックスシリーズ(CS)進出を争う中日との直接対決に2連勝し、ゲーム差を4に広げた。 突然巡ってきたチャンスをつかんだ。前日まで2軍戦の登板に備えていた竹田が、急きょ1軍デビューを飾ってプロ初勝利。ウイニングボールを手に笑みを広げた。 「すごく緊張したんですけど、いい投球ができて良かった。やるべきことができたので100点だったと思います」 先発予定だったケイが腰の違和感を訴えたことで、ドラフト1位の新人右腕に白羽の矢が立った。前日の夕方に横須賀市の球団施設で連絡を受け、名古屋入りしたのは夜11時。大阪から家族を呼び寄せ、せわしなく迎えたデーゲームにも「あんなに大勢の人に応援してもらいながら投げるのは経験できないようなこと」と胸が躍った。最速は150キロを計測。カーブを交えて緩急を駆使し、内外角も広く使った。四回は上林を直球、細川をフォークで連続三振。許した安打は単打2本で三塁すら踏ませず。打線の援護も受け「回を追うごとに緊張がほぐれて、楽しく投げられた」と7回90球の満点投球を振り返った。 プロ入りの壁は高かった。大阪・履正社高、明大、三菱重工Westと名門チームで活躍しながらドラフト会議では大学4年、社会人2年目と2度の指名漏れを経験。「もういいかな」と諦めかけたとき、明大で1学年上だったDeNA・入江に電話を入れた。「駄目でした」と伝えると、「来年行け」と背中を押された。 「一緒に野球をやりたいですと、(入江に)ずっと言っていた。頑張れと言ってくれたのが大きかった」と竹田。プロでも同じチームになると、2軍での登板を入江に全て映像で確認してもらい、助言を仰いだ。イースタン・リーグ14試合に先発して2勝5敗、防御率3・23。即戦力として期待されながら直球の出力が上がらず、2軍初勝利は7月だった。SNSの容赦ない意見は嫌でも目に入ったが、「見返せばいい」と練習に励んだ。 26歳の苦労人の躍動を三浦監督は「言うことなしです。最高のデビュー戦でした」と手放しでたたえた。CS進出を争う中日に2連勝。ゲーム差を4に広げ、2位巨人には1・5差に詰め寄った。「次が大事。自分のやるべきことをやれば勝てると思う」と竹田。背番号12がハマのエースへの道を歩む。(阿部慎)