【考察・提言編】2025/8/13夜:万博会場で帰宅困難になった話
昨日記事にした、万博会場で帰宅困難になった話は、ある意味当日の行動記録的なものとして、なるべく時間をおかずに記事にしました。(前回の記事はこちら)
今回は、その記憶が覚めないように、また、政府(万博担当大臣さん)や大阪府知事さんや、メディアなどを含めて様々な人が、今回の件を検証しなくては・・と仰っている状況でもあるので、私の書いたこちらの記事をベースに、
①自分自身の反省点、ユーザー・来場者目線で気を付けるべきところ
②そもそのの運営上の課題点・改善点と思えるところ
③当日のオペレーションの課題点
みたいなところを考えてみましたので、ご参考にお願いします。
■1 まずは当日の自身の行動を反省
昨日の記事からいくつか文書を引用します。
実は、本当はこの時間に実家に帰るなら、夢洲駅から地下鉄ではなく、シャトルバスを予約するべきかな・・とも思ったのですが、一度くらいは万博のメインルートの地下鉄に乗ってみたいなと思って今回はこちらのルートを選択した
実は、今回の帰宅困難者になってしまった一番の敗因はここです(苦笑)。遅い時間まで会場に滞在する予定があるなら、最初から時間通りに帰れそうな交通手段・・すなわち西ゲートからのバスの予約などを事前にしておかなかったのがこと、に尽きます。
■2 とはいえ、ちょっと待ってよ!!
そうはいいつつ、会場で繰り返しアナウンスされていたのは、以下の内容です。
①西ゲートからのバスは、混雑時間帯は完全予約制にしている。
②予約なしの人は、西ゲートを出て並びに行っても乗れない可能性。
③西ゲートを出てしまったら、東ゲートに歩くことは不可。
④予約なしの人は、別の交通手段で帰ることを考えてほしい。
ということは、バスを予約しそびれた人は、西ゲートから出ても帰る手段を失ってしまう可能性が高いので、予約のいらない東ゲートから地下鉄で帰ってね。と暗に言っているような感じに聞こえてしまいます。
ということで、事前に帰りの交通手段まで想定できず、予約していない人は、その時点で東ゲートで長時間並ぶことがマストになってしまう状況になっているのです。
■3【提言】西ゲートからのバスを、もっと増やしてほしい!
ここで、提言。そもそも、今回の事象が起きた原因は、
①西ゲートからの交通手段を段取りできていないと、必然的に
東ゲートから地下鉄を乗らざるを得なくなる。
②とはいえ、西ゲートのバスの予約枠が少なすぎるので、人が多い時間は
かなり早めに予約枠が埋まってしまう。
③予約には、「Kansai MaaS」というアプリが必要なので、その使い方を
知らない人(初心者や、デジタルツールを使いこなせない人)は、結局
事前予約をどうしたらいいかすらわからない。
④そもそも、人の多い会場で、事前に帰る時間等の行動予定を決めること
すら、無理な人が多いのではないか。
というような背景から、結果的に事前予約の交通手段を得ることができず、東ゲートから地下鉄に「乗らざるを得ない」人が集中してしまう、ということにあると思います。
満員になっても、定刻まで発車を待たされます。
西ゲートのシャトルバス、実は結構愛用していたので知っていますが、正直言って輸送力を持て余している状況だと思います。今のオペレーションは、5分毎の定刻にならないと、発車させないシステムですが、これをお客さんが満員になったらその時点ですぐ発車させる、とか、お客さんがあまり来ない時点で、次のバスがスタンバイできそうなら、すぐに発車させる、というような、ピストン輸送の形態をとれば、もう少しバスの輸送力が増えるし、予約枠も増やせるし、所用時間も少なくできるので、予約枠を増やせるのではないでしょうか。また、臨時増便等もどんどん行い、当日でも予約枠をどんどん増やせると良いと思うのですが・・。そういう工夫をして、夢洲駅の混雑を少しでも回避できる取り組みが欲しいと思いました。東ゲートがだめなら、西ゲートからの代替手段がある(その反対もそうなのですが・・)という体制が欲しかったな、と思いました。
■4 東ゲートから夢洲駅に向けての誘導体制
この日は仮に電車が動いていたとしても、
想像した以上に沢山の人の列が果てしなく続き、暑い中疲れている人たち、とりわけお子様連れや高齢者がいるグループは、かなりしんどそうに列に並んでいる状況でした。
と思う人が多いと思うのですが・・。
はい、東ゲートに向かう人の列が、かなりシビアな状況になることくらいは、事前に想定できるはずですが、この状況になることを、会場に来る人はどの程度事前情報がインプットされているでしょうか??こんな感じで、来場する人に、きちんと会場へのアクセス手段の状況などを事前にイメージしてもらう必要がありますが、それがちゃんとできているのでしょうか?
また、いざ夢洲駅に向かう人の列に巻き込まれましたが、「ここからこんな風に列が続く」「ここから並んだら、おおよそ目安で何分くらいかかる」「具合が悪くなった人は、こういう風に連絡してね」というような配慮が足りていないような行列スタイルでした。もう少しそういう配慮ができる誘導体制を構築してほしかったと思います。
■5 会場に戻すということについて
さて、東ゲートを出て長蛇の列になり、動けなくなった行列に、「電車は動かないから、一度会場内に戻ってください」というアナウンスがされます。その時は、
その頃、身動きが取れなくなった人たちからも、「会場に戻りたい」という声が出始めていた頃だったので、戻れるんだ、と思って動き出す人がいたのですが、逆に、「もう少しで電車に乗れるはず、ここを動きたくない」「タクシーを呼べばいいんじゃない?でも来るかな?」みたいな会話をする人たちがいて、群衆の中には、「指示通り会場に戻る人」「その場を離れたくない人」「会場には戻りたくないけど、どこかに動きだしたくなる人」がいる状況でした。
こんな状況でした。家族連れの方などが、群衆の中で苦しそうだったので、広々として、水やトイレもある場所に戻れるのは、ある意味ありがたかったです。2011年の東日本大震災以降、帰宅困難になった場合は、「その場に留まることができる人は、留まることを検討するのも一案」という教訓があり、留まる人が多く出ることを想定した、対策が取られていたのだと思います。場内に戻ることで、水分補給や、トイレなどの滞留者として必要なインフラは整った場所に滞在することができました。とはいえ、パビリオンなど、建物内の開放や、オフィシャルの方からの飲料水の配布、トイレの場所などの情報を示すことなどは、皆無であり、周囲のパビリオン、お店の状況を自身で確認することが頼りでした。
■6 会場内外でのアナウンスについて
会場に戻ってきたことで、自分も含めて、周囲の方も、「今ここで会場に戻ると、島からは脱出できても、今日は自宅などの場所に公共交通手段で帰ることができないかも・・」という気持ちがよぎったかもしれません。私自身は、帰宅を諦めて、大阪市内に宿を予約することができたのですが、そう簡単にいかない人も多かったでしょう。そういう人もいるのに、地下鉄の運転再開見込み、地下鉄からの乗り換え路線の状況などの情報が全くと言っても良いほどアナウンスされませんでした。私は、大屋根リングの下で座ることができてから、XなどのSNS情報でそういう状況を少しずつ知るようになり、鉄道マニアならではの情報を色々と得ながら、公共交通の状況を少しずつ知ることができたので、安全に脱出できる方法にたどり着くことができたのですが。正直なところ、会場内のアナウンスは、群衆が一つの場所に動くことが無いように、正しい情報でも、「あえて」アナウンスしなかったのかもしれない・・と思ったりもしました。ある意味、会場内でパニック等が発生しないための配慮だったのかもしれませんが、むしろパニックを起こさないような情報伝達方法には、課題を残したと思います。
■7 西ゲートからのバスと、桜島駅からのJR
私自身は、大阪市内中心部に宿を確保し、あとは会場から市街に向かう交通手段があれば・・という状態であり、西ゲートから臨時バスが出発し、JRが終電延長をしてくれている、という情報が入ったので、それは行かなければ、と思って西ゲートに向かいました。その時、会場内で西ゲートからバスが出始めた、というようなアナウンスは無かったので、恐らくバスに乗れたのは、たまたま西ゲートに居合わせた人や、私のように情報にありつけた人に限られました。西ゲートからのバスは、観光バスを含め、色んなバス会社からバスが駆り出されている状況でした。タクシーも本当に沢山の台数を見かけることができました。が・・、そういう状況であっても、アナウンスが無かったのです。桜島駅からの電車は、終電の時刻を2時間以上過ぎても、出発せずに駅に待たせてくれていました。その電車は超満員になって出発すると思いきや・・・、そんなに多くの人は運ばなかった状況でした。桜島線が動いていても、そこからどこまで帰ることができるのか?という情報は、今一つわかりませんでした。JRの大阪環状線を動かしてくれるという情報はわかりましたが・・。この状況では、やはり大阪市内に帰る人以外は、もし動いたとしても、なかなかシビアな状況になってしまいますね。結果的に、会場から脱出できる交通手段をある程度確保できていたものの、あまり積極的に誘導することは行われず、結果的に輸送力をやや持て余す感じになった気がします。
■8 情報の伝え方、伝わり方
会場内で目にしたのは、何が起こったのかわからない、外国人観光客や、大阪の地理に詳しくない旅行者、などです。外国人観光客は、日本語のみのアナウンスの意味を(当然)理解していなくて、何が起きたのかを周囲の人に英語で聞くようなことをしている状況を見かけました。また、大阪に来た旅行者は、「自分が予約しているホテルにどうやったらたどり着けるかわからない。」というような話が聞こえてきました。私自身が話しかけた人も、「上本町のホテルに滞在しているけど、動いている交通手段でどうやって行くのが良い?」というような質問をされ、近い大阪環状線の駅をご紹介することなどをしました。そういう人にどのように情報を伝えるべきか?スマホの電池が切れてしまった人、視覚・聴覚等に障害を持つ方などに、的確に情報は伝わったか?と思うと、そこは色々と課題が残ったのだと思います。
■9 この状況を経験した教訓
自分自身がこの状況を経験した教訓をあえて書きます。
①自分の身は最低限自分で守る・・会場に遅くまで滞在した場合、交通機関が乱れたらこうなる、という状況はある程度予測できたはずです。やはり予約制のバスなどを段取りしておくか、遅くならないうちに帰宅する、という対策が必要だったと思います。
②スマホの充電はやはりとても重要・・今の時代では、いかに情報を得ることができるか?ということがやはり重要だと再認識しました。モバイルバッテリーの確保などで、いざという時に使えるようにしておくべきです。
③水分・食料は最低限持っておくべし・・自分自身は、手元に水分補給できるペットボトルや、いくつかのお菓子を持っていたので、滞留者になったとしても、一応安心できる状況でした。こういう備え、やはり大事だなと再認識しました。
■終わりに
今回の教訓は、「いつ災害が来るかわからないので、それに備えた動きをするのは、実はとても重要」ということなのかな、と思いました。大規模イベントの運営に関しては、群衆を落ち着かせる対応も大事ですが、きちんとした情報開示もとても重要と思いましたが、その面ではちょっと課題が残ったかな、と思いました。
今回の記事は、あくまで私の経験等による私見です。「それは違うだろ!」などと思う方もいらっしゃると思いますが、あくまで一個人の意見として、見ていただけると幸いです。
コメント
6ヤマダナガヲさん>
情報を正確に流すことって、やっぱりとても大切だと再認識しました。鉄道や道路の情報も、それぞれSNSや公式HP等で色々と流れますが、迅速性やわかりやすさ等に課題があると思います。(今回もそれを痛感しました・・)そういう情報を的確に流せる仕組み、もう少しアップグレードできれば良いと思います。
土偶子さん>
多分いろんな情報発信手段やそのインフラも整ってはいるとおもいますが、「迅速でタイムリーな」情報伝達という意味では、課題があるのでは、と思いました。今回は幸いにして、そこまでパニック状態にはなっていなかったと思いますが・・。色々と改善の余地はあると思います。
コスモスクエアとの折り返し運転をほとんど案内しなかったとの報道。コスモスクエア駅からのニュートラムの輸送量を考えると積極的には、無理と思いますが、自動運転の強みには、頭が下がりました。
東ゲートに人が集まるのは、輸送力と利便性から必然でした。
コスモスクエア駅にうまく誘導できれば、もう少しスムーズに処理できたのかもと思いました。
タクシーは、運良く乗れればの世界でしたね。
中には、歩いて道路の夢洲大橋を渡った人もいたとか。桜島駅まで5.6kmと出ました。
西ゲートから、バスで桜島駅までアクセスできたのは、ラッキーと思います。バスも輸送力は、高くないですから。JRも終電延長をしていたり、連係は、できていたと考えます。
朝まで会場内に留まるのも考えものだし、選択肢は、いろいろあったと思いますが、鉄道マニアなど詳しい人でないとなかなか大変かと思いました。
外国人の皆さんは、どんな状況だったのでしょうか?
会場内のパビリオンで対応するところがあったり、緊急時に素晴らしいことと思いました。
akiKAWAさん>
恐らく舞洲⇔コスモスクエアの折り返し運転も、通常ダイヤと比べると輸送力があまりに小さいですし、西ゲートからの交通も、そこまで輸送量が確保できないので、積極的に案内できなかったのでしょうね。歩いて脱出するのは、理論的には可能でしょうが、熱帯夜のような暑い日で、万博会場を満喫した体には決して現実的ではないと思いました。
西ゲートからのバスに乗せてもらえたのは、ある意味とてもラッキーな展開だったと思います。