母子家庭出身&塾なしで灘高等学校に8カ月合格したノウハウ
自己紹介
はじめまして。現在灘高等学校に在学中の開闢(かいびゃく)と申します。
この記事は塾に通えない、または塾に通わないハンデを自らに課す戦士たちに向けて、先人の経験を共有する目的で作成されたものです。
まずわたくしの生い立ちから紹介していきます。長いので、興味のない方は飛ばしていただいても支障はございません。
幼少期
私はある地方都市に生まれ、シングルマザーながら教育熱心な母のもとで育ちました。教育熱心と言っても、子供を勉強漬けにするようないわゆる毒親ではありません。四則演算や分数の概念などを2歳~6歳ごろまでにマスターさせ、勉強の基礎を築き、それからは自発的な勉強をさせる、という教育理念がありました。そのおかげで今でも数学にはそれなりに自信があります。
中学受験
さて、私が11歳になったころには、中学受験の存在を知り、興味を持つようになりました。当時は全国統一小学生テストで2教科県1位を5度連続でとるなど、健闘している時期でした。しかしやはり母子家庭、塾通いどころか問題集すら多くは買えず、地元の国公立(どちらかはあえて書きません)中高一貫校に進学することになります。経済状況のせいにするつもりはないですが、やはり受験期には少し私立中コンプレックスを抱きました。
そんな中、私が中2のころ母が国家資格を獲得、経済的に安定しました。これでとうとう私立高校への進学や塾通いが可能になります!…結局塾は通いませんでしたし、参考書はほとんど中古で揃えましたがね。
中学在学中はトップクラスの成績をキープしていたため、高校受験で内部進学を蹴って灘高校を受験することを決めました。中36月のころの話です。
当時の学力としては、数学・英語は中学範囲の基礎が固まっており、理科は天体以外はOK(天体は中受以降手つかず)、現代文はともかく古文はほぼノー勉、といったところでした。
受験対策
英語
私が受験を決める前から、灘高の英語は非常に難しいという話を耳にしていました。なので計画的に努力しなければと考え、主に夏休み中は英語に多くの時間をささげました。
まずは文法、と思い7月初旬から英文法ポラリス1を用いて基礎を固めました。良書です。多分初手でポラリス以外の参考書を手に取っていたら落ちていたのではないでしょうか?
1カ月ほどで2周し、次は英文法ポラリス2およびシステム英単語を並行して進めていきました。英文法ポラリス2が一周できたころ、英文解釈に手を付けることになります。
解釈用として私が使ったのは基礎英文解釈の技術100ですが、強くお勧めできるかというとそうではないかもしれません。私は4周ほどして音源まで貪りつくしたので超強力な解釈力がつきましたが、今用いている竹岡先生の英文熟考のほうが好みです。
基礎英文解釈の技術100が1周できたころ、シス単はStage3の半分程度にまで到達しており、とうとう英語長文に手を出すこととなります。私は非常に多くの長文参考書を使ったのですべては紹介しきれませんが、関正生のThe Rules3や英語長文レベル別問題集5あたりのレベルの参考書をすらすらと蹴るレベルにまで仕上げました。同時並行で英熟語ターゲット1000も進めました。
結局、リスニングや英作文に対して特別な対策を行うことはありませんでした。現在大学受験対策として用いている竹岡氏の基礎英作文問題精講はおすすめです。
それと英語に関しては独自の勉強法のようなものはありません。単語は根気よく読みまくって覚えたし、長文はなるべく速く読むことを意識しましたが基本は多読精読の精神でかぶりつきました。英語には近道はないような気がします。
最後に英語のおおよその勉強時間を載せておきます:
6月~夏休み前:平日2時間、休日2時間
夏休み:毎日3時間
9月~12月:平日1時間、休日2時間
1月以降:毎日1時間
数学
灘といえば数学、という印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、高校入試ならばそこまでといったところです(あくまで中学の算数と比較して)。まずは最高水準問題集特進中3数学を用いて基礎の最終チェックをしました(大層な名前がついていますが、難しさは『高校への数学』における難易度A~B程度の問題が多いです。)
次に高校への数学シリーズの日々のハイレベル演習を使って発展問題に当たりまくりました。しかしこれは今考えると愚策だったかもしれません。最高水準特進問題集との接続が悪く、初めてすぐは難易度の差や特徴的な解説の理解にかなり苦労しました。皆さんには月刊高校への数学などを用いて間を埋めることをお勧めします。
とはいえ一度慣れてしまえば日々のハイレベル演習は最強クラスの武器になります。私が間違えた問題は3周~4周しました。
最後の最後まで日々のハイレベル演習には付き合ってもらうことになりました。それくらい汎用性・難易度ともに優れた問題集です。ぜひ活用しましょう。
数学についてはとにかく楽しんでやることが大切です。時間を測ってタイムアタック感覚で取り組んだり、友達と一緒に解いたり、気分がノらないときは音楽もガンガンかけました(集中したいときは切ります)。
あとは時間も大切ですが時には一問に時間をかけてじっくりと取り組むことも大事だと思います。
当然ですが、計算用紙はぜいたくに使うのが基本です。
最後に数学のおおよその勉強時間を載せておきます:
6月~夏休み前:平日3時間、休日4時間
夏休み:毎日5時間弱
9月~12月:毎日3時間
1月以降:毎日2時間
国語
現代文はもともと結構得意だったこともあり全くしていません。今大学受験用で用いているものの中では東進の現代文レベル別問題集が良いと感じています。
古文はマドンナ古文系列一本で文法から単語まで乗り切りました。賛否両論ありますが、すっきりとしていて見やすいです。ただ7章の下ネタは筆者の年齢を考えると少々気持ち悪いのでやめてほしい。
漢文は出題されないので無対策。
国語も普通に勉強しました。読解して、音読を繰り返します。
最後に国語のおおよその勉強時間を載せておきます:
6月~夏休み前:0
夏休み:毎日1時間
9月~12月:毎日1時間
1月以降:毎日1時間
理科
かつて私がもっとも苦手だった科目です。とりあえずは数学同様最高水準問題集特進中1理科~中3理科を用いて基礎を固めましたが、2周しても駿台模試では足を引っ張っていました。なのでもうひと踏ん張りして3周するとじわじわと成績が伸びてきました。
それを終えた後(11月ごろ)は最難関高校の理科を使って発展問題にアタックしました。正直、かなり時間がなかったのでこのころは多くの時間を理科に費やしました(11月時点で4教科のうち唯一過去問の点数が受験者平均に届いてそうな気配がしていませんでしたからね)。しかし火事場の馬鹿力のようなものか土壇場で急成長、2周目をしていた12月下旬でスピーディーに問題が解けるようになりました。特に化学の伸びがすさまじく、正直化学の問題だけでもやる価値があります。不満があるとすれば解説が今まで上げた問題集の中でも最も雑であり、まれに誤植もあるのでそこは割り切って使う必要があります。
理科も数学同様楽しむ工夫はしながら、有効数字に気を配ったりするなど気を張って勉強することもありました。メリハリが大切です。
また生物なんかは暗記も重要になってくるので、生物だけは暗記ノートを作って入試前に見返しました。ノートづくりのコツはデカい字で書くことです。
地学のうち大地分野は地理の知識があると有利かも。
最後に理科のおおよその勉強時間を載せておきます:
6月~夏休み前:毎日1時間
夏休み:毎日1時間
9月~12月:平日2時間、休日4時間
1月以降:平日3時間、休日4時間
過去問
過去問はまず最初に解きました。当然ですね。今の実力では明かりそうもないという危機感も持てますし、私のような独学勢は過去問で計画を練ることになります。
まず一度ぶちのめされた後、10月から過去問を解き始めました。(ネットで販売されている6カ年のプリントを使っていたのですが、赤い過去問集よりも解説が丁寧に感じたのでおすすめです。)
まずは制限時間なしで一番初めに解いた年の問題を解いてみて成果を確認しました。結果としては、数学は可能性がありましたが他はダメダメといったところ。
もちろん復習は怠りませんでした。数学は記述までしっかりと見て、誤りがあれば訂正して分析しました。方針が立たなかった場合は少しヒントを書き残すようにしていました。英語は英作文をchat gptに打ち込み、長文でわからなかった単語は即座に調べました(二度と出てこなさそうな固有名詞だけは無視)。理科は最難関高校の理科とほぼ同じ。
それからも何年分かとき、5年目でようやく最低点を超えた感触がありました。たしか、12月後半です。英語がよくできており、結局安定するのは英語だなと確信しました。とはいえ英作文や国語、数学の記述は減点される可能性も考えて気は抜かないようにしました。
皆さんも合格点に届かなかったとしても決して焦らないように。それと持て余してしまってはどうしようもないので下手に10年も20年も買うのはお勧めしません。
模試成績
私は第三回、四回、五回の3度駿台模試を受験しました…が!現在駿台にログインするパスワードを忘れてしまい、確認ができません。本当に申し訳ないのですがここは私の記憶を頼りに書こうと思います。
第三回
英語:偏差値65程度
数学:偏差値70程度
国語:偏差値70程度
理科:偏差値60程度
三教科:偏差値72程度
四教科:偏差値70程度
判定:合格率50%
すこし渋いですね。英語が伸びなかったのが悔しかった記憶。
第四回
英語:偏差値70程度
数学:偏差値65程度
国語:偏差値75程度
理科:偏差値65程度
三教科:偏差値75程度
四教科:偏差値71程度
判定:合格率60%
着々と伸びてきて安心した覚えがあります。ただ、数学で少しミスが目立ちました。
第五回
英語:偏差値70程度
数学:偏差値70弱
国語:偏差値70程度
理科:偏差値65程度
三教科:偏差値75程度
四教科:偏差値71程度
判定:合格率60%
うーん、まさかのほぼ変動なし。三教科では圧倒的だったのですが、やはり理科が…といったところです。ここからは本番にかけるほかありません。
受験結果
結果としては、最低点から+20点程度(260点+)で合格でした。明確な数字を出すと教師から特定されかねないので少しぼかして書きます。合格者平均と同等レベルなのできっとばれないはず。
英語:70点程度(合格者平均:55点)
数学:60点程度(合格者平均:69点)
国語:65点程度(合格者平均:67点)
理科:70点程度(合格者平均:73点)
合計:260点越え(合格者平均:265点)
今年は英語がかなり難化したので、英強の私にとっては都合のいい年でした。伸び悩んだ理科も結局合格者平均レベルにまで落ち着き、数学で失点はしましたが大失敗にはならずに済みました(この記事のヘッダーは数学で印象に残っている問題です)。国語に関しては古文で少しミスりました(解答をみたらなんか結構違った)が現代文で乗り越えました。
まとめ
もし中学生がこれを読んでいるなら、絶対に私以上に努力してほしい。自分で言うのもなんだが、8カ月で灘高に受かるなんて正直普通じゃない。幼少期の教育や国語の才能あってこその賜物だと思う。私のパターンはたまたまうまくいっただけだと思って、たゆまぬ努力を続けてほしい。
保護者の方がこれを読んでいるなら、ぜひとも息子さんにはのびのび勉強させてあげてください。無理やりやらせても10点差落ちが関の山です(笑)
焦る気持ちもわかりますが、どうか子供を信じてあげてください。親の力も借りつつ、受験というハードルを跳ぶために自分が計画を立てて努力したという経験は、きっと将来に+の影響を及ぼすはずです。
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