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京大タテカン撤去は「表現の自由侵害」との訴えを京都地裁は棄却

土岐直彦・ジャーナリスト|2025年8月7日5:31PM



 京都大学が京都市の条例を根拠に吉田キャンパス(左京区)周辺での立て看板(通称タテカン)設置を禁じたのは表現の自由を定めた憲法に違反するなどとして、京大職員組合が京大と京都市に損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁(齋藤聡 裁判長)は6月26日、原告敗訴の判決を下した。組合側は「自由の学風とタテカン文化を取り戻したい」と控訴の意向を表明した。

6月26日、京都地裁での判決後の報告集会で見解を示す原告と弁護団。(撮影/土岐直彦)

 京大で学生らによるタテカンが目立ち始めたのは1960年代、学生運動も盛んな時代だ。催しの告知、サークル紹介、政治的主張などを展開。ユーモアもあるタテカンを楽しみにする市民もいた。

 ところが京都市は2017年10月、学外に向けて設置されたタテカンが市の屋外広告物条例に抵触するとして、京大に撤去するよう行政指導。京大は18年5月、一斉撤去に乗り出し、キャンパス内に代替の設置場所を設けた。京大職組による組合活動紹介の看板も撤去された。このため組合側は21年4月、「表現の自由を侵害された」として、京大と市に慰謝料など550万円の支払いを求めて提訴した。

 この日の判決で地裁は、大学は敷地管理権を有するが、組合側にはタテカン設置を求める権利まではないと指摘。市が設けた条例にも一定の合理性があるとして、組合側の請求を棄却した。

 組合と弁護団は判決後の報告集会で「京大や市の主張を鵜呑みにした不当極まりない判決」と厳しく批判した。意見交換では、タテカン文化について学生や近隣住民の好意的な声が相次いだ。

(『週刊金曜日』2025年7月11日号)

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