大量の土砂が流れ込んだ八代 興善寺町 生活への影響続く

記録的な大雨で、住宅街に大量の岩や土砂が流れ込む大きな被害が出た八代市興善寺町では、発生から1週間たった18日も撤去作業が進められていて、生活への影響が続いています。

およそ180世帯402人が住む八代市興善寺町では、今月11日の早朝、集落を流れる大谷川沿いに大量の岩や土砂が流れ、住宅街に押し寄せました。

18日になっても、1メートルあまり残されたままの住宅もあって、厳しい暑さの中、住民などがショベルカーを使い、土砂の撤去作業を進めていました。

このうち、大谷川沿いに住む、いぐさ農家の谷口昭さん(70)は、自宅の目の前まで岩や土砂が入り込み、車を出せない状態が今も続いています。

厳しい暑さのなか、徒歩で買い出しに向かわなければならず、いぐさを育てている田んぼの様子が気にかかるものの、十分に足を運ぶことができていません。

さらに、農機具をしまう小屋は水につかり、いぐさを織るための機械4台すべてが被災し、商品だったいぐさも変色して使えなくなったということです。

しかし、土砂が流れ込んだ影響で地区の排水路がつまっているため、農機具についた泥を落とすこともできない状況が続いているということです。

谷口さんは「機械も新しいものに変えなければならず、2000〜3000万円かかるのではないかと思うと、影響は大きいです。高齢でお金もかかるので再び農家をするのは厳しい」と話していました。

【被災家屋の防犯面心配する声も】
岩や土砂が流れ込んだ八代市興善寺町では、撤去作業が進められている一方、被害が大きく生活が続けられないため、人がいない住宅もあり、住民からは空き巣を心配する声があがっています。

地区に住む西田和徳さんは、同じ地区内にある実家の平屋に2メートルほどの土砂が流れ込みました。

片づけも進めてきましたが、今も1メートル以上堆積した土砂が残り、家具なども多く残された状況で、地区の別の場所にある自宅で過ごしつつ、空き巣の被害を心配しています。

西田さんは「土砂撤去が進まず、こうした時には火事場泥棒が来るのではないかと心配しています。窓ガラスも割れていて中が丸見えなので、板を張って防犯などにも備えたいです」と話していました。

警察によりますと、今後、しばらくは被災した地域を中心にパトロールを続けるということです。

八代警察署は「復旧作業に絡んで悪徳業者などによる詐欺にも注意が必要です。なにかあれば、すぐ警察に通報してほしい」と話しています。

【川が大量の土砂で埋まり被害の拡大懸念】
記録的な大雨で大量の岩や土砂が流れ込んだ八代市興善寺町を流れる大谷川は、手つかずのまま大量の土砂で今も埋まっていて、住民からは今後、雨が降ったり台風が来たりすると被害が拡大しないか懸念する声が出ています。

地区に住む平田信也さん(64)は、今月11日の大雨で大谷川が増水して大量の岩や土砂が自宅の目の前に迫ったことから建物から避難することができず、2階にあがって安全を確保しました。

地区の住宅では、土砂の撤去作業が進められている一方、大谷川に堆積した岩や土砂は手つかずのままです。

川底までは1メートルほどあるということですが、流れてきた大量の土砂で今も埋め尽くされていて、道路との境目も分からなくなっています。

平田さんたち住民は、この状態で今後、雨が降ったり台風が来たりした場合、水が流れていかないため、被害が拡大しないか不安を募らせています。

平田さんは「このままでは水がはけていかないので、せっかく片付けたところにまた土砂が入り込む可能性もあると思います。自然のことなのでわからないですが、不安が募ります」と話していました。

【八代市内の小学校2校で始業式延期】
八代市は、今回の記録的な大雨の影響で、市内の小学校2校で今月25日に予定していた2学期の始業式の延期を決めました。

始業式の延期が決まったのは、千丁小学校と龍峯小学校です。

土砂の撤去作業やエアコンが使用できない状況が続いているということで、いずれも今月25日から1週間は臨時休校とした上で、始業式を9月1日に行うとしています。


 


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