読売新聞「石破首相退陣」号外は”誤報”か 「続投認めない」麻生太郎氏が押し切れなかったワケ
政治評論家の有馬晴海氏によれば、
「選挙の開票中も石破さんは『私は権力にしがみつくわけではないと。私はそういう人間じゃないんですよ』って一部のメディアに話したらしいんです。それで辞めるんだということで、読売は号外を出したようですね。私も石破さんは権力にしがみつく人ではないと思っていますが、石破さんなりに党の将来のためを考えると、辞めるということでいろんな状況が変わったりすることが許せないのでは」
と話す。
石破首相は退陣報道が出た7月23日には、麻生太郎氏(84)、菅義偉氏(76)、岸田文雄氏(68)の歴代首相経験者と面会。その後、報道陣の取材に応じ
「一部にはそのような(退陣)報道がございますが、私はそのような発言をしたことはございません」
と語気を強めた。
“石破降ろし”はスピード勝負だったが
その後、NHKのインタビューに応じ
「関税にきちんとめどを付け、日本の存続や繁栄につなげることをやり遂げるのが責任の取り方だと思っている」
「一切の私心を持たず、国民のため、国の将来のために自分を滅してやるということだ」
と主張した。
モノは言いよう……のようにも思えるが、石破首相に近い人物によると
「本気で職務にまい進することが『責任を取る』と同義語だと考えているフシがある」
というから、読売、場合によっては毎日新聞も石破首相の思考を読み間違えたのかもしれない。
「石破辞めるな」デモや、各種世論調査の結果も首相の背中を後押しする。参院選直後こそ、世間も「辞任やむなし」のムードだったが、旧安倍派を中心とした面々が声高に辞任を迫る姿を見て、萎えてしまった人は多いハズだ。
その結果、毎日新聞が参院選後の7月26、27日に行った世論調査では「辞任すべきだ」は42%で、「辞任する必要はない」の33%を上回ったものの、「わからない」は24%あった。
野党もあくまで自民党内の“主導権争い”という認識で、国民民主党の玉木雄一郎代表(56)は
「自民党にしっかりしてもらいたいですね。方向性・方針が決まらないということ自体が政治空白と言われかねません」
と述べるにとどまっている。永田町関係者の話。
「“石破降ろし”はスピード勝負。参院選当日、麻生最高顧問が『続投は認めない』と語ったと伝えられたのが合図で、一気に押し切るしかなかった。ところが、読売&毎日の退陣報道で首相がナーバスになり、『石破辞めるな』デモが話題になったことで、インターバルを与えることになってしまった。これが大誤算。作戦を練り直さなければいけなくなった」
石破首相のままで次期衆院選を勝てるとは思えないが、かといって、強引に引きずり降ろせば、新総裁になっても支持率は上がらないだろう。
「石破首相はある意味、開き直って政権運営していくだろう。決して辞任しないというわけではなく、将来的な再登板も頭の片隅に置きながら、引き際を考えているのだと思う」
とはテレビ局政治担当。参院選後の混乱は8月に入っても続きそうだ――。
- PHOTO:YUTAKA/アフロ
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