廃墟が好きになった日
私は廃墟が好きです。身も世もなく好きです。
特に、人がいた痕跡が濃厚に残ってる廃墟や、昔ゴリゴリに栄えてたのに今見る影もない廃墟にグッときます。侵入こそ怖くてできませんが、近づいて覗いたり、写真を撮ったり、または写真集を鑑賞したりするのが楽しくて仕方ありません。
それが高じて、今は人がいっぱい集まってる観光地やショッピングモールに行くと、「ここもいつか廃墟になるんかなあ」とドキドキしてしまいます。ヤバめのレンズを通して世界を見ています。
私の場合、いつしか廃墟に惹かれていった訳でなく、「この日から夢中になった」という明らかなきっかけがあるのです。
今日は、ターニングポイントとなった日のことをお話いたします。
(注:私がいつか老婆になったとき、孫世代にもこの話するつもりなので、その予行練習も兼ねています。語りが臭いのはご了承ください)
みんなで湯快リゾートへ!
大学1年のときです。
やっと苛烈な受験生活がおわり、解放感でフワフワになった私は、高校の時の友達2人と旅行に行くことになりました。
「温泉!」「カニ!」「でもお金あんまない!」のフレーズが満場一致となり、行き先は湯快リゾートの旅館に決定。
そして空き部屋や移動時間などを考慮した結果、石川県の山代温泉にある旅館に行くことが決まったのです。
行きのバスの中でもワクワクし通し、着いたら客室が広すぎて大歓喜、そして早速温泉、カラオケもやって漫画も読んで、ワーワー楽しみました。外せるハメはことごとく外しました。

ハイテンションで躍動感を見せる友達。
アルバイトで貯めたお金で、友達と旅行に行けるなんて大学生ってええなあ!とたっぷり旅館を堪能した次の日、思っても見ない遭遇がありました。
なんか温泉街の空気がおかしい
2日目は、15:00くらいのバスで帰ることになっていたので、時間までそれぞれがやりたいことやって過ごすことになりました。
2人が漫画コーナーで目ぼしい漫画を見つけ夢中になってる間、私も『クピドの悪戯』を読んでいたのですが、途中から「これいずれ買うかもしれんし、今読まんでええわ」となって外をぶらぶらすることにしました。
(このシリーズは、奇妙な設定をシリアルに捉えるから好き)
数分旅館の外をあてどなく歩いていると、「なんか出歩いてる人少なくないか・・・?」と感じはじめました。旅館もいくつかあるのですが、なんか静かだし、観光客向けの店はほとんど見当たりません。
私はその時、山代温泉が全然どんな所かわかっていなかったのです。
不思議に思ってさっとネットで調べてみると、山代温泉はバブル期には鳴らした温泉街だったようですが、バブル崩壊とともに低迷、さらに当時は北陸新幹線開通で客が石川の中心へと流れているというワーストな状況でした。
「そういやあ、湯快リゾートって経営がやや傾いている旅館を傘下に入れていく方針だったよな」と街のうらぶれ感に合点がいき、そしてなぜかその陰に引き込まれてしまいモリモリ歩いて行きました。
さざえ堂をめざす
「でも、やっぱ観光スポットは押さえときたい」と思い、Googleマップを見ると近くに展望台を発見。名前は「さざえ堂」。よさそう!と思い早速てくてく向かいました。

途中、薬王院温泉寺というお寺も発見。ふらっとお寺に立ち寄るなんて旅っぽい!
「こっちには観光スポットが多いのかな?」と期待して進みます。
しかし、どんどん森の緑が深まっていき、「さざえ堂〇〇m」という公式の標識通りに進んでいくと、鬱蒼とした木々の中に、仏像が無数に並ぶ階段にさしかかりました。

(Googleストリートビューより。)
生きた人間の領域ではない空気が漂っています。
どうも「この坂を上れば、八十八箇所巡ったのと同じ御利益がある」みたいなことらしいのですが、「上るくらいなら普通に巡礼した方がええわ」と思うくらい不気味。
「これもさざえ堂のためや・・・」と我慢しつつ歩いて行きました。
上った先に
仏像が立ち並ぶ坂は、恐怖のせいか「永遠?」と思うくらい体感時間が長かったのですが、自治体が設置したであろう、割合新しい標識に沿ってるんやし仕方ないと言い聞かせ進みます。
やっと上りきった!と思ったその瞬間



突然、廃墟に出くわしました。
標識通りに来たらまさかのエンカウント。
1人で小高い森の中にある廃墟に来てしまい、むちゃくちゃ怖くなりました。
テレビで廃墟が紹介されているのは何度か目にしたことはありますが、その時に味わうことがなかった生ならではの存在感。冗談抜きで中からヤバい人が出て来て殺されそうという恐怖にかられます。
本当に怖い。一刻も早く離れたい。でも、なぜか気になってしょうがありません。
私は撮影を果敢に挑みました。

バリバリに割れた窓とものすごいゴミ。

供養塔と投げ捨てられた三輪車のコンボ。

「緑水園」という看板。元々旅館だったようです。

ガムテープで閉じられた入り口。奥を見るとテーブルと椅子、ちょうちんがあります。見晴らしも良さそう。
急に立ち現れた旅館の廃墟の暴力性に「怖い怖い怖い怖い」と思いながら見るのをやめることができません。
恐怖のほかに、「眺めのええ立地の旅館やったんや」というなんとも言えないノスタルジーが滲んできました。もう、その時にはすでにドツボにはまっていたのでしょう。
さすがに侵入することはできず、やや経ったあとさざえ堂に向かいました。

(Googleストリートビューより)廃墟に魅せられてしまって、さざえ堂の写真を撮り忘れました。構造としては、会津のさざえ堂と同じ螺旋構造

さざえ堂からみた景色。森が迫りすぎて下方の景色が見にくい。
さざえ堂に上る最中も、上ったあとも、緑水園の廃墟のことを考えて上気してしまいました。
「なんやったんやあの体験、あの気持ち・・・・」とボーッとしたまま、ふらふらと山を下り、このままやとアカン、目を覚まそうと山代温泉の街を歩き続けました。
〜つづく〜
次回、かつて栄華を誇ったホテル百万石の廃墟に出会い、廃墟好きへの決定打が!
(長くなりすぎたので明日続きを書きます。需要ないのに前編後編があるの面白い)
私は廃墟が好きです。身も世もなく好きです。
特に、人がいた痕跡が濃厚に残ってる廃墟や、昔ゴリゴリに栄えてたのに今見る影もない廃墟にグッときます。侵入こそ怖くてできませんが、近づいて覗いたり、写真を撮ったり、または写真集を鑑賞したりするのが楽しくて仕方ありません。
それが高じて、今は人がいっぱい集まってる観光地やショッピングモールに行くと、「ここもいつか廃墟になるんかなあ」とドキドキしてしまいます。ヤバめのレンズを通して世界を見ています。
私の場合、いつしか廃墟に惹かれていった訳でなく、「この日から夢中になった」という明らかなきっかけがあるのです。
今日は、ターニングポイントとなった日のことをお話いたします。
(注:私がいつか老婆になったとき、孫世代にもこの話するつもりなので、その予行練習も兼ねています。語りが臭いのはご了承ください)
みんなで湯快リゾートへ!
大学1年のときです。
やっと苛烈な受験生活がおわり、解放感でフワフワになった私は、高校の時の友達2人と旅行に行くことになりました。
「温泉!」「カニ!」「でもお金あんまない!」のフレーズが満場一致となり、行き先は湯快リゾートの旅館に決定。
そして空き部屋や移動時間などを考慮した結果、石川県の山代温泉にある旅館に行くことが決まったのです。
行きのバスの中でもワクワクし通し、着いたら客室が広すぎて大歓喜、そして早速温泉、カラオケもやって漫画も読んで、ワーワー楽しみました。外せるハメはことごとく外しました。
ハイテンションで躍動感を見せる友達。
アルバイトで貯めたお金で、友達と旅行に行けるなんて大学生ってええなあ!とたっぷり旅館を堪能した次の日、思っても見ない遭遇がありました。
なんか温泉街の空気がおかしい
2日目は、15:00くらいのバスで帰ることになっていたので、時間までそれぞれがやりたいことやって過ごすことになりました。
2人が漫画コーナーで目ぼしい漫画を見つけ夢中になってる間、私も『クピドの悪戯』を読んでいたのですが、途中から「これいずれ買うかもしれんし、今読まんでええわ」となって外をぶらぶらすることにしました。
(このシリーズは、奇妙な設定をシリアルに捉えるから好き)
数分旅館の外をあてどなく歩いていると、「なんか出歩いてる人少なくないか・・・?」と感じはじめました。旅館もいくつかあるのですが、なんか静かだし、観光客向けの店はほとんど見当たりません。
私はその時、山代温泉が全然どんな所かわかっていなかったのです。
不思議に思ってさっとネットで調べてみると、山代温泉はバブル期には鳴らした温泉街だったようですが、バブル崩壊とともに低迷、さらに当時は北陸新幹線開通で客が石川の中心へと流れているというワーストな状況でした。
「そういやあ、湯快リゾートって経営がやや傾いている旅館を傘下に入れていく方針だったよな」と街のうらぶれ感に合点がいき、そしてなぜかその陰に引き込まれてしまいモリモリ歩いて行きました。
さざえ堂をめざす
「でも、やっぱ観光スポットは押さえときたい」と思い、Googleマップを見ると近くに展望台を発見。名前は「さざえ堂」。よさそう!と思い早速てくてく向かいました。
途中、薬王院温泉寺というお寺も発見。ふらっとお寺に立ち寄るなんて旅っぽい!
「こっちには観光スポットが多いのかな?」と期待して進みます。
しかし、どんどん森の緑が深まっていき、「さざえ堂〇〇m」という公式の標識通りに進んでいくと、鬱蒼とした木々の中に、仏像が無数に並ぶ階段にさしかかりました。
(Googleストリートビューより。)
生きた人間の領域ではない空気が漂っています。
どうも「この坂を上れば、八十八箇所巡ったのと同じ御利益がある」みたいなことらしいのですが、「上るくらいなら普通に巡礼した方がええわ」と思うくらい不気味。
「これもさざえ堂のためや・・・」と我慢しつつ歩いて行きました。
上った先に
仏像が立ち並ぶ坂は、恐怖のせいか「永遠?」と思うくらい体感時間が長かったのですが、自治体が設置したであろう、割合新しい標識に沿ってるんやし仕方ないと言い聞かせ進みます。
やっと上りきった!と思ったその瞬間
突然、廃墟に出くわしました。
標識通りに来たらまさかのエンカウント。
1人で小高い森の中にある廃墟に来てしまい、むちゃくちゃ怖くなりました。
テレビで廃墟が紹介されているのは何度か目にしたことはありますが、その時に味わうことがなかった生ならではの存在感。冗談抜きで中からヤバい人が出て来て殺されそうという恐怖にかられます。
本当に怖い。一刻も早く離れたい。でも、なぜか気になってしょうがありません。
私は撮影を果敢に挑みました。
バリバリに割れた窓とものすごいゴミ。
供養塔と投げ捨てられた三輪車のコンボ。
「緑水園」という看板。元々旅館だったようです。
ガムテープで閉じられた入り口。奥を見るとテーブルと椅子、ちょうちんがあります。見晴らしも良さそう。
急に立ち現れた旅館の廃墟の暴力性に「怖い怖い怖い怖い」と思いながら見るのをやめることができません。
恐怖のほかに、「眺めのええ立地の旅館やったんや」というなんとも言えないノスタルジーが滲んできました。もう、その時にはすでにドツボにはまっていたのでしょう。
さすがに侵入することはできず、やや経ったあとさざえ堂に向かいました。
(Googleストリートビューより)廃墟に魅せられてしまって、さざえ堂の写真を撮り忘れました。構造としては、会津のさざえ堂と同じ螺旋構造
さざえ堂からみた景色。森が迫りすぎて下方の景色が見にくい。
さざえ堂に上る最中も、上ったあとも、緑水園の廃墟のことを考えて上気してしまいました。
「なんやったんやあの体験、あの気持ち・・・・」とボーッとしたまま、ふらふらと山を下り、このままやとアカン、目を覚まそうと山代温泉の街を歩き続けました。
〜つづく〜
次回、かつて栄華を誇ったホテル百万石の廃墟に出会い、廃墟好きへの決定打が!
(長くなりすぎたので明日続きを書きます。需要ないのに前編後編があるの面白い)
コメント
コメント一覧 (3)
唐沢むぎこ
が
しました
山にはなれてるので不気味な感じはしませんでした。
というか何にも感じなかった
廃墟には少し驚きましたが、時間がないのでちょっと見ただけ。時間があれば侵入してたかも
廃墟よろしいなあ
唐沢むぎこ
が
しました