「バイトの声は無視」でポケカを転売ヤーに差し出す…ハッピーセットでまた大炎上、マクドナルドの致命的欠陥
■アップデートできていなかったマクドナルド 事前から多くの不安や懸念があったにもかかわらず、なぜマクドナルドはハッピーセット・プロモーションを進めたのでしょう。当然ですが、企業ですから社内手続きにのっとって、計画から実行まですべて順を踏んだと考えられます。 マクドナルドといえば、「ザ・外資系企業」の象徴のような存在。私も長く外資の世界にいますが、本社(特に米国)の強いコントロールは、時としてローカル(日本など現地法人)の意向をすっ飛ばしてでも優先される、なんていう「外資系あるある」を経験したことがあります。マクドナルド社はどうだったのでしょう。 転売ヤー対策を無視したキャンペーンは、キャンペーン主催者にもその批判が向けられることが多くあります。事前予約や本人確認などによって、重複販売をいかに避けるか。行列を作って店舗環境を荒らす行為は、周辺住民から反発を招きますし、お金を払って行列に並ぶことなく購入できるようにするなど、いくらでも対策はあります。 従来は成功だったキャンペーンが、インターネットやフリマサイトの普及により、ネガティブな要素にもなっています。さらには今回のように批判が起きた時には、SNSを中心に炎上もします。このような状況変化、環境が変わったという認識を、主催側はしっかり洞察する義務があると考えます。状況把握のアップデートが不十分だったという批判は避けられないと思います。 ■運営改善をする上での懸念点 完売したプロモーション品という結果から、今回は収益上でいえば成功といえるのでしょうが、一方で世界有数のパワーブランドである「マクドナルド」のコーポレートイメージはどうでしょう。 ローカルでの懸念や不安に耳を貸さず、「収益のためには突っ走る会社」というようなネガティブなイメージが生まれなかったと言い切れるでしょうか。特にサステナビリティ推進というポリシーにすら影響した可能性のある騒動まで起きました。 結果として、マクドナルドへの強い批判が起き、キャンペーン商品終了とともに、8月14日、マクドナルドはキャンペーン騒動への謝罪や、この先の運営改善を発表しました。 キャンペーンへの懸念はこれまでもあったのですから、特に販売現場の声を取り上げなかったことは大きな失態だと思います。 マクドナルドに限らず、本社が次々新たなセールスマーケティング手法を考案して実施すること自体は良いですが、現場が全くついていくことができないような施策は珍しくありません。特に販売現場のように、一番たいへんな負荷を負うのはラストワンマイルともいえる店舗です。 現場を無視するかのような姿勢と意思決定の過程は、大いに改善が望まれるでしょう。 ---------- 増沢 隆太(ますざわ・りゅうた) 東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家 東北大学特任教授、人事コンサルタント、産業カウンセラー。コミュニケーションの専門家として企業研修や大学講義を行う中、危機管理コミュニケーションの一環で解説した「謝罪」が注目され、「謝罪のプロ」として数々のメディアから取材を受ける。コミュニケーションとキャリアデザインのWメジャーが専門。ハラスメント対策、就活、再就職支援など、あらゆる人事課題で、上場企業、巨大官庁から個店サービス業まで担当。理系学生キャリア指導の第一人者として、理系マイナビ他Webコンテンツも多数執筆する。著書に『謝罪の作法』(ディスカヴァー携書)、『戦略思考で鍛える「コミュ力」』(祥伝社新書)など。 ----------
東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家 増沢 隆太