AI絵師は2年後に90%減少する
なんか最近、画像生成AIに関する規制がちょっとずつ厳しくなっていっていませんか。このまま行くと、1~2年後には大多数のAI絵師さんは、画像生成AIに対する興味を失ってAI絵師を辞めているのでは?と予測します。
なお、この記事では「AI絵師」の定義として「AIイラストでSNSフォロアー大量獲得や収益化や狙っている層」とします。何かに使う素材としてAI画像を生成する層は含みません。
なぜ、大多数のAI絵師さんは画像生成AIに興味が無くなるかというと、
AIでエロい画像が出せなくなる
AI画像で二次創作が難しくなる
AI画像でマネタイズが難しくなる
という3つの理由によるものです。
なぜAIでエロ画像が出せなくなるのか
Stability AIの利用規約が性的な画像を禁止する利用規約にアップデートされましたね。規約改定にはEU AI法などのCSAM(児童ポルノ)禁止や、投資家やクレジット決済会社のコンプライアンス圧力が背景にあるのではないでしょうか。
Stability AIの画像生成AIの旧モデルであるSD1.5やSDXLは、この利用規約変更による影響を直接受けませんが、SD3.5や今後新しく出るモデルは性的な画像を出せなくなると見られます。
Stability AI以外の画像生成AIについても、同様に規制されるのは時間の問題だと思われます。そのため、エロ画像を生成するには、SD1.5モデルやSDXLモデルおよび派生モデルをローカルに保持し続けて、それを使い続けるぐらいしか道が無くなりそうです(ただし、Stability AI自体が訴訟の真っ最中ですので、その裁判結果次第では、SD1.5やSDXLおよびその派生モデルも無傷では済まないかもしれません)。
CSAMについて、諸外国では規制強化の新法が相次いでいます。日本だと「実在CSAM」だけ処罰対象ですが、諸外国では「非実在CSAM」も処罰対象になっています。画像生成AIは世界グローバル展開が一般的ですので、諸外国の規制に合わせる必要があります。非現実CSAMには「AI生成した実在しない児童ポルノ画像」も含まれます。画像生成AIは、「健全な児童の画像」と「大人の性的画像」をAI学習して、その2つの概念を組み合わせ「児童の性的画像」として生成する能力を持ちます。そのため、エロ画像を生成できるように開放しておくと、児童ポルノも生成できてしまう可能性があるため、全ての性的画像が出せないようまとめて規制されてしまうのだと思われます。
ネット上の意見として、「フォトショップ等のツールを使用しても、健全な児童の画像を加工して児童ポルノ画像を作れるのだから、生成AIを規制するのであればフォトショップも規制しないと不公平だ」とか「生成AIはツールでしかないので生成AI自体は問題ない」等、そんな意見も散見されます。
しかし、画像生成AIの性能をもってすると、ディープフェイク画像を「簡単」「高精度」「大量」に作れてしまいます。
歴史的にも、人力でやっていた場合は問題無しでも、機械的にやった場合は罰則対象となった例はいくつかあります。
大昔は、本は手作業で書き写して作られていました。書き写して複製することは何も問題無しでしたが、そこに「活版印刷」という技術が誕生します。これによって大量に本を複製することが可能となりました。そこから10年から20年で、本を書き写すことを職業としていた写字生の失業、無断の再販や海賊版の流通などの市場影響、権力者が本を検閲して内容を書き換えて印刷される等の問題が発生し、それらを規制するため法律が生まれました。のちの著作権法の原型です。
たぶん、活版印刷がでてきたときは「人間が手で書き写すのと同じだから問題無しだよね」とか言ってたんじゃないでしょうか。
生成AIのような高速に大量に生成できる技術は、上記の例のように手作業でやった場合とは区別して規制される流れです。
なぜAIで二次創作が難しくなるのか
全ての版権キャラをAI画像生成できないように制限される可能性があるためです。
画像生成AIのMidjourneyをディズニーが訴えています。また訴訟は始まったばかりの状況ではありますが、Midjourneyとディズニーの訴訟結果が「AI画像を利用した二次創作」に大きく影響しそうです。この記事で「1~2年後にAI絵師が90%減少する」としているのは、訴訟の裁判結果が出るのがその頃と思われるためです。Midjourneyが裁判で完全に負けてしまうのかはまだわかりませんが、Midjourneyは不利状況と見られており、少なくともディズニーのキャラクターを生成できないようにするフィルターがMidjourneyに実装されるのはほぼ間違いないと思います。
裁判はディズニーの版権キャラについて争っているので、ディズニーの版権キャラについてフィルターでブロックすれば一応は対策としてOKではあります。しかし、ディズニーの版権キャラをブロックしてしまうと、他社の版権キャラをブロックしない理由をフェアユースを盾に主張しづらくなります。そのままにしておくと版権を保有する企業から次々訴えられるので、版権キャラは全部出せないようにするフィルターを実装するしかなくなるでしょう。
そしてこれは、Midjourneyだけの影響にとどまりません。他の画像生成AIもほとんど同じ状況ですので、Midjourneyで版権キャラ生成がNGになった場合、他の画像生成AIでも正当性を主張しづらくなります。おそらく、多くの画像生成AIで版権キャラを出せなくするフィルターが実装される流れになるでしょう。
版権キャラを生成するためには、エロと同様にSD1.5モデルやSDXLモデルをローカルに保持し続けて、それを使い続けるぐらいしか道が無くなりそうです。
なぜAI画像でマネタイズが難しくなるのか
VTuberやキャラクター系IPの二次創作ガイドラインで「営利制限」が徐々に一般化しています。ホロライブやにじさんじ等は、二次創作は歓迎しつつも営利とみなされる利用は不可になっているようです。
手描きやAI生成にかかわらず、二次創作で金を稼ぐのはNGというガイドラインがちょっとづつ普通になってきているんですね。
「生成AI」のみ締め出す新しい流れ
そして、最近は生成AI利用だけを狙い撃ちで規制するガイドラインが出てきました。VOCALOMAKETSの結月ゆかり、紲星あかりの二次創作ガイドラインが変更され、2025年7月14日付で「AIを使用した二次創作物の有償配布・収益化を禁止」しました。
VTuberグループの「星めぐり学園」の二次創作ガイドラインでも、公式コンテンツのAI学習や、AIイラストのファンアートタグ投稿を禁止しています。
DLsiteやFANZAでも、生成AI利用の同人作品をAIフロアに隔離しています。「生成AI作品」だから買うという客はあまり居ないと言われており、生成AI作品のマネタイズが難しくなっているようです。
なぜ、90%のAI絵師さんは辞めちゃうのか?
これは私の肌感覚と偏見による感触ですが、だいたいのAI推進派的な方は「エッチなイラストと二次創作イラスト」を生成したいというのが大きな動機になっているようです。
ですので、「エッチなイラストが生成できなくなり」「二次創作もできなくなり」「小銭も稼げなくなる」という三重苦になると、多くの方が興味を失うのではないかと思っています。
残る10%はどんな人
以下のようなガチ勢だけ残るのではないでしょうか?
画像生成AIでオリジナルの純粋なアート作品を作りたい人
これはある意味、真っ当な使い方なので、作者のセンスが問われる使い方でもあります。オリジナルで勝負するのはなかなか見てもらえず生成AI使用といえども大変だと思います。これが継続できるのはごく一部でしょう。
画像生成AIの技術的な部分を追求したい人
ITエンジニア的な人は、画像生成AIの技術的な部分を追求するのが好きな人も結構いると思います。こういう方はもともと少ないですが、ずっと残るはずです。
ゲリラ的にエッチなイラストをネットにアップするアングラ勢
Midjourneyフェアユース防御失敗による正規戦終結後も、一部AI絵師がゲリラ転化して、表現の自由を旗に掲げ、アングラサイト経由かローカルで保持し続けたSDXLモデルを使用してゲリラ戦を継続するでしょう。おそらくこれは長期化します。
AIイラストには付加価値が必要になる時代へ
「エロ+二次創作」のような手っ取り早く情緒に直接的に働きかける訴求ができなくなり、AI生成イラストには付加価値が求められる時代になると思います。
収益化するためには、顧客が困っていることを問題解決するためにAIイラスト生成を中核スキルとして付加価値を加えていくことが必要になるのではないでしょうか。
「見た目が良いだけの1枚イラスト」→「顧客が問題解決するためのパッケージ」という転換が必要です。
たとえば、「AI生成画像をレイヤ分けしてパーツごとに分解して、50~100点をまとめたゲーム用アセットとしてパッケージ化して販売する」など、そのような付加価値が必要になりそうです。
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コメント
17ほとんどの人はSDXLかNAI使ってるので関係が薄そう。また、たとえばCOVERの営利利用制限はかなり昔からすでに存在してます(企業が二次創作の名目でIPを利用することを牽制するための項目だと思っているのですが、何かエロ同人とかで事例が出たんですか?)。一方で生成AIでの二次創作のみを禁止するガイドラインは影響が大きそうですね。
disfrさん
コメントありがとうございます。SDXLはローカル環境を構築できる人がそもそも少数派だと思いますが、HuggingFace等でモデル削除される事態になったら、新規参入者が減って先細りだとは思います。
NAIは今でもNSFW絵が普通に生成できるのが逆に不思議なぐらいなのですが、今後も生き残るんですかね。クレカ規制はありえる気がします。
企業が二次創作の名目でIPを利用した例ってあるんですかね?東方とか東北ずん子のように公式から広く利用が認められているIPを除くと、二次創作をやっているのは基本アマチュアだと思っていました。
本記事の定義のAI絵師だとローカルSDXL環境持ってるのが多数派じゃないですかね。Webサービスはコスパ悪すぎます。
NAIはどうなんすかね。VisaとMastercardから蹴られるのは普通にありそう。ただわざわざ独自モデルに転換した以上、NSFWを守っていく意思は高いでしょう。
>企業が二次創作の名目でIPを利用した例ってあるんですかね?
商業と見なす水準を相当高く設定しているだろう、ということです。壁サーなんかどう見たって商業ですが、訴えられたという話は聞いたことないですよね。
disfrさん
私はAI絵師さん詳しくないので、ローカルSDXL派の方が多いんですかね。Webサービス派もけっこう多いかと思ってました。七瀬先生もスマホでAIイラスト作ってるって言ってましたし…
NAIはNSFWを何とか守ろうとすると思います。NSFWが無いNAIは存在価値がNAIんじゃないかと…
二次創作で訴えられたとか捕まったなんて話は聞いたことないので、そこは黙認されているんだと思います。