【結言】
① 群臣推戴(継体以前)
② 世襲王権の確立(欽明〜推古)
③ 先帝意志による譲位と、王権への権力集中(皇極〜斉明)
④ 天皇御子のランク分けと、皇后・皇太子制度の成立(天武&持統)
⑤ 天皇の神格化による、群臣推戴脱出の試み(持統&文武)
⑥ 直系継承ルール化への模索(未完)
ざっくり時系列で並べると、こんな感じでしょうか。
このように見ていくと、古代の王位継承も、決して一貫したルールの下に続いてきたわけではない事が、よくわかります。確かに、持統天皇の御代における天孫降臨神話確立&天皇の神格化と共に、「群臣から支持された者が、王位につく」という従来の君臣関係からは、大きく転換しました。
しかしその後も、長屋王のように皇位継承の主導を握る争いに巻き込まれ、政争の敗者となる者もいれば、橘奈良麻呂のように、聖武天皇の実子である阿倍内親王(孝謙天皇)の立太子を認めない群臣も現れます。
天皇御子の序列化や、まだ成立したばかりの「皇太子」という制度が群臣達の間に浸透するのもどうやら、当分先の話のようです。
それらの物語はまた別の機会に譲りますが、皇位継承の制度は決して、「これでいいのだ!」と安心できる状態は未来永劫あり得ず、少しずつ時代の状況に合わない因習を打破し、アップデートを繰り返してゆかねばならないという事は、ここまでのブログでも再確認出来たかと思います。
とにかく明るい未来ばかりとは限らないので、安心しないでください。
今回のブログで詳述したのはまさに、激動するシナ・朝鮮の脅威から倭国を守る為、また王位継承を巡る豪族同士の、血みどろの権力抗争を起こさせない為、より安定的で盤石な制度を確立すべく、我々の先人達が手探りで模索し続けた足跡なのです。
まるで中生代の最初期には、せいぜい人間と変わらないぐらいのサイズだった爬虫類が、幾多の生存競争による淘汰を経て、白亜紀後期には全長12mを超えるティラノサウルス類へと進化したかの如く、国家の中心たる天皇(王位)の継承制度を、時代に適応しつつより強靭なものに進化させてきた歴史にこそ、私は敬意を抱くのです。
どっかの人造人間じゃあるまいに、「2685年前に突然『完全体』として製造されて、現代まで一貫して変わらない継承ルール」なんか、あるわけないよね(笑)。
恐竜と天皇は、一夜にして成らずなのです。
そうやって変革の歴史を繰り返し、令和の日本国民にまでバトンを託されてきた「皇統」は果たして今、盤石な状態と言えるのでしょうか?
果たして、天武天皇・持統天皇が模索した「直系継承」、そして「天皇御子の序列をハッキリさせる事」の制度化は、実現したのでしょうか?
決して望ましい事ではないけど、まさに令和の日本で、「秋篠宮家に皇統が移るくらいなら、天皇制なんかいらない!」みたいに放言する秋篠宮アンチすら、SNS上で後を絶たない現状を見てると、とてもそうは思えませんよね。
愛子様のカリスマ性に惹かれる国民感情を、皇室典範がちゃんと反映していない証拠だとも言えるでしょう(バッシングの矛先が国会議員じゃなくて「皇族」に向かってる事は、本当に許し難いが)。
「男女問わない直系長子継承」という、ちゃんとした継承ルールさえ定まっていれば、秋篠宮家に対するここまでの憎悪を国民が吐き散らすような醜態も、未然に防げたのではないでしょうか?
〈9割の国民が望む愛子天皇〉
vs
〈男系男子ルールに基因する、悠仁様までの継承ライン〉
という「制度と民意とが対立した状態」がまさに、君臣の信頼関係を不安定化しているではありませんか!!
この対立状態を放置し、固定化させている元凶はもちろん、秋篠宮家ではありません。
「逆賊群臣の巣窟」こと永田町に蔓延る、「男を尊び、女を卑しむる」の空気こそが、全ての元凶なのです!
だからって何も、愛子内親王殿下を我々が担ぎ上げて「壬申の乱」なんぞやれ、とまでは勿論、言いませんよ? ヤル気はあるけどね。
明治の志士達が「自由民権運動」という形で、維新のやり直しの手段を武力から言論に切り替えた「先例」が、インターネットやSNSのせいで価値騒乱・デマゴギーだらけ状態の令和日本でも通用するかどうか正直、わかりませんけどね。
我々忠臣が持つ武器が今のところ「言論」しかない以上、正しい王統の形へと「統一」し、皇位継承ルールを盤石化するには、国会議員をどうにか薫陶するしか道はありません。
今回のブログが、その一助になれば幸甚です。
文責 北海道 突撃一番
4 件のコメント
くりんぐ
2025年8月17日
その時代の事情によって、少しづつ変わっていった皇位継承のルール。
変わっていけるものが生き残れる。
突撃一番
2025年8月15日
掲載&コメントありがとうございます。
長屋王以前にも、大津皇子、大友皇子、蘇我本宗家、山背大兄王、崇峻天皇その他諸々、まるで『鎌倉殿の13人』の拡大バージョンのように、王統が進化していく過程で政争に敗れ、まさに基礎医さんおっしゃるように、時代について行けず淘汰されていく者はどの時代も、一人や二人ではありませんでした。
おそらく武烈天皇と、彼を推す豪族勢力も、継体天皇推し勢力との政争に敗れたが為に、記紀神話上ではあんなロクでもない天皇として描かれたんじゃないかと、自分は見ています。
ティラノサウルスですら、隕石衝突による地球環境の激変には遂に適応できず、淘汰されてしまいました。
京都のSさんおっしゃるように、正式な王統の中から「始祖鳥」を見つけ出すしかないよね。
問題は、進化を阻害する要因を、どう排除するかなんだけど。
ダンケーネトウヨって案外、知識量だけは豊富な奴が多いから、こっちもちゃんと勉強を続けた上での体系的な反論は、確かに出来るようになっといた方がいいですね。
最後に、よしりん先生の全快を心より祈念して、本ブログを〆させていただきます。
烈海王みたく「よしりん、復活! よしりん、復活!!」と連呼できる日を、楽しみに。
基礎医学研究者
2025年8月15日
(編集者からの割り込みコメント)最終にきたので、ご挨拶。今回も寄稿、ありがとうございました。皇統ということにここまで男系をもちこまれると(1部だけど、声は大きい)、こういう体系的な反論は、やはり必要になってきますかね。進化の話がでてきたので書いておくと、生物の進化の場合はDNAの複製時に起きる様々な変異が起点で、これは物理・化学的に決定される。だけど、どの形質が継承されるのかは、状況(適応)による。実際、生物の進化においては、膨大な失敗が繰り返されており、適応できない集団は淘汰されていく(これは、時間スケールが長いから、可能な営みである)。転じて、皇位継承もどのような形が安定的な皇位継承が可能になるのかを先人たちは考えてきたはずで、残しておくべき歴史の知恵は男系ではないのだろう(そういうことは、平成の有識者会議で議論した結論であり、読売の「4つの提言」でも言われた)。だから、突撃さんは”壬申の乱”の話を出しましたケド、皇位継承で無理なことをすると、大きな問題が起こるので(これぞ、歴史の教訓)、できるだけ自然な流れの継承を国民は望んでいる、ということにやはりなるのだろうと。
京都のS
2025年8月15日
いやー突撃様、お疲れ様でした。やっとタイトルが回収されました(笑)。直系継承までが恐竜だとすれば、双系継承までは鳥(恐竜と鳥は近縁種)への進化ですね。その進化は、より高次の存在になることを意味します。進化を促す変化(男尊女卑に対する違和感・皇統断絶の危機)は既に起こっているのに、進化を遅らす事態が続けば種(皇統)は絶滅します。
「秋篠宮家に皇統が移るくらいなら天皇制なんかいらない!」派はオールド極左(親ソ・親中のマルキスト)に先導された左派で、「女系に皇統が移るくらいなら天皇制なんかいらない!」派は統一協会や神政連・日本会議(親米・親韓の敗戦受益者)に洗脳され続けるネトウヨです。その両者間にこそ愛子天皇を支持する90%がいるわけですよね。そこに寄せていかないと議席は守れないと思わせなきゃいけませんね。寄贈活動で。