<ネットと中傷 第2部 10年以上戦う弁護士⑤>(全5回)
何者かに電話番号や住所を突き止められ、無言電話や身に覚えのない荷物が次々と届く。
「人間不信になった」
2019年、大学院生の石渡貴洋さんが激しい嫌がらせを受けるようになった。殺害予告までされ、自殺を考えたこともある。
◆「ウィキペディア」きっかけに実名を割り出され
きっかけは、ネットなどで激しい中傷にさらされていた唐澤貴洋弁護士を心配したからだった。「客観的な情報があったほうがいいのではないか」
石渡さんはウィキペディアに、唐澤弁護士のページをつくろうとした。すると、「恒心教」を名乗る団体のメンバーに、ウィキペディアの利用者ページから名前などを特定された。
恒心教 唐澤弁護士を「尊師」とからかい、唐澤弁護士や関連する人物を攻撃する架空の宗教団体。唐澤弁護士がかつて構えていた事務所「恒心綜合法律事務所」から名付けたとみられる。2012年ごろから、唐澤弁護士を攻撃する特定のネット掲示板で嫌がらせのアイデアを出し合ったり、実際に嫌がらせをして報告し合ったりしている。唐澤弁護士らの名前をかたって学校や公的機関などに爆破予告をしたり、「けんま」と称して関係者宅に住居侵入をしたりして逮捕された「教徒」もいる。
◆次々とアカウントが乗っ取られ
1カ月後には、メールアドレスから、利用していた大手ポータルサイトのアカウントを乗っ取られそうになった。
石渡さんのもとには、不正ログインを伝えるメッセージが次々と届く。パスワードや、パスワードを忘れた際に本人確認を行うための「秘密の質問」の答えを手当たり次第に試しているようだった。
「恐ろしさを感じた」
乗っ取りを防ごうとしたがうまくいかず、このポータルサイトの運営会社にお願いしようにも問い合わせ先が見つからない。
このため、石渡さんは警察に何度も出向き、警察から運営会社に連絡するよう頼んだが、取り合ってもらえなかった。
そして、最終的にアカウントを乗っ取られ、メールサービスにも侵入された。
◆掲示板に情報をさらされ、警察は傍観…そして絶望
これをきっかけに、同じメールアドレスでアカウントを開設していたさまざまなネットサービスにも入り込まれ...
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