<ネットと中傷 第2部 10年以上戦う弁護士②>(全5回)
4月のある日、10年以上にわたって中傷や嫌がらせに苦しんできた唐澤貴洋弁護士のもとを、関東地方の夫婦が訪ねてきた。事務所に入るやいなや、頭を下げる。
「本日はお時間をいただきありがとうございます。誠に申し訳ございませんでした」
夫婦は、唐澤弁護士の事務所に嫌がらせをしたとして警察に保護された男子中学生(13)の両親だった。
中学生は、唐澤弁護士に中傷や嫌がらせを書き込むネット掲示板でのやりとりから、現実世界での犯罪行為に発展したようだ。両親が謝罪に来るという情報を受け、同席させてもらった。
◆2度にわたる被害、レシートで「挑発」も
事件が起きたのは2025年1月だった。
唐澤弁護士の同僚の原田學植(がくうえ)弁護士が、事務所のドアノブがおかしいと気付く。鍵穴が接着剤で埋められていた。
「年明けから、げんなりした」と原田弁護士。唐澤弁護士は、過去にも事務所に嫌がらせをされた悪夢がよぎった。「また事務所を移転しなきゃいけないのかな」
とりあえずドアノブを交換したが、その後、接着剤の購入履歴を記したレシートが事務所に投函された。犯人からの挑発だろうか。
さらに、2月にも再び接着剤を詰められた。唐澤弁護士は不法侵入と器物損壊の疑いで警察に被害届を提出。3月に、警視庁三田署から接着剤を詰めた疑いで中学生を保護したと連絡を受けた。
◆引きこもり状態でパソコンに夢中に…
謝罪に訪れた両親。唐澤弁護士と原田弁護士に促され、話し始めた。
「息子はおとなしい性格で…」
集団生活が苦手で、学校に仲の良い友人はいなかったという。
徐々に異変を感じ始めたのは2024年の夏...
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