寺崎浩平(31=福井)がオールスターを制して、G1初優勝を果たした。同県の脇本雄太の先行に乗ってバックからまくった。3番手の古性優作が2着、4番手の南修二が3着に流れ込み、近畿で上位を独占した。注目の太田海也と吉田拓矢は、近畿作戦の前になすすべがなかった。寺崎は年末のKEIRINグランプリ(12月30日・平塚)の初出場も決めた。

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これまで近畿の2トップに多大な貢献をしてきた“第三の男”が、初めて主役の座に就いた。

準決後に決勝の並びが決まった時点で、近畿カルテットの意図は誰の目にも明らかだった。

「寺崎に初タイトルを」

肩鎖関節の脱臼でハンドルの押し引きもままならない古性優作が、必死にSを取った。腰痛からくる足のしびれに悩む脇本雄太は、残り2周から全開でスパートをかけた。

「脇本さんの後輪だけに集中していた。バックで少しスピードが鈍った感じがしたので、踏ませてもらった。前の脇本さん、後ろの古性さん、南(修二)さんに感謝です。もらえたチャンスをものにできて良かった」と、寺崎浩平は静かに喜びをかみしめた。

ダービー王の吉田拓矢も、ワールドクラスの太田海也も、近畿4車の“鉄の結束”の前に、いとも簡単にはね返された。

2トップが故障を抱え、戦前の下馬評は高くなかった。しかし、終わってみれば表彰台を独占。3着に入った南もグランプリ出場が視野に入った。村上義弘氏の引退後、一丸となって目指してきた新たな近畿王国の完成だ。

「妻(舞織)からは『自信を持って走ってきて』と見送られた。戦法の幅が広がって、自信を持って挑めた。今後はタイトルホルダーにふさわしい走りをします。グランプリは先頭で頑張りたい」

これからの近畿は、3トップの超攻撃的布陣で、競輪界を席巻する。【松井律】

◆寺崎浩平(てらさき・こうへい)1994年(平6)1月4日生まれ、福井市出身。法大卒。競輪選手養成所117期生として菊池岳仁とともに競輪界初の早期卒業。20年1月に和歌山でデビュー(1<1>(1))。デビュー18連勝でS級特昇を決める。G3優勝もなく、今回がビッグ初優勝。通算330戦118勝。通算獲得賞金は2億5151万8600円。172センチ、78キロ。血液型O。