「生徒8割が列車通学なのに」「廃線とならぬよう」――記録的大雨で被害、JR肥薩線 年内再開は絶望的・・・高校生や地域に不安広がる
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8日の記録的大雨の影響で運休しているJR肥薩線の吉松-隼人(鹿児島県)は、多くの高校生が通学手段として利用する。JR九州が年内復旧は困難だと明らかにしたことを受け、保護者や学校関係者からは18日、早期復旧や代替バスの利便性確保を願う声が聞かれた。地域や観光への影響を懸念する意見もあった。 【写真】〈関連=宙に浮く線路〉大雨の影響で土台が崩れ線路が宙に浮く肥薩線表木山-日当山間=12日、霧島市隼人(JR九州提供)
湧水町栗野に住む女性(60)は、列車が運休して以降、霧島市の隼人工業高校に通う息子を約50分かけて学校に送ってから同市横川の職場に向かう。夏休み中もほぼ毎日部活動があり、送迎が必要だ。普段は大隅横川-隼人を利用しており、女性は「いつもよりガソリン代がかかる」と漏らす。「9月からの代替バスの便数がどれくらいあるのか気になる。肥薩線は子どもたちに必要な路線」と早い復旧を願った。 霧島温泉駅に近い霧島高校(同市牧園)は、生徒の8割にあたる約80人が肥薩線で通学する。盆明けからの夏休み後半は、9月からの就職採用活動に向けた面接指導や履歴書作成の時期。日高勝博教頭は「部活動の生徒もおり、来校の際は保護者に送迎してもらっている」と説明する。国分や隼人からが多く「JRなら30分程度だが、代替バスだと相当時間がかかるのではないか」と懸念した。 生徒五十数人が路線を使う加治木工業高校(姶良市)の前村昭人教頭は「代替バスが、資格の朝補習や部活後の時間帯にも対応されるのだろうか」と心配した。
霧島市内5駅の活性化に取り組む「花はきりしま肥薩線の会」の中堀清哲会長(58)=同市牧園=は、年内復旧困難と聞いて「肥薩線を絡めて人を呼ぶ仕掛けをしようとしていた矢先だったのに」と残念がる。「地域活性化に欠かせない路線。このまま利用者が減って廃線とならないよう、機運を高める方法を考えたい」と述べた。 霧島市の山口清行観光PR課長は「肥薩線は駅舎や鉄道そのものが魅力ある観光資源。霧島温泉駅を利用する宿泊客もおり、運休で観光にも影響がある」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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