炎の蜃気楼 STORY

炎の蜃気楼1
第1版発行 1990年11月10日
高耶の親友譲は炎に包まれる夢を見て以来、奇妙な行動をするようになっていた。武田信玄の正室・三条の方、家臣・高坂弾正忠昌信は譲に武田信玄を憑依させ、信玄復活を目論んでいた。一方、高耶の前には直江信綱が現れ、「高耶が上杉景虎である」と告げる。しかし、景虎は今度の換生の際に一切の記憶を封じており、高耶は「自分は景虎ではない」と言い張る。力も使えないまま、譲を助けるため、怨霊と戦う高耶は、松本の街で繰り広げられる戦闘の中で無意識に調伏を行い、譲の体から信玄の憑依を解いた。そして、高坂は「譲の存在は六道世界の脅威」と言い残して姿を消してしまう。

炎の蜃気楼2「緋の残影」
第1版発行 1991年3月10日
高耶は登校途中に女性ライダーから信号レースをふっかけられ、飛び出してきた犬をよけようとして転倒してしまう。その相手は上杉夜叉衆のひとり、門脇綾子だった。そして、教室には見知らぬ男子生徒が・・・。クラスメイトは高耶の親友というが、高耶には全く覚えがなかった。高耶は敵と勘違いし、敵意をむき出しにするが、こちらも上杉夜叉衆のひとり、千秋修平だった。学校では怪奇現象が起きはじめ、とうとうけが人が出る騒ぎとなってしまうが、これは高耶を狙って森蘭丸が仕掛けた加助たちの霊を利用した罠だった。怨霊調伏のため夜の高校にやってきた高耶・直江・綾子だが、蘭丸が仕掛けた吸力結界にまんまとはまり、力が使えず苦戦をしいられる。しかし、千秋が結界を破り、譲によって加助たちの霊は鎮められ、消えていった。

炎の蜃気楼3「硝子の子守歌」
第1版発行 1991年6月10日
仙台での謎の建物倒壊事件を調査するため、高耶と綾子は仙台にやってくる。高耶は、慈光寺の国領から力の開発訓練を受けるが、景虎の自己暗示の壁と、仙台にいる母親・佐和子への気持ちに邪魔され、いっこうに力を使うことができない。倒壊現場で、高耶は最上義康に攻撃され倒れるが、高坂が助け、伊達政宗のもとに連れて行く。高坂は、伊達と武田で同盟を結ぼうとしていた。一方、直江は山形で起きた汚職事件に絡む贈賄容疑者の変死事件を調査していたが、最上義光に見つかり、森蘭丸の作った吸力結界のはられた土蔵に捕えられてしまう。景虎の力が戻らない中、仙台では遷都計画を利用して、仙台を拠点に闇戦国を支配しようと最上が仕掛けた呪詛・金輪の法が効果を発揮しはじめ、さらに高坂により慈光寺は吹っ飛ばされてしまう。

炎の蜃気楼4「琥珀の流星群」
第1版発行 1991年9月10日
慈光寺への攻撃により、国領夫人は亡くなり、国領も意識不明となるが、高耶だけはかすり傷だった。国領らをまきこんでしまったことに高耶はいきどおり、仰木高耶を捨ててでも景虎の力がほしいと願う。山形で最上方に捕えられていた直江は、小次郎の助けにより、お東の方を調伏し、なんとか高耶たちのもとにたどり着く。高耶たちは、伊達政宗の協力を得て、金輪の法を中和するため、瑞鳳殿に壇をおき、修法を行う。千秋とともに応援にかけつけた譲が、降三世明王と大威徳明王を操って最上義康の呪詛を調伏し、高耶たちは各結果点の招魂法を消滅させて、最上義光を調伏する。国領が意識を取り戻し、高耶と直江は東京に芦名盛氏を調伏しに行くため、仙台駅に向かう。高耶は、新幹線のホームで佐和子の姿を見て驚き、逃げるように列車に乗り込んでしまう。高耶は、直江に促されデッキに駆けるが、伸ばした手は閉まるドアに阻まれ、流れ出した涙を止めることができなかった。

炎の蜃気楼5「まほろばの龍神」
第1版発行 1991年12月10日
高耶と千秋は、夜な夜な出没するという火の玉の調査のため、奈良に向かう。火の玉で焼け死んだ塩原耕三の葬儀にやってきた2人は、その娘「なぎ」に付喪神・平蜘蛛がとりついているのを目撃する。平蜘蛛を使って闇戦国の兵たちから霊力を奪おうとしていた松永久秀は、龍神と称して、信貴山の空鉢さんにお百度参りしていたなぎにとりつかせたのだった。平蜘蛛を討とうと、織田の家臣・佐々成政はなぎの命を狙っていたが、高耶たちの手により、なぎは無事に平蜘蛛から解放される。

炎の蜃気楼-断章-最愛のあなたへ「My Only Dictator」
第1版発行 1992年3月10日
高耶と直江は、魚津城跡にやってきて、他の怨将に触発されて活性化してしまった、冥界上杉軍の兵の霊を鎮めるため、鎮霊法を行う。富山市内では、一向宗が明智光秀と対織田同盟を結び、北陸の織田勢力を撲滅するため、小百合の怨霊を利用して織田の一向宗担当の指揮官・佐々成政を討とうとしていた。成政はすべてを承知の上で、小百合の怨霊と戦い、小百合の攻撃に倒れ、小百合の霊は空に消えていった。高耶と直江は、この戦いの混乱に乗じて攻撃してきた頼照を調伏する。直江は、成政の想いに自分を重ね、耐え切れずに高耶に口付けをする。高耶は、その行為も直江の気持ちも理解できずに、困惑してしまう。

炎の蜃気楼-断章-最愛のあなたへ「凍てついた翼」
第1版発行 1992年3月10日
中学生の高耶は両親の問題で居場所がなく、四つ年上の三井の元にいりびたっていた。学校でもやっかいもの扱いされ、父親を殺そうと家に向かう途中で譲と出会い、その計画を邪魔され、高耶は譲を警戒する。高耶は、中学三年の横森らの逆恨みで、麻薬所持と密売のぬれぎぬをきせられ、警察につれていかれるが、三井の白状と譲の助けにより、釈放される。

炎の蜃気楼6「覇者の魔境(前編)」
第1版発行 1992年5月10日
紗織に呼ばれて、高耶・千秋・譲は豊島園のプールに現れた練馬城の伊都姫の霊を調伏しにやってくるが、高耶は直江と一緒に行った富山から帰ってきてからひどく荒れていて、暴走し、千秋に攻められる。高耶はコマ劇場前の路上で学生に袋たたきにされ、声をかけてきた男に連れられ、小田原城へやってくるが、彼は景虎の兄・氏照であり、北条へ帰るのを拒んだ高耶は、ツツガ鏡の中に魂を封じられてしまう。一方、直江は、弟(慎也)が事故で意識不明になってから奇妙なことが起こるようになった麻衣子の相談を受け、日光にやってくる。飛び込みの騒ぎがあった華厳の滝にきた直江は高坂に出会い、二荒山神社にやってくると御神木に慎也の顔が浮かんでいた。日光の調査をしていた小十郎に出会い、3人は協力して東照宮から盗まれたツツガ鏡を探すことになる。直江は、いろは坂でツツガに襲われ、浅岡旅館で休んでいると、鏡に高耶の姿が現れ愕然とする。松本では、帰ってこない高耶を探しに行こうとしていた譲が、伊達小次郎に連れ去られてしまう。

炎の蜃気楼7「覇者の魔境(中編)」
第1版発行 1992年8月10日
鏡に現れた高耶の姿を見て、直江は怪我をおして日光から箱根に車をとばす。箱根神社にやってきた直江は、氏照に誘われ、氏照の屋敷にやってきて、雌のツツガ鏡に魂を封じこめられた高耶の肉体を目前にして愕然となる。そんな中、譲が小次郎に拉致され、千秋が捜索に向かい、日光にやってくるが、蘭丸の覚醒法で譲は覚醒してしまう。直江は北条に従うふりをして、雌のツツガ鏡を氏照から奪い、芦ノ湖で鏡におのが魂を封じ深い水底に鏡を沈めようとする。その時、竜の姿をした氏康が現れ、雄のツツガ鏡を無条件で貸すと言われ、直江はどちらを選ぶか決断を迫られる。

炎の蜃気楼8「覇者の魔境(後編)」
第1版発行 1992年10月10日
直江は景虎の魂を鏡の中から解放することを選択し、高耶は息を吹き返す。高耶は、北条の手から箱根神社を守るため、護界法をとり行い、風魔の幻術をくぐりぬけて、日光にやってくる。北条は、館山・洲崎の洲崎神社を直角点にし、静岡の久能山東照宮、日光東照宮を結んだ巨大な直角三角形を作り、館山から、久能山-日光を結ぶ辺へと垂線を下ろすと富士山があって、その約三分の二のあたりにある箱根に、この陣形に集まるパワーを集結させて、関東制覇をしようともくろんでいた。氏政は譲の魂を二荒山神社の神木に木縛して、日光で「火合の法」を行おうとしていたが、高耶の太元帥明王の呪力の再活性化により阻止され、日光山の結界は破られる。直江は小太郎から雄のツツガ鏡を奪い取って破壊し、高耶は氏照の助けを得て、氏政を調伏し、雌のツツガ鏡を破壊し、木縛をとく。譲の魂は無事、身体に戻るが、額には「魔王の種」が植え付けられていた。そして、高耶と直江の間の溝も、うまることはなかった。

炎の蜃気楼9「みなぎわの反逆者」
第1版発行 1993年3月10日
一向宗は荒木一族の怨念を封じ込めた「遺髪曼陀羅」を使って「荒木大砲」を作ろうとしていた。それに利用されようとしていた荒木村重は一向宗の手から逃れようとし、また高耶と綾子も彼を追って京都へやってくる。綾子は、村重が200年前の恋人・慎太郎とそくっくりであったために、再開を果たせたと錯覚し、村重を倒すことがでない。一方高耶は、製菓会社社長のボディーガードを単独行動で行っていた直江とばったり会い、直江の想いをぶつけられる。高耶は鞍馬山で曼陀羅に閉じ込められた荒木一族の怨霊を調伏しようとするが、頼竜に操られた怨霊に攻撃され倒れてしまう。しかし、千手観音・魔王尊の力により、立ち上がった高耶は天狗を呼び、朝霧橋で一向宗と戦い、綾子が意を決して村重を調伏する。

炎の蜃気楼10「わだつみの楊貴妃(前編)」
第1版発行 1993年8月10日
大阪湾と広島沖で起きた船の衝突事故、不知火の出現、呉沖で起きたフェリーからの乗員乗客失踪と広島周辺では船舶に関連した奇怪な事件が多発していた。留年が決まった高耶だが、これらの調査もあり、譲の懇願に負けて修学旅行で広島にやってくる。平和記念公園で、女子生徒が精気を抜かれて倒れ、外村鳴美が失踪し、高耶たちは彼女の捜索をすることになる。これらの事件はすべて闇戦国にかかわっており、海難事故は毛利・村上が人間の「生気」を戦艦「大和」の燃料にするために起こしたもので、鳴美は楊貴妃の憑坐として吉川元春に拉致されたのだった。そんな中、直江は景虎とのいさかいで肉体も精神もすり減らし、力が使えなくなっていた。宮島に向かうフェリーで、高耶の前に小太郎が現れ、景虎のために働くと言い出し、譲の意識は信長に奪われ、フェリーは信長により爆破されてしまう。

炎の蜃気楼11「わだつみの楊貴妃(中編)」
第1版発行 1993年11月10日
信長によって船が爆破され、海に投げ出された高耶と直江は、小太郎に助けられるが、直江の両目は視力を失っていた。高耶と直江は小太郎と下間頼竜に連衡され、東光寺で毛利輝元と吉川元春から、織田・陶を倒すための協力を求められる。さらに、「謙信は内密に、景虎を捨て石にして、新たな総大将を立てようとしている」と聞き、度重なる衝撃と動揺で、高耶の精神は限界にきていた。
綾子は、高耶が放った「剣の護法童子」の先導で、行方不明になっていた外村鳴美と秋芳洞で会う。楊貴妃の正体は、姉に復習をしようとしている漁姫の姉・友姫で、奪われた潮の干満を操ることができる干珠・満珠を鳴美の体を借りて取り戻そうとしていた。
千秋と鹿之介は、失踪したフェリーの乗客を救助するため、暗示にかかったふりをして、能島村上の秘密の地下水軍城にもぐり込むが、高坂に見つかり、武慶に捉えられてしまう。
高耶は、直江の解放を条件に、毛利に協力しようとするが、元春に断られ、守護霊獣の虎を利用して死火山だった笠山を噴火させ、そのマグマ火竜にかえて萩城や東光寺を襲う。元春邸で、頼竜に立ち向かう高耶に、輝元が拳銃を向けるが、銃弾は高耶をかばった直江の心臓を撃ち抜く。


炎の蜃気楼12「わだつみの楊貴妃(後編)」
第1版発行 1994年1月10日
高耶は、直江の死を受け止められず、精神崩壊して力が暴走し、萩城一帯を壊滅状態にしてしまう。意識を失った高耶の元に、竜の姿の氏康が現れて高耶を連れ去り、絶望の中で生きる気力を失った高耶に、指名をまっとうさせようとする。毛利の手から、満珠を奪い返した綾子と友姫は、干珠も取り返そうと宮島に向かうが、干珠は既に織田の手にあり、満珠も織田に奪われてしまう。なんとか立ち上がった高耶は千秋、小太郎と共に、毛利に拉致された乗客たちを救出し、地下水軍城を陥落させる。元春率いる大和は呉港で軍事兵の霊たちを乗せて宮島に攻撃をかけ、陶水軍の船を圧倒的な力で破壊するが、信長が操る満珠・干珠の力の元に海に沈む。高耶は、干満岩の力で満珠・干珠を破壊させ、大和からはがれ落ちた膨大な霊を結界調伏し、譲を取り戻しに厳島神社に向かう。戦う体力の残っていない高耶に謙信が力を貸して、信長に凍結波を撃ち、この戦いに終止符が打たれるが、高耶の精神は異常をきたしていた。直江の死を認めていなかった高耶は、戦いの間は悪い夢の中の出来事と思い込み、次に目覚めるときには必ず直江がそばにいると信じていた。その思い込みが、目覚めて最初に視界に入った小太郎を直江だと認識させてしまう。

炎の蜃気楼13「黄泉への風穴(前編)」
第1版発行 1994年5月10日
小太郎を直江と思い込んだ高耶は、直江が直江らしい行動をとらないことに苛立ちを感じ、精神に負担がかかって力のコントロールが不安定になっていた。江の島で人魚騒動があり、高耶と綾子は調査に向かうが、江の島ではハーバーリゾート計画が持ち上がり、住民の立ち退きが行われていた。島では、反対する住民が閻魔様の夢を見たり、鬼を見たりと奇怪な現象が起きていた。不審に思った高耶たちが、落石事故の起きた岩屋に向かうと、稚児ヶ淵でリゾート計画の首謀者である里見の支配下となった京武不動産の開崎から、自分が羽織っていた黒いカシミヤのコートをかけられ、高耶は涙がとまらなくなる。高耶は、三浦義意から「里見は弘法大師が行ったという「通黄泉の法」で夜魔道を開き、あの世から亡者を呼び寄せようとしている」と聞き、武田の情報を得ることを条件に、それを阻止することに協力することにするが、再び岩屋に訪れた高耶を、開崎がさらっていってしまう。一方、千秋と小太郎は、武田の安宅船が横浜港に入港するのを阻止するため、本牧埠頭にやってくるが、山県昌景に邪魔をされ、山県を追った千秋の前に、色部勝長が三十余年ぶりに姿を現す。

炎の蜃気楼14「黄泉への風穴(後編)」
第1版発行 1994年8月10日
綾子は、自分たちをつけてきた国家公安委員の二階堂麗子の協力を得て、江島神社の巫女をしている須賀奈津緒の父親がかけられていた「夜魔十王の法」を跳ね返すが、「通黄泉の法」の際の弁財天の依代として奈津緒がさらわれ、江の島は里見によって封鎖されてしまう。里見にさらわれた高耶は、開崎のマンションに監禁され、里見の鍼術で力が使えなくなっていた。開崎の口から出る言葉が、その行為が直江のものにあまりにも似ていて、高耶は混乱する。開崎が伝えてきた伝言で小太郎が高耶を救出し、高耶は小動神社にとらわれていた奈津緒と麗子を入れ替えて、綾子と軒猿を江の島に潜入させる。色部と、広島の事件以来行方不明だった八海が謙信の直属として動いていたことを知った千秋は、不信感を抱きつつも、色部とともに浅間大社での「通黄泉の法」を阻止する。高耶が、麗子に抱着させた護法童子と霊波同調して、麗子に降りた弁財天を操り、里見に寝返った義意を調伏し、岩屋を崩壊させて江の島での「通黄泉の法」も阻止する。開崎は、岩屋から逃げた義堯を、上杉夜叉衆しか使えないはずの調伏で消し去ったのだった。

炎の蜃気楼15「火輪の王国(前編)」
第1版発行 1995年1月10日
佐賀で起きた鍋島一族と龍造寺隆信の争いを鎮めた高耶らは、佐賀に鎮守役として白衣女を置き監視させていたが、その白衣女から熊本の異常の知らせを受け、軒猿を熊本に潜入させた。しかし、何者かによって白衣女も軒猿も討たれ、高耶は生徒、千秋は非常勤講師として、調査のために磁場の中心とみられる古城高校に潜入する。
古城高校は、生徒会長・御厨樹里が生徒を絶対服従させ、生徒もそれを不審に思わないという奇妙な学校だった。そんな中で、唯一、根津耕市(加藤清正)と三池哲哉だけは御厨に反発していた。御厨(大友宗麟の妻)は、宗麟の望む切支丹王国をつくりあげるため、生徒を城兵にしたてあげようと、生徒の体内に蛇蠱の卵を埋め、暗示をかけていた。そして、佐々成政が現在の体育館の下に埋めたという黄金蛇頭を探していた。体育館工事の関係者の中には開崎誠がいて、高耶の味方になってもいいと言う。高耶は、傍らにいる直江(小太郎)が持っているはずの言葉や行動を、開崎から感じて戸惑うが、自分で答えを出す決意をする。
萩での恨みをはらそうと襲い掛かってきた下間頼竜の攻撃に高耶は倒れるが、空から降りてきた人々に助けられる。


炎の蜃気楼16「火輪の王国(中編)」
第1版発行 1995年4月10日
吉川元春は厳島海戦後、島津に助けられ、以後島津のもとで戦っていた。元春と高坂は、大友・織田を滅ぼすため、鬼八の怨霊を解放しようとしていたヒムカ教信者に協力していた。鬼八の器とするために、高耶はヒムカ教信者の隠れ家に囚われていた。高耶は頼竜の攻撃でひどい怪我を負っていたが、ヒムカ教信者から治療をうけ命をとりとめる。高坂から「直江が景虎を裏切り、自分の助命と引き替えに、景虎の身柄を島津に売った」と聞かされた高耶は愕然とする。
千秋は、さらわれた稲葉朱実を救うため、交換条件の阿佐羅を探しに、哲哉の伯父・晴哉の元へ向かう。はじめは、ほかげの居場所を断固として教えなかった晴哉だが、千秋の霊力に気づき、ほかげを守ることを条件に居所を明かす約束をする。
綾子は高耶が死亡したと聞き、急いで病院にかけつけるが、すでに連れ去れた後だった。綾子は、珍しく取り乱して病院にやってきた開崎に、直江の存在を感じる。
開崎と八海は、高耶を捜索してロッジにたどり着くが、高坂が立ちはだかる。小太郎も任務を無視して高耶を助けに走るが、山中で島津豊久に邪魔をされる。
高耶は、清正の協力を得て熱水噴出を起こして逃げるが、途中力尽きて動けなくなる。意識が朦朧とする高耶の前に、鎧をまとった亡霊が現れる。


炎の蜃気楼17「火輪の王国(後編)」
第1版発行 1995年9月10日
高坂の相手を八海に任せ、開崎は高耶を追うが、烏帽子岳の森の中で小太郎と遭遇する。小太郎は島津豊久との戦闘でとても歩けるような状態でないにもかかわらず、開崎が直江であることに気づき、開崎の脇腹に剣を刺す。しかし、木陰からふたりの死闘を見ていた元春に拳銃で頭蓋骨を撃たれ、小太郎も倒れる。
千秋は高千穂からほかげを連れ帰るが、阿佐羅の力に飲み込まれそうなほかげを三池晴哉が殺そうとする。しかし、ほかげは火焚殿を爆発させ、飛び去ってしまう。
烏帽子岳の山中で明智光秀に発見された高耶は、秀光が佐賀で捕虜にした竹俣慶綱から、「直江は景虎を調伏するつもりである」と聞き、震える。そして、「自分を調伏する」よう申し出る竹俣を処分せず、自分のそばにおいた。
胸騒ぎを感じた譲は熊本にやってくるが、古城高校で御厨につかまり、蛇蠱を飲まされてしまう。しかし、譲は他の生徒たちのように洗脳はされず、すさまじい力が使えるようになっていた。そして、「魔王の種」の凍結がとかれた譲は、信長に支配権を奪われてしまう。
開崎の指示で本妙寺の弱まった結界を補強しにやってきた綾子は、島津家久に攻撃されて昏倒し、清正とともに現れた信長に連れ去られてしまう。
阿佐羅と朱美の交換場所・大観峰にやってきた千秋は、突然現れた高耶から新上杉軍のことを聞かされ、愕然とする。千秋も直江の仲間かもしれないと疑う高耶は、千秋に対して戦闘態勢をとる。


炎の蜃気楼18「火輪の王国(烈風編)」
第1版発行 1996年1月10日
高耶と千秋はお互い全力で向かい合うが、高耶は力のコントロールを失い、千秋からみぞおちに拳をくらって倒れこむ。そこへ、小太郎の放った銀色の虎が現れ、高耶と共に谷の方に消えていく。市内に戻る途中で意識を失った高耶は、虎に連れられ、江津湖のほとりで目を覚ます。高耶は冥界の扉を開けようと印を結ぶが、扉は開かず、泣き叫ぶ。
ほかげを探しに向かった哲哉は、途中で高耶に助けられ、共に古城高校へ向かうが、清正が現れ、高耶に向かって攻撃を仕掛ける。しかし、高耶の言葉に心を動かされた清正は、景虎を生け捕るという信長の命令に背き、熊本を守るために戦う決心をする。
怨霊を倒しながらようやく市内中心部までやってきた千秋の前に、譲が街を破壊しながら現れる。見かねた千秋がとめようと、譲の前に躍り出るが、破魂波をくらってしまう。
御厨は、掘り出された黄金蛇頭を使い、そのすさまじい威力で島津を倒していった。しかし、雷を撃ち続ける御厨の身体は急速な速さで老化していき、御厨が倒れると、今度は黄金蛇頭がものすごい勢いで街にいたすべての霊を吸い込んでしまう。鬼八の首を破壊しに古城高校の屋上にやってきた高耶は、信長に操られた譲と死闘を繰り広げるが、高耶には譲を殺すことができない。高耶が信長に倒され力つきたその時、鳥人衆と阿佐羅が頭上に現れ、譲の体は念攻撃を受けて動かなくなる。そして、鬼八の首と共に、高耶は鳥人衆に連れ去られてしまう。


炎の蜃気楼19「火輪の王国(烈濤編)」
第1版発行 1996年2月10日
自分の意思で自らの生命活動を停止し仮死状態となっていた譲を高坂が連れ去る。
鳥人と高耶は、ヘリで阿佐羅を追ってきた信長からなんとか逃れるが、榎木を殺された恨みから佐伯遼子が康夫を殺してしまう。遼子は高耶を助け出し、高耶に協力を申し出るが、ジュリアに憑依され鬼八の首を持ち去ってしまう。ジュリアの攻撃に意識を失いそうぬなった高耶の前に黒豹に憑依した小太郎が現れ、さらに風魔人軍が氏康の使命により高耶に従い、清正の協力を得て、大火輪法の阻止に向かう。
信長の破魂波からなんとか逃れた千秋は、阿佐羅の始末に向かうが、信長に見つかり、信長の破魂波と千秋の調伏力で巨大な爆発が起こり、ふたりはその衝撃にのみ込まれる。
晴哉の前に現れた、亡霊となった榎木の協力を得て、三池の祝子たちが鬼八に立ち向かうべく高耶をサポートする。大火輪法が行われている中岳火口に辿り着いた高耶たちは大友の攻撃に苦戦している間に、ジュリアに鬼八の首をマグマに投げ込まれてしまう。さらに、阿佐羅が火口にに飛び込むと、火口からた複合霊体の巨大怪物が現れ、その破壊力に高耶たちは身を守ることしかできない。ほかげの霊とともに哲哉が鬼切丸を巨人に突き立て、力の弱まった隙に高耶が調伏を行うが、鬼八の抵抗により高耶は怨念の炎に包まれる。倒れ込む高耶を直江が抱き留め、ふたりの躰を火焔が包み込んだ。


炎の蜃気楼20「十字架を抱いて眠れ」
第1版発行 1996年8月10日
高耶と四ヶ月も連絡が取れないことに加えて、譲も行方不明となり、美弥はただならぬ不安を抱いていた。高耶は高校を卒業しないうちに家を出て、二年ほどは休学扱いとなっていたが、その後父親が退学届けを出していた。そんな美弥の前に突然高耶が現れるが、その姿は美弥にしか見えなかった。高耶は「父親のことを頼む」と言い残し、美弥の前から消えてしまう。
阿蘇中岳で鬼八の怨念により炎に包まれた高耶を直江が助け出し、直江の友人である鮎川の助けを得て、ふたりは山深い別荘に身を隠した。高耶が昏睡状態から目を覚ますと、高耶の左眼が真っ赤に染まっていた。高耶の体は鬼八の怨念に侵され、特に左眼に強く現れたために、その目で見た生物を害するようになっていた。
高耶は直江を前にして怯えるが、直江の必死の思いを受け、すべての記憶を取り戻していった。そして謙信は、魂核異常をきたしていた景虎を直江に委ね、闇戦国を終わらせるために二度と引き返せない道にいってしまっていた。しかし、直江には高耶に真実を伝えることも景虎を調伏することもできず、高耶の体から漏れ出す鬼八の毒で、直江の体は弱っていった。これ以上直江と一緒にいることはできないと、高耶は直江のもとを去っていく。


炎の蜃気楼-砂漠殉教「砂漠殉教」
第1版発行 1997年10月10日
山荘から姿を消した高耶を探すため、直江は昔の知り合いの協力を得るために東京にやってくる。直江は、前生である笠原に換生していたときの知人・村内を訪ね、情報屋を紹介してもらう。しかし、それを予想していた色部は、事前に前生の佐々木の名前で手紙を出し、直江を探しあてる。謙信は、手に負えなくなった闇戦国を上杉が制覇することによって怨将を押さえつけ終わらせようと、おのが存在を莫大な調伏力に換えたのだった。色部は、その行使の全権を預かった直江を上杉に戻そうとするが、生き物の目に変わった直江の瞳を見て、直江の意思に任せることにする。
直江は情報屋の黒木から大阪での奇妙な噂を聞き、大阪に向かうため東京駅にやってくるが、ホームには、東京行きの列車からつけてきて、新宿で直江に襲いかかってきた憑依霊の葛城一蔵が直江を待っていた。直江に興味を持った一蔵は、盗聴器で色部との話も全て聞いていて、直江に「不老不死になる星」の話を持ちかけ動向を申し出てくる。直江は人目を避けるため、列車を降りてから一蔵を調伏しようと考える。


炎の蜃気楼21「裂命の星」
第1版発行 1997年4月10日
直江のもとを去った高耶は、祖谷の山中の深沢でひとりでテント生活をしていた。高耶が人をよせつけないために幻霧を張っていたにもかかわらず、武藤潮と名乗る若者が高耶の前に現れる。潮は換生者であったが、記憶がなく、自分の名前すらわからずにいた。しかし、その潜在能力で無意識に、高耶に群がる霊をはらいのけていた。以前から潮のことを追い回していた赤鯨衆と名乗る若者たちがやってきて、潮は自分が一度死んだ人間だと告げられ呆然とするが、記憶を取り戻してくれるという誘いに、高耶も一緒にという条件で彼らの本拠地に行く。高耶は換生者であることは気づかれず現代人として迎えられ、星谷寺にある裂命星を織田の支配下にある三好一門の十河から奪うための選抜隊に潮とともに選ばれる。しかし、その作戦は密告者によりすべて敵に露見しており、窮地に追いやられた高耶は力を使ってしまう。なんとか裂命星を手に入れるが、主家である長曽我部を復活させるために使おうとする赤鯨衆リーダーの草間清兵衛と自分たちのために使うべきであると主張する嘉田嶺次郎との意見の差は縮まることがなかった。そんな草間を影から操っていたのが長曽我部の直臣・芥川親宗であり、芥川が長曽我部信親を利用していずれは己が権力を握ろうとしていることを見抜いた嶺次郎は芥川を殺してしまう。
一方、熊本で高坂に連れ去られた仮死状態の譲の体は信玄の屋敷にあった。譲の体を手に入れた信玄は闇戦国制圧に動き出そうとしていた。そして、信長に連れ去られた綾子は新安土城の地下室に捕虜として幽閉されていた。そんな綾子の前に、信長との戦いで肉体をなくし織田の助けを経て別の体に換生した千秋が現れる。千秋は、借りを返すため織田に協力すると言う。


炎の蜃気楼22「魁の蠱」
第1版発行 1997年7月10日
一蔵と共に「星の岩屋」にやってきた直江だが、裂命星は何者かに盗まれた後だった。直江は、上杉の秘密を知られた一蔵をすぐに調伏するつもりでいたが、以外にも情報通であった彼をしばらく使うことにする。一蔵の知人の僧侶から情報を得るために赴いた竹林寺で、直江は鮎川と遭遇し、鮎川の「上杉に戻ってほしい」という懇願を断り、また彼の元を去る。そして、高知市街のギャラリーに高耶の写真を見つける。
芥川の死は十河の間者による暗殺と公表されるが、草間は嶺次郎の犯行であることに気づいて、白地城攻めに裂命星を使いたいという嶺次郎の申し出を断る。高耶は、譲の名前が思い出せないことに強い焦りと恐怖を抱えながら、嶺次郎に無理やり押し付けられて、遊撃隊の隊長として白地城攻めに加わる。高耶をよく思わない吉村たちに図られ、敵の霊よけの地雷撤去で消化を担当した卯太郎が刺され、勢いを増した炎は嶺次郎たちのもとまで襲いかかろうとする。卯太郎を助け出し、嶺次郎のもとに向かった高耶は、念じるだけで火を操れるよになっていたが、両目は赤くなり、左目は血を流していた。蠱焼きが発動し、強烈な炎が白地城に斬り込んだ赤鯨衆を襲うが、高耶がその炎から皆を守り、白地城は赤鯨衆の手におちる。高耶は鬼八の怨念で火を操ることができるようになっていた。一方、安田長秀らの襲撃により、元親を失った草間は、嶺次郎の仕業と思って取り乱し、目標を失って雪蹊寺にこもってしまう。そして、高耶が裂命星の警護副隊長に着くと、大剣神社が敵に襲われ、その敵の中に別の体に換生した千秋の姿があった。千秋が織田に寝返ったことを知り高耶は愕然とする。


炎の蜃気楼23「怨讐の門(青海編)」
第1版発行 1997年7月10日
高耶は直江が自分を探していることを知り愕然するが、なんとか冷静さを取り戻し、遊撃隊の隊長として裂命星輸送を無事に成し遂げる。足摺に着いた高耶は嶺次郎から「四国の大結界や裏四国のことや嶺次郎の真の目的」を聞かされ恐れと共に嶺次郎に対して不信感を抱く。室戸から来た連中が気になり、剣山から転車で追いかけてきた潮に、自分の貪欲とハンパさを見抜かれたような気がして自己嫌悪を感じた高耶は、自らの性器を切り落とそうとするが、中川が駆けつけ、寸でのところで静止する。高耶を上杉のスパイではないかと疑っていた中川だが、高耶の危うさを見かねて、高耶に協力することを誓う。
上杉の猛攻によって仙台を負われた伊達政宗が宇和島に上陸し、一条の残党を懐柔して四国を制覇し仙台を取り戻そうとしていた。そして、赤鯨衆と伊達軍との間で戦が始まり苦戦を強いられるが、高耶の活躍により伊達の砦を落とす。しかし、嶺次郎たちに高耶の正体がばれ、高耶は捕らえられてしまう。
一蔵はこれ以上直江にかかわって自分の身が危険にさらされるのを恐れ、直江を襲おうとするが、逆に捕らえられ、自分が元赤鯨衆だったことを告白する。ようやく高耶の行方をつかんだ直江は、赤鯨衆のアジトまでやってくるが、赤鯨衆に気付かれ襲撃される。しかし、山神と名乗る少女に助けられ、「直江が道先案内人・ケベスであり、"片目の赤い獣"を退治するために協力して欲しい」と言う。直江は高耶を探すのを条件に少女と一緒に行動することにする。直江は、溺れて河原に倒れていた潮を助けたことから、思いがけず、高耶が赤鯨衆にいることを知り、赤鯨衆の連絡先も手に入れる。


炎の蜃気楼24「怨讐の門(赤空編)」
第1版発行 1998年4月10日
長秀の「高耶が赤鯨衆を内部崩壊させるための上杉の工作員だ」という言葉が高耶が上杉景虎であることを決定的にし、足摺アジトの地下の隠し部屋に拘禁された高耶は、草間からひどい虐待を受けるが、何の弁明もしなかった。高耶の処刑が決定的になったころ、死闘のすえ手に入れた江川砦が伊達に奪い返され、赤鯨衆は高耶なしで伊達と戦うのが不可能であることを思い知らされる。死刑決行直前で中川が高耶の救出に向かうが、草間に見つかり高耶に向かって銃の引き金が引かれた瞬間、嶺次郎が現れ草間を銃で撃つ。首領の座を嶺次郎に奪われ、草間は自室で監禁、高耶は保護されるが、このまま赤鯨衆にいつづけることはできないと、高耶は赤鯨衆を去ろうとする。白山洞門に立ち寄った高耶は吉村に襲われるが、間一髪のところで直江が現れ、吉村は直江に消される。ひとり赤鯨衆にもぐりこんだ直江だが、岩田栄吉に正体がばれ、赤鯨衆の攻撃を受けながらも必死に高耶を探しに来たのだった。高耶は直江が現れたことに恐怖を感じ、足摺岬から飛び降りようとするが、直江に捕らえられ、ふたりは「ひとつの肉」へと還る。高耶は直江の記憶から自分を消すために催眠暗示を直江にかけるが、直江はギリギリで踏みこらえ、直江の悲憤を目の当たりにした高耶は二度とこんなマネはしないと約束する。高耶たちを追ってきた嶺次郎たちに襲撃され、鷹の巣砦が伊達に攻略されたと聞き、また戦いの場に戻ろうとする高耶に直江が思わず「これ以上戦ったら命が持たない」と叫ぶ。
直江に見放されて泣き暮らしていたミホの哀願にほだされた一蔵は、直江を探すため赤鯨衆に接近するが、小三郎に見つかりミホが念鉄砲で撃たれて倒れる。自分を呼ぶ思念波をたどってきた長秀はミホの元に辿り着き、ミホは長秀もケベスだと言う。


炎の蜃気楼25「怨讐の門(白雷編)」
第1版発行 1998年7月10日
赤鯨衆に戻ってきた高耶は嶺次郎に直江の正体を証し、また戦場へと赴く。直江は高耶に自分のもとから去るように命じられるが、嶺次郎に赤鯨衆への入隊を申し出て、高耶の後を追う。高耶のもとに辿り着いた直江は、高耶の身に起きている真実の宣告を言い出すことができず、一方の高耶は鬼八の力で新たな能力を身につけていたが、反面、記憶障害を起こし、調伏力も失っていた。高耶は直江の赤鯨衆への入隊を認め、檜垣の下に配属させ、「自分のそばに来たいなら一番下から勝ち上がって来い」と言い放つ。景虎が敵についたと知った成実率いる伊達軍は精鋭部隊を窪川に送り、高耶の予想を反した激戦の末、どうにか霊波塔を守りきったという形で赤鯨衆の勝利に終わった。しかし高耶はこの戦いで、毘沙門刀も、外縛も使えなくなっていることを知り、高耶は唖然とする。そんな高耶のもとに一蔵がやってきて「裂命星で高耶の魂の寿命を延ばす」よう伝てきた。
赤鯨衆の銃撃を受け瀕死の重傷を負ったミホは長秀の助けを受け一命をとりとめる。ミホが持っているアマホメが気になってミホのもとに留まっていた長秀は、ミホのケベスが直江だったことを知る。更に、一蔵から、直江が上杉を捨てて高耶を追ったこと、裂命星のこと、またミホから鬼の話を聞き、自分がケベスになることを決める。長秀に頼まれて赤鯨衆に潜り込んだ一蔵の連絡を待っていた長秀たちの前に横浪八人衆と名乗る托鉢僧が現れ攻撃を受ける。僧たちは弘法大師から結界守護の命を受けた守護人だった。そこへ佐伯真魚が現れ、赤目の獣を倒すには、四国八十八ヵ所をなくし、裂命星を破壊することだと言う。


炎の蜃気楼26「怨讐の門(黒陽編)」
第1版発行 1998年10月10日
直江から「高耶の魂が終わりに近づいていること」のすべてを明かされた高耶は、直江の想いが永久であることを確かめるために生き抜くことを宣言する。
赤鯨衆の追撃部隊により、伊達軍が逃げ込んだ大正砦を奇襲し、投降してきた一条方の残党を、高耶は猛反発を受けながらも仲間として受け入れてしまう。しかし、仲間を強制連行されたと勘違いした一条方の土居宗珊らに人質に取られた高耶を助けるため、自分が安芸国虎であることを明かした潮によって助けられる。高耶は鬼八の毒を抑えるために孔雀経法を直江と施すが、左眼に毒を抑えるまでにしか至らなかった。高耶は炎を通して加藤清正と連絡をとり、四国で再開するが、嶺次郎から仲間になる誘いを受けた清正は激怒するが、高耶のすべてをさらけ出した説得に応じ、国崩しを大友から手に入れて宿毛に運ぶ約束をする。そして高耶は「四国を怨霊の居ていい島にし、裏四国を成す」宣言をする。
一方、ミホは四国霊場八十八札所と裂命星を壊すために、四国中から仲間の牛鬼を呼び寄せる。同行した真魚は長秀に「山神は神をまつる側の者で、[星の守人]の一族である彼らは元は人間であり、弘法大師を殺した祟りで獣の姿にさせられた」と語る。そして、信長に意識を支配された伊達小次郎にアマホメを奪われ、小次郎は長秀に「景虎の首と交換に返す」と言い残して去る。ミホトは小次郎の攻撃を受けて瀕死の状態となる。


炎の蜃気楼27「怨讐の門(黄壤編)」
第1版発行 1999年1月10日
高耶を襲ったミホの鉈には毒が塗ってあり、右肩を切られた高耶は倒れてしまう。あわや、右腕切断というところで、高耶に「自分は山神を祭る祭祀一族の長・覡」だと告げた遍路の助けにより一命を取り留める。高耶が上杉景虎である噂で隊内が不安定な状態ににありながらも、高耶の的確な指示で、伊達から鷹の巣砦を奪還し、伊達成実を倒す。
「国崩し」を手に入れるため九州に向かった嶺次郎たちだが、清正の言葉で弱気になっていた嶺次郎は、直江の立花道雪説得もむなしく大友との交渉を決裂させてしまう。しかし、再度の会談でいつもの調子を取り戻し、「国崩し」を手に入れた赤鯨衆は、いよいよ伊達の本拠地・宇和島攻めに踏み切る。宇和島攻め結団式で高耶は全赤鯨衆に自分が上杉景虎であることを証し、高耶の剥きだしの本音を聞いた隊士たちは、高耶と一緒に戦う決意をする。高耶の前に現れた長秀は信長との取引のため、高耶に攻撃をしかけるが、追ってきた直江と手加減のない戦闘となる。高耶から「霊場結界を壊すと、四国に大大災害をもたらす」と聞き、長秀は愕然とし、「アマホメが信長に奪われ、晴家が織田に捕まっている」ことを伝える。


炎の蜃気楼28「怨讐の門(破壤編)」
第1版発行 1999年5月10日
赤鯨衆の海からの国崩しの攻撃と、陸からの攻撃により、窮地に陥った政宗は最手段として小次郎が用意した裂命星砲を使おうとするが、信長に操られた小次郎によって刺されてしまう。小次郎を操る者の正体が信長であることを察した政宗だが、信長の誘いを断り、信長の破魂波に飲み込まれる。信長の放った裂命星砲は兵頭と村上の水軍を壊滅させ、破魂波からなんとか逃れた政宗と成実の霊体により、小次郎の体から信長を排除し、伊達が停戦声明を出して、壮絶な戦いは終結する。小次郎は「魔王の種」を取り除いた影響で植物状態となってしまう。
晃焔に連れ去られ高野山に幽閉された高耶は、雷道の発動が、四国の霊のみならず巡礼中の遍路たちをも巻き込むと聞き、高野山での修法を中断させる。更に、嶺次郎たちは四国での修法を死闘の末阻止することに成功し、雷道の発動を食い止めるが、信長の策略により、京に送り込まれていた四国の霊力が、伊勢神宮へ流れ込む道が通されてしまう。
直江は、裏四国を成すために裂命星を使おうとする高耶を赤鯨衆から連れ去るが、アマホメを奪い返したミホトに襲われる。ミホトは直江を自分の元に戻すため高耶を襲うが、現れた覡に撃たれて息を引き取る。いよいよ高耶は四国大転換の修法を開始し、直江はそれを制止しようと高耶を説得するが、大転回は成就してしまう。


炎の蜃気楼29「無限浄土」
第1版発行 2000年1月10日
大転換を成した四国は大停電を起こし、テレビやラジオの電波も入らず、一切の映像記録ができなくなり、空は年中曇りという異常気象で作物も育たなくなっていた。草間を含む赤鯨衆の半分が裏四国の成就の衝撃に巻き込まれて亡くなり、嶺次郎の顔から笑顔が消えた。そして、四国で起こる出来事が高耶の肉体に様々な形で現れるようになり、大勢の隊士が憑依できなくなっていた。さらに、実体化したたくさんの霊が遍路となり、高耶は今空海と呼ばれ遍路を導くが、高耶の体は確実に蝕まれていった。
信長によって安土に監禁されていた綾子は比叡山の僧兵たちに救出され比叡山に身をおいていた。四国での大転換後、全国では憑依霊が異常に増え社会問題となり、現代人たちはこの原因不明の症状をAPCD症候群と呼び奇病扱いしていた。綾子は景虎のことを気にかけながらひとり、憑依霊の調伏に励んでいたある日、赤鯨衆の兵頭と出会う。兵頭は裏四国の呪詛をいつでも発動できるよう、四国結界と直結している神護寺にいた。綾子は兵頭に高耶のことを聞き、高耶と会って直接話を聞くため四国へ向かうことを決心する。出発のため京都駅に来た綾子は、コンコースのモニターに映し出された斯波(信長)の「高耶率いるカルト集団に二年間拉致れ、APCDウイルスを全国にばらまいたのも彼らである。」という発言に驚愕する。
そんな中、各地では金色の雨が降り、厳島神社から檜垣らが忽然と姿を消し、「闇戦国が起きたのは那智の者のせいだ」と言う若者が現れる。そして、「魔王の種」を封じるために阿蘇で自ら仮死状態になった譲が弥勒仏として覚醒する。


炎の蜃気楼30「耀変黙示録Ⅰ-那智の章-」
第1版発行 2000年4月10日
斯波(信長)の発言により、赤鯨衆と高耶は全国の現代人を敵にまわすことになってしまう。高耶は那智から室戸に漂着した重野トオルから穢禍流しの話を聞くが、すべてを語りきらないうちに「カオルを殺して」と言い残し、得体の知れない黒い物体に殺されてしまう。高耶は真相を確かめるため熊野に行き、自分たちがカルト宗教扱いされていることを知り、愕然する。高耶はトオルを襲った黒い物体にさらわれるが、那智の生き残りである本宮礼に助けられる。トオルに殺してくれと頼まれたカオルは、トオルの弟で礼の父親でもあった。そして、五十年前に最後のヒルコ流しにあった三本腕のヒルコが「次に生まれてくるヒルコは、今まで流した禍の分すべて背負って生まれてくる」と予言したヒルコはカオルであり、流されたカオルをトオルが助けていた。そして礼は、金色の雨は神様を隠してしまうと伝える。
一方、兵頭のいる神護寺にはマスコミや現代人が押し寄せて混乱の中にあった。綾子は高耶に会うため徳島に降り立ち、高知に向かうバスに乗るが、赤鯨衆の仲間割れによるバスジャックに巻き込まれる。また、マスコミや一般人のバッシングに震えていた美弥は譲に助け出される。


炎の蜃気楼31「耀変黙示録Ⅱ-布都の章-」
第1版発行 2000年11月10日
審神者の磯村テルに会うため、湯の峰温泉にやってきた高耶たちは、神璽を手に入れようとした三本腕のヒルコに襲われ、憑依された潮は彼らと共にまた姿を消してしまう。テルは「カオルは大斎原で応えてはならない神と手を結んでしまった」と伝える。高耶は、テルの知り合いの審神者から「布都御魂は平維盛が熊野に持ち込んだ」と聞き、神爾の裏に書かれた「・・・の住処は真昼の三体月が知っている」の三体月は神社にいると礼に言われ、高耶たちはカオルより先に布都御魂を手に入れるため熊野速玉大社・那智大社・本宮大社から鏡を持ち出す。三枚の鏡に日の光を当てて現れた内容から、高耶たちは神倉神社へ向かう。憑依を解いた潮はニシキトベの祭祀場で、カオルと三本腕のヒルコの伝令者の司という少年から「高耶の首を持参したら仲間に迎える」と言われ断る。潮に憑依していた怨霊は神武天皇滅ぼされた先住豪族・ニシキトベで、海に沈められた三本腕のヒルコを救ったのは平維盛であり、カオルは斯波英士だった。
神護寺では、兵頭がマスコミを前に「APCDは憑依である」と告げた直後、比叡山の呪法を受け壇は破壊され、マスコミや一般市民が昏倒する。しかし、比叡山の呪法は信長に阻まれ失敗に終わった。兵頭は駆けつけた警察に連れていかれ取調べを受けるが金色の雨が降っているのに気づき、急ぎ神護寺に戻るが仲間は姿を消し、空には何千の首を持つオロチが浮かんでいた。オロチの攻撃を受けた兵頭は、愛宕の神と名乗る老人に助けられ、石上に行くよう告げられる。京都市街からは人も消え、寺院で金色の雨に降られたのは神護寺だけだった。
中川は金色の雨に遭わず無事浦戸に帰還し、高耶とコンタクトを取っているところに綾子が飛び込んできて高耶に話しかけるが、高耶は何も言わずコンタクトを断ってしまう。政宗は松山入りして高耶の代わりに「西の総軍団長」を任され、清正と綾子は兵頭を追って石上神宮に向かう。


炎の蜃気楼32「耀変黙示録Ⅲ-八咫の章-」
第1版発行 2001年5月10日
鏡に記された「ゴトビキ岩」を求めて神倉神社に来た高耶たちは、霊に換生されてしまった妹を殺しその仇を討つために高耶を待ち伏せていた鳥越隆也と出会う。帰神法で礼に降りた高倉下命は、ゴトビキの弓は我が弓と告げ、礼の中に弓を秘め、布都御魂は意に染まぬ者が手にすると死ぬと言う。高天原は天孫に逆らった者たちが埋まる墳墓で、カオルは神武呪法から開放を望む死者らに答えてしまっていた。テルはカオルが失踪した十三年前、大斎原から激しく噴出す怨霊を見て、そのとき以降、日本中がおかしくなったという。そして、礼が生まれたのも偶然ではなく、禍いの日に備えた希望の誕生だった。
一方、兵頭は、布留御魂を手に入れようとしていた松永久秀の家臣・萱木道綱と組んで、平維盛を再生させるための死返りの法を執り行っていた石上神宮に侵入する。兼光らの仲間入りを演じていた潮と、兵頭の援護にきた清正、綾子も混じって応戦するが、信長によって死返えりは成就され、丹敷戸畔の霊を憑依させられた兵頭・綾子・清正はの信長の命で高耶を捕らえに向かう。
高耶たちは布都御魂を手に入れる鍵を見つけるため飛瀧神社へやってくるが、高耶は「闘うハトの会」の若者たちに連れ去られ、暴行を受けているところへ譲が現れ、高耶を連れ去る。鉱山跡に高耶を連れてきた譲は自分を思い出さない高耶に苛立ち、「おまえを食べてやる」と高耶の頚動脈へ歯を突き立てる。礼たちは、那智の滝で布留御魂を手に入れるための神事を執り行うが、憑依された兵頭・綾子・清正に邪魔をされ、兵頭が直江に向けた銃の引き金をひく。


炎の蜃気楼33「耀変黙示録Ⅳ-神武の章-」
第1版発行 2001年11月10日
高耶を食らおうとする譲から、黒豹の小太郎と竜の氏康が助けだし、譲の記憶を取り戻した高耶は譲を殺ささずに竜と共に飛び去る。氏康は高耶の命はあと半年だと告げ、小太郎は「伊勢神宮は外宮の祭神を水蛭子大神に替え、禁忌大法を行い、それと同時に金色の雨が降り出した」と高耶に伝える。
直江たちは、平維盛の肉体に換生した司に礼を人質にとられ、那智の滝は丹敷戸畔の霊に占拠されて、近づくこともできなくなる。那智の滝で援護に加わった高坂は「信長は闇戦国を世界に広げようとしている」と直江に話す。小太郎と共に戻った高耶は、赤鯨衆の応援を得て、那智の滝に張られた結界をタタラ衆の攻撃をかいくぐって突破し、丹敷戸畔の大霊を苦戦のすえ抑える。高耶は心を鬼にして礼に的射を続けさせるが、最後のひとつを残して崩れ、滝の真上に降下したヘリから現れた信長が礼のゴトビキの弓で最後の的を射ると、布都御魂が現れ、信長に渡すまいと鉄剣に触れかけた高耶の全身から血が噴出す。信長は布都御魂を抜き、直江に「我が家臣になるなら、布都御魂を景虎に使ってもいい」と言い残し、高耶を連れ去る。
何者かの手によって暴走した崇徳院を封じるため、高耶の精神体と千秋が白峰御陵に結界を張るが、崇徳院を押さえきることができず、千秋がマグマのなかに飛び込む。千秋が必死に接触を試みるが、崇徳院は聞く耳も持たず、地表に這い出ようとする。
嶺次郎は長与のインタビューを受け真実を語るが、場所を突き止めた現代人達が暴徒と化して追われる。


炎の蜃気楼34「耀変黙示録Ⅴ-天魔の章-」
第1版発行 2002年6月10日
高耶は信長に捕らえられ、信長から「三十数年前の景虎との戦いの後、魂を再生するためにこの国の根にマグマと同化していた。そこで天孫族に滅ぼされた民から大斎原で行われた国家呪法を明かされ、彼らを呪法から解放し、復習を実現する約束をした。大斎原の蓋を開けさせるために、那智の者のカオルに我が呪いで三つ目を施した。そして、カオルの肉体に換生し、カオルの魂を別の胎児に換生させ司と名乗らせた。いずれ全世界の闇戦国を制覇する。」聞いて驚愕する。更に、信長の家臣になれば布都御魂を景虎に使ってもいいという誘いを受けた直江は、額に「魔王の種」を植え付けられ、高耶の前に現れる。絶望する高耶だが、直江が最後の賭けに出ていることに気づき、直江の選んだ修羅の道を高耶は呑む。高耶救出のため外宮に潜り込んだ赤鯨衆だが、早田が直江に調伏され、既に信長と共に動塞安土城に移された高耶は、赤鯨衆や四国中に信長の奴隷と成り下がったあられもない姿をさらされてしまう。
信長に囚われていた潮は竜の氏康に助けられ、織田を倒すために協力する武将達を集めていた氏康に協力する約束をする。
隆也は、残りの神を守るために修していた護摩の炎の中に、崇徳院と格闘する千秋の姿を見る。千秋は隆也に怨嗟玉を取り返すよう頼み、その所在を知るカオルが熊野を守ってという礼の願いを受けて信長のもとへ行く案内を引き受ける。


炎の蜃気楼35「耀変黙示録Ⅵ-乱火の章-」
第1版発行 2002年8月10日
信長は嶺次郎に「二十四時間以内に、赤鯨衆を解散し、首領の首を差し出せ」と伝え、嶺次郎は高耶を取り戻すべく、信長のもとへ向かう。信長の魂を呼び覚ましたのは、信長を神として崇めていた大崇信六王教の教祖・阿藤家だった。そして、「闘うハトの会」のリーダー・阿藤忍は現御灯守・守信の孫だった。高耶は蘭奢待の幻覚の中に現れた礼と共に八咫烏に導かれて、消えた神のもとに向かう。檜垣小源太とコンタクトをとることに成功した高耶は、礼を黄泉の世界に残し、布都御魂を取り返すべく、八咫烏を通して行動を起こす。外宮の結界を破壊しに向かった岩田永吉は信長に操られた綾子に調伏され、兵頭は信長の捕虜となり、信長の思想に共感してしまう。信長は、外宮に攻撃を繰り出す朝熊岳に向けて、動塞安土城から「三種の神器」を発動するが、譲に邪魔をされ、清正たちは直撃を免れる。無心で忠誠を尽くさないと信長に勝てないと判断した直江は、自己催眠をかけ、「三種の神器」発動の隙に、高耶を脱出させようとするが、鮎川と色部が現れ制止される。
怨嗟玉を取り返すべく伊勢へ向かおうとする隆也たちの前に、三本腕のヒルコこと兼光晋吾が現れ、裏切ろうとするカオルに銃口を向けるが、恨みの連鎖を断ち切ろうとするカオルの真摯な眼差しを見た兼光は、自らの頭に発砲し息絶える。そして、最後の砦の熊野本宮大社も金色の雨に呑み込まれ絶望の中にあった隆也に、高耶や千秋の加勢にやってきた三池哲哉が協力を申し出る。


炎の蜃気楼36「耀変黙示録Ⅶ-濁破の章-」
第1版発行 2002年11月10日
四国大転換のひと月後、四国征伐のため色部は開扉法を行ったが、冥界は崩壊し、その暴走を鎮めたのは信長だった。なす術がなくなった上杉軍は織田の支配下に置かれ、色部は自殺を図るが、蘭丸に催眠暗示で自殺できない体にさせられ、裏四国を消すことが使命となっていた。上杉景虎を名乗った金色の八咫烏が全国の怨将の前に現れ、信長の野望を阻止すべく彼らを導いた。さらに美弥と一蔵の前にも現れた八咫烏は、美弥と佐和子を引き合わせる。
兵頭は、信長に寝返り親衛隊となるが、高耶の必死の訴えに気持ちが揺らぎ、直江を刺して景虎を討ちにきた鮎川から高耶を庇って、鮎川の放った銃を受け、瀕死の状態となる。
嶺次郎と共に城に入った譲は信長と交戦するが、譲が食べた「魔王の種」が芽吹いて譲の体を突き破り動けなくなる。そして、高耶救出に向かう嶺次郎たちの前に現れた信長の破魂波が嶺次郎たちを呑み込む。
信長を討ちにきたカオルと、高耶を助けにきた哲哉の力を借りて霊枷を外した高耶は天守閣を爆破し、駆けつけた清正の援護を受けて天守閣から脱出する。なんとか怨嗟玉を手に入れた隆也は、隆也の言葉に心を動かされた色部と共に京を向かおうとするが、ふたりを載せたヘリは爆発してしまう。護衛艦を奪い取った潮たちは安土城の攻撃を始めるが、大斎原の大霊の攻撃に護衛艦は撃沈する。高耶は、ヘリで内宮に向けて飛び立つ信長を怒りを覚えつつ、譲に助けられた隆也を清正に任せ、城を沈めるべく譲と力を合わせる。直江に憑依した色部が「来る」と声を発し、千秋と綾子に伴われた崇徳院の怨霊が高坂の掲げる怨嗟玉目指して突っ込み、動塞安土城は跡形もなく崩壊する。


炎の蜃気楼37「革命の鐘は鳴る」
第1版発行 2003年1月10日
高耶は譲に助けられたが、前頭部には観音像が角のように張り付いていた。それは、破魂波で砕け散った赤鯨衆の仲間の魂を譲が集めたものだった。直江は、他人の意識を超過去或いは超未来と縫い合わすという、弥勒の時空縫合にはまっていた。譲から「直江は生きているが、二度と会うことはできない」と聞かされた高耶は、それでも直江を呼び続け、高坂の助力を経て直江も祈り、時空縫合の膜を突き破る。
動塞安土城を脱出した清正のもとに、八咫烏に導かれた真田幸村がやってきて、豊臣秀頼の後見人として協力するよう申し出るが、赤鯨衆の人間となった清正は、もう主をもたぬと、幸村と対峙する。格闘を繰り広げる両者を政宗が制止し、長宗我部盛親、秀頼も信長を討つことに協力すると言う。
内宮に向かう信長の前に対峙した光秀の仕掛けたトラップにより、信長は光秀を道ずれにして呪符の中へ消え、駆けつけた高耶と清正が安堵するのもつかの間、地面を突き破って脱出した信長の攻撃をうけて昏倒した高耶は信長に連れ去られ、清正たちは信長の放った破魂波に呑み込まれる。遅れて、潮、哲哉、カオル、嶺次郎が到着し、次々と仲間を失った嶺次郎は復讐鬼と化す。嶺次郎の盾となった中川と楢崎は破魂波に呑み込まれてしまっていた。高耶を抱えたまま内宮に向かう信長の前に直江が現れ、破魂の手形を貰おうとするが、信長は、禁忌大法に力を貸すか、ここで自分と闘うかを直江に選択させる。
動塞安土城での戦いが行われている最中、行方不明になっていた京都市民から知人宛に自分たちの無事を報せる電子メールが届き始めていた。そして、隆也のもとにもテルからメールが届き、テルとの通信ができるようになる。


炎の蜃気楼38「阿修羅の前髪」
第1版発行 2003年7月10日
布都御魂を手に入れるため信長と戦うことを選んだ直江が、怒濤のエネルギーを信長に撃ち込み、目覚めた高耶とかけつけた嶺次郎、潮の攻撃を受け、またカオルに銃で肉体を撃ち抜かれ、霊体となった信長は結界を突き破って逃げ出す。禁忌大法は発動中のまま内宮を藩織田方の軍勢が抑え、いまだ織田方の手にある外宮と対峙する。高耶は、布都御魂の力で魂核異常の根治を行おうとするが、布都御魂に拒絶され失敗に終わる。
伊勢の市街地に突如出現した大斎原の大霊を譲の率いる一団が一体一体潰す。半分は正しい意味で退治できたが、半分は譲が呑み込んでしまい、譲の体から生えた「魔王の種」から芽吹いた蔓には蕾をつけている。ナリタ草と名付けられた花の蜜には毒消しの力があり、高耶の鬼八の毒にも効果があった。
九鬼水軍の攻撃で室戸丸が炎に包まれるが、兵頭の霊が船に宿り、今までとは比べものにならない威力で九鬼水軍の船を沈めていく。そしてついに九鬼水軍、熊野水軍を撃破する。
直江は「魔王の種」があるため監禁状態となるが、「魔王の種」を通じて信長の気配を察知せきるようになっていて、内宮に向かっていることを感じとる。布都御魂を石上神宮に護送する準備をしていたカオルの前に礼が現れる。しかし、礼は信長に換生されていた。


炎の蜃気楼39「神鳴りの戦場」
第1版発行 2003年11月10日
内宮は信長によって陥落し、禁忌大法が成就して熊野が炎に包まれる。そして、斎王たちが現れ、怨霊たちの殺気を洗い流してしまう。内宮内へ侵入した高耶たちは、信長との激闘を繰り広げるが、国譲りは成就してしまう。しかし、東照宮の攻撃を受けて真殿は沈黙し、真殿とその周りは「弥勒の蔓」で覆われ、神宮は凍りついてしまう。蔓の中から高耶だけが現れ、嶺次郎に安土城攻めを任せ、平家と交戦中の千秋たちの応援に行く。しかし、嶺次郎は高耶だけに影がないことに気づき、これきり会えないような予感が襲う。
上杉軍とともに平家軍に立ち向かう色部と千秋だが、苦戦を強いられていた。そこへ高耶が駆けつけ、高耶の指揮で息を吹き返した上杉軍と、調伏力が復活した千秋と色部が総攻めにかかり、光秀の助けを受けて色部が清盛を調伏するが、そこにいたはずの高耶の姿は消えていた。
信長の意識操作に力尽きた直江に、高坂は「千二百年ほど前に初生し、弥勒の時空縫合を受け数十年彷徨っていたところを、弘法大師に助けられ、そのとき見た流れを変えるために、換生を続けた」と語る。満身創痍の体で「弥勒の巣」の中に入った直江は、もう息の細くなった高耶に歩み寄り、心御柱に一緒に行ってくれという高耶を抱いて、天御柱の光のなかに消える。
平維盛の肉体を失い、人面獣の姿となったカオルから「禁忌大法を破った斎王を探し出す」ことを任された潮と隆也は、朝原内親王を呼び出し、黄泉からテルたちを返すため、親王に従って花の窟神社にやってくるが、すでに織田に占拠されていた。
長与は斯波英士の死を確認するために、斯波が出演するスタジオに向かうが、信長の攻撃を受けて心肺停止状態となる。長与が不測の事態に備えて、タクシーの運転手に預けていた高耶のインタビューのテープを矢崎がみやこテレビに届ける。


炎の蜃気楼40「千億の夜をこえて」
第1版発行 2004年5月10日
心御柱とは、まだ人に文字もなかった頃の記録術で、天孫族たちは柱に思念を刻みこみ、歴史の記録となしたのだった。高耶は、冥界上杉軍の残留思念の具象化として現れた謙信から「冥界を崩壊させたのは信長であり、上杉軍の霊魂を禁忌大法の生贄にした」と聞かされ、謙信から授かった封印の鍵を手に、直江とひとつに繋がって、信長の元に向かう。
潮たちは、花の窟神社を占拠していた織田を退かせ、朝原内親王の指示の元、「通黄泉の法」を執り行い、織田の攻撃で重症を追いながらも、現代人と協力して黄泉へと送られた人々を戻す。しかし、潮は満足そうな笑みを浮かべて、息を絶えてしまった。
聖安土城攻めを任された嶺次郎は、高野山の僧侶の協力を得て、四国の太龍寺で獣見阿闇梨が「辰砂の道」を通し、後七日御修法を高野山の金剛峯寺で行い、延暦寺が受け止め、安土城を攻撃する。衝撃で天守閣は崩れたが、礼に換生した信長が、八尺瓊勾玉を壊そうとする嶺次郎たちを阻止し、「三種の神器」を完全に我が物として、霊体のまま天頂めがけて飛び上がる。
後七日御修法発動直後、天御柱が息を吹き返し、助太刀に入った高坂が初めて自分と弥勒の過去を語る。高坂は光仁天皇の孫にして桓武天皇の甥の五百枝王であり、弥勒の千二百年前の姿であった坂上田村磨呂とともに桓武帝に及ぶ崇りを鎮める使命を請けていた。しかし、早良親王の怨霊を鎮める最中、弥勒としての本性が目覚めた田村磨を止めようと、玉纏御太刀で田村磨の心臓を刺したのだった。田村磨の絶命間際、五百枝王は時空縫合にかけられ、数十年彷徨い続け、空海に助けられた。高坂はこのとき見た未来を変えるため換生し続けてきた。譲と高坂、綾子が柱の膨張を全力で食い止め、信長の元にたどり着いた高耶と直江は謙信の力によって、心御柱を砕き、信長は心御柱から抜き去られ、布都御魂とともに蘭丸と飛び去る。色部ら上杉軍とともに、死闘の末、平将門と楠木正成を倒して、高耶の元に駆けつけた千秋だが、肉体に戻った高耶の瞳からは赤い色は消え、命の終わりが近づいていた。直江は高耶の最後の呼吸を吸い取り、高耶は二十二年の生涯を閉じる。
石上神宮で信長を迎え撃った夜叉衆は、謙信から渡された鍵で呼び出した冥界上杉軍の力と、黄泉から戻ってきた天照大御神の力により、信長を消滅させる。
嶺次郎は、幸村たちに助けられ、堂森とともに四国に帰還し、新たな怨将を仲間に受け入れ、霊体のまま赤鯨衆を指揮する。
信長を倒して石上神宮から直江が戻ってくると、泉から水が消え、窪みの底から二、三メートルの桜の木が佇立していた。泉に沈めた高耶の亡骸はなく、衣服だけが木の根元に残っていて、泉のそばには膝を抱えたままの姿で岩と化してしまった譲がいた。
色部は信長の浄化を見届けて自分も浄化し、晴家の肉体は病院に運ばれたが、肉体が駄目なら浄化すると決めていた。高坂の安否は確認できなかった。魂が老いるまで換生を続けるという直江に、長秀はついていくと答える。信長の死で終息したようにみえた戦も、「高天原」対「大斎原」という新たな火種が残され、直江たちは大斎原霊の浄化する役目を担う。


炎の蜃気楼-Exaudi nos「Exaudi nos - 永劫を背負える愛」
第1版発行 1995年3月10日
信長との最終決戦から二十五年がたとうとしていた。夜叉衆のなかで生き残ったのは色部勝長だけで、直江信綱はすぐに橘義明に胎児換生し、柿崎晴家は一時的に換生した縮体がまもなく死にいたり、直江に遅れること約八年で門脇綾子の身体に胎児換生した。安田長秀は行方不明で、上杉景虎はいまだその安否さえわからなかった。景虎のいない夜叉衆をひとり支えてきた色部勝長の縮体である六十近い医師・佐々木の命はもうあまり残されていなかった。直江二十四歳、綾子十六歳。六歳のときに色部から景虎の安否がわからないことを聞かされた直江は、左手首を切り、自殺を繰り返していたが、それもだいぶ落ち着いてきていた。
直江は長兄・照弘の仕事相手から「譲り受けた古美術の観音像が夜中にすすり泣く」と相談を受る。その観音がマリア観音であることに気づき、直江は観音が見つかったという柳瀬家を訪れる。「観音の持ち主は、エルナンド・トラバスという転び伴天連(バテレン)で、平戸の棄教者であった陶磁師が作ったものだった。後に、長崎に潜伏した隠れキリシタンたちのものとなり、そのころから涙を流すようになった。」と柳瀬泰造から聞き、孫娘・里穂の案内で浦上天主堂にやってくると、マリア像についたトラバスの念は、天主堂に満ちた祈りの念に包まれて、剥がれていった。直江は、イエスとユダの姿に、景虎と自分を重ね辛い気持ちになるが、景虎はどこかで必ず生きていると信じるのであった。


炎の蜃気楼-Exaudi nos「GOLD WINNER - 秋の陽に消えた天馬」
第1版発行 1995年3月10日
東京競馬場のメインレースでのみ、第四コーナーで不自然な転倒事故が相次いでいた。その時、出走馬以外の馬の脚だけが現れると聞き、事故のあったレースのビデオを見ていた高耶は、前日のレースのビデオに、馬の零体が映っているのを見つける。綾子の霊査により、十二年前、晴れ舞台の日本ダービーの第四コーナーで骨折して殺処分となったディアリバー号であることがわかった。この時の騎手、小原騎手も落馬して、下半身不随となり、怪事件が起こり出す直前に亡くなっていた。ディアリバーは自分も骨折したのに、第四コーナーで落馬して気絶している小原を心配そうに揺すっていたという。ディアリバーの、小原騎手を乗せてゴールしたいという思いが、この事件を引き起こしていた。高耶の手引きにより、ジャパンカップで最後の直線を力強く走ったディアリバーと小原は、一着でゴールすると、夕陽に溶け込むようにして消えていった。

炎の蜃気楼-Exaudi nos「夜を統べる瞳」
第1版発行 1995年3月10日
佐久間に憑依していた一色義道は、大阪の臨海都市計画を息のかかった企業にまかせて、その収益をはねるため、金子と手を結ぼうとしていた。一色は、金子の交換条件で、脱税容疑で金子を調べていた検察を二人呪殺していた。一色は、金子との話し合いのためにホテルにやってくるが、待ち構えていた高耶たちに調伏される。静寂につつまれたスイートの部屋で夜景をバックに、直江は高耶にワインを口移しする。直江は、高耶の見開かれた瞳を見つめかえす。

炎の蜃気楼-群青「群青」
第1版発行 1996年3月30日
氏政・氏照兄弟が三郎景虎と再開する三年前の話。氏照は、秀吉に攻められ八王子城で討ち死にした者たちに詫びにやってくる。城兵たちは氏照を恨んではおらず、逆に詫びてくる。小田原では氏政が刺客に覆われ、氏政邸や松原神社が破壊される。氏政が箱根の氏照邸に居館を移すと、今度は早雲寺や箱根ロープウェイに攻撃をしかけ、多数の死傷者を出す。怒った氏政は綱成と憑坐を交換し、氏照と綱成は大涌谷で刺客の一人、双子の弟・松田勝秀を討つ。一方、氏照邸では、兄・松田隆秀が逆恨みで氏政の命を狙ってくるが、小太郎に撃たれ、霊獣の獅子によって霊は消滅し、一件を終えた。

炎の蜃気楼-群青「七月生まれのシリウス」
第1版発行 1996年3月30日
仙台で起きた最上と芦名の呪詛事件の後始末で、東京にきていた高耶と直江は、すべて片づけて、割烹料理店で夕食をとる。ホテルへ帰る途中、高耶は直江から、母親からのバースデーカードを渡され、涙が止まらなくなる。ホテルに戻ると、千秋、譲、美弥が待っていて、近くの公園で花火をする。

炎の蜃気楼-砂漠殉教「十八歳の早春賦」
第1版発行 1997年10月10日
譲は城北高校の卒業式を迎えるが、高耶がこの場にいないことに苛立ちを感じる。卒業コンパを途中で抜け出した譲が引かれるものを感じて城北高校に向かうと、門には校舎を眺める高耶の姿があった。譲は、小太郎を直江と思い込んでいる高耶に本当のことを言おうとするが、高耶の生きてきた四百年にはなにもかなわないと悟り言い出すことができない。そんな苛立ちをぶつけてきた譲に高耶も本音を返し、お互いの心を確かめるように夜の校庭でふたりはサッカーボールでパスしあい続けた。
高校を後にしたふたりは、交通事故で亡くなりずっと母親を待ている少女の霊がいる交差点にやってくる。高耶は少女を母親のもとに届け、高耶の説得に応じた母親の優しい言葉で、少女は事故の直後になくなったおばあちゃんのもとに向かう。


炎の蜃気楼-真紅の旗をひるがえせ「ふたり牡丹」
第1版発行 2004年1月10日
加助の霊を沈め落ち着いていた高耶たちだが、また学校で幽霊騒ぎが起きる。調査を行っていた高耶たちは、松本城に提灯行列が集まっているのを見る。そんな中、松本城で観光客が階段から落ちるという事件がおき、高耶たちは怨霊調伏に向かい、天守閣に現れた女の子の霊が成仏したがっていると知り、調伏をする。学校に現れた霊は、落とした口紅を探して沼で溺死した女の子だと分かり、高耶と千秋は口紅を探し出し、供養する。

炎の蜃気楼-真紅の旗をひるがえせ「鏡像の恋」
第1版発行 2004年1月10日
伊賀の乱で織田に滅ぼされた伊賀惣国一揆の怨将が、信長に処刑された叔母の岩村御前が結び付き合った蛇霊・蛇骨入道を用いて、伊賀上野城を根城に織田へ抗戦しようとたくらんでいた。伊賀惣国一揆の怨将たちが芝東照宮で会合をしていたところへ、森蘭丸が現れ、蛇骨入道が暴走するが、彼らを監視してい高耶たちにより調伏される。そんな中千秋は、行方不明の弟を探していた縮体の姉・菜摘に出会い、思わぬ感情に困惑し、催眠暗示で彼女から記憶を消すことができなかった。

炎の蜃気楼-真紅の旗をひるがえせ「真紅の旗をひるがえせ」
第1版発行 2004年1月10日
高耶と直江は、士気高揚のために赤鯨衆の旗を作る案を持ち上げ、潮が指揮を任されて図案を公募する。直江は以前絵を描いているのを見かけた叶に旗印の図案のデザインを依頼するが、贋作師が描く旗は不吉だと断られる。
間諜が伊達方の使者と接触するという情報を掴み、足摺海底館に向かった高耶たちの前に現れた間者の正体は叶だった。高耶の問いに、自分が描いた絵を大家に売ったが、それを取り戻したかった叶は、伊達の便宜を図るという誘いに乗り、間諜となったと応える。高耶の真摯なまなざしに癒された叶は筆で描いた鯨の絵を残し、憑依を解いて逝ってしまう。その日、叶が描いた絵が原因不明の失火で消失し、焼け残りの部分から作者名とは違う別のサインが出てきた。叶は赤鯨衆に有利な偽情報を伊達に流そうとしていた。そして、真紅の大旗に叶が残した鯨の絵が描かれた、赤鯨衆の旗が誕生した。


炎の蜃気楼-真紅の旗をひるがえせ「さいごの雪」
第1版発行 2004年1月10日
高耶の砦攻めのプランの疑問点を問うために、高耶の部屋を訪れた兵頭は、うたたねをしていた高耶の寝顔が案外幼いことに驚く。四万十の隊士のルーズさに苛立っていた兵頭だが、高耶の霊をも育てようとする考えについていけないものがあった。廃校の木造校舎のホールへの階段を下りていくふたりの先から直江が現れ、高耶が直江に寄せる信頼感に兵頭は嫉妬を感じる。潮が小太郎とケンカして怪我をしたという知らせを受け、高耶は階下へ駆け出す。

炎の蜃気楼メモリアル「捨てられた猫のように」
第1版発行 2005年5月10日
冬の夕立に会い、シャッターの閉まった店の軒先で雨宿りをしていた高耶は、路地に捨てられた灰色のトラ縞の仔猫を見つけ、宿泊している新宿のホテルに連れ帰る。衰弱していた仔猫は高耶の手当てで回復するが、高耶が風邪をひいて熱を出して寝込んでしまう。捨て猫に自分の姿を重ねた高耶は、直江に「中学生のころ一度だけ、再婚した母親のいる仙台に行った」話を語りだす。

炎の蜃気楼メモリアル「CALL-捨てられた猫のように2」
第1版発行 2005年5月10日
新宿で拾った仔猫を松本に連れ帰った高耶は、譲と共に仔猫の貰い手を捜し始めるが、なかなか見つからず、千秋と一緒に飼い主を探していた美弥と合流したところで、三井に声をかけられる。仔猫は、三井から紹介された老婦人に引き取られるが、逃げ出だしてしまう。雨の中、高耶はずぶぬれになりながら仔猫を探すが見つからず、罪悪感に苛まれながら団地に戻ると、階段の入口に仔猫を抱いた直江が待っていた。母親の気持ちがわかった気がした高耶は仔猫を預かることにし、老婦人は直江の実家の近所で生まれた猫を引き取ることになる。

炎の蜃気楼メモリアル「Decadent Eve」
第1版発行 2005年5月10日
橘不動産の東京事務所として使っている、隅田川と東京湾を望む二十五階にある広めの2LDKで仕事をしていた直江を高耶が訪ねる。自分が訪れたことが迷惑なのではないかと察した高耶は帰ろうとするが、直江に引き止められ、キッチンに道具が全然ないと知ると、直江に買出しに行かせて、料理を始める。食事を終えた高耶は、最終で帰るつもりでいたが、睡魔に襲われ、直江が起こしてくれるという言葉に甘え、少し眠る。目覚めた高耶は、直江が起こさなかったことに激怒するが、明日築地に連れて行ってくれるという誘惑に負け、そのまま留まる。

炎の蜃気楼メモリアル「四万十日記」
第1版発行 2005年5月10日
キャンプから戻った高耶は、卯太郎や潮の心配もそっちのけで、息つくヒマもなく仕事を始めようとする。また、喧嘩を始めた隊士たちを直江が止めに入るが、直江も喧嘩に巻き込まれる。毎日の臨戦態勢にピリピリしている高耶と隊士たちを息抜きさせるため、潮は廃校のグラウンドで野球を始める。はじめは怒っていた高耶だが、イライラしていた自分を反省し、花火まで持ち出した潮をなじって、直江にバケツを用意するよう命じて立ち去る。

炎の蜃気楼メモリアル「氷結の夜-THE GUILTY NIGHT」
第1版発行 2005年5月10日
夜叉衆一行と美弥は、橘家の知人が経営している旅館で正月をすごしていた。千秋たちとカラオケに行った高耶だが、綾子たちの酒癖の悪さにうんざりして部屋に戻ってくる。留守番していた直江を露天風呂に誘うが、家臣の自分は一緒にはいれないと断られ、寂しげに出て行く高耶を直江が追いかける。直江は庭から渓谷のほうにむかう石段を降り、石段の足もとを照らす明かりが途切れたところで、ついてきた高耶が直江を引き止める。そして、高耶とは同等になることはできないが、ひとつだけ立場を逆転させることがあると、引き返そうとする高耶を背中から抱くすくめる。

炎の蜃気楼メモリアル「Northern Cross」
第1版発行 2005年5月10日
崖の先端に立って海風に吹かれながら夜空の星を見上げる高耶に、直江は後ろからオルフェウス伝説を語る。亡くした最愛の妻を生き返らせるために冥界に向かったオルフェウスは、王の「地上に出るまで妻を振り返ってはいけない」という条件を、あとすこしで地上に出られるところで破ってしまい、妻のエウリディケは冥界に引き戻されてしまった。高耶の「オレが死んだらどうする?」の問いに、直江は「取り戻しにいく」と答える。「信じられない」と言う高耶に、直江は自分の気持ちをぶつけ、振り返ろうとしない高耶を背中から抱きしめる。

炎の蜃気楼メモリアル「聖痕」
第1版発行 2005年5月10日


炎の蜃気楼-赤い鯨とびいどろ童子「赤い鯨とびいどろ童子」
第1版発行 2007年8月10日
憑依という形で400年後に復活を遂げた嶺次郎は状況が呑み込めず、路頭に迷っていたところを草間に助けられ、高知市の郊外にある山ふもとで空家になった農家の平屋をねぐらに暮らしていた草間と行動を共にする。また、三好から逃れてきた、草間の知り合いの医者の息子の中川も仲間に加わり、中川から、怨霊同士で戦が始まっていることを知らされる。中川を取り戻しに三好方が隠れ家に押し寄せるが、嶺次郎たちに見事に撃退され、その強さに惚れ込んだ岩田永吉が嶺次郎たちに寝返る。
心霊治療を得意とする中川は、憑依霊の診療所を開業すると、行くあてのない憑依霊がそのまま居着き、仲間が増えていった。穏やかに暮らし始める仲間にイラつきを押さえられない嶺次郎は、針原の里に庵を構える草間を助けた寿桂尼を訪れ、尼僧からガラスでできた「びいどろ童子」と呼ばれる、怨霊が封じられているという矜羯羅童子の像を仲間にしてほしいと渡される。ある日、山内家家臣の倉田庄左右衛門率いる怨霊が嶺次郎たちを襲い、嶺次郎は危ないところで、びいどろ童子に助けられる。更に童子は、土佐勤王党の染地伸吾など、次々仲間を嶺次郎のもとに連れてきた。本山茂辰に奪われた浦戸城の奪還に向かった嶺次郎たちは、矜羯羅童子の助けを得て、城を奪い返し、自分たちを土佐赤鯨衆と名付ける。
ある夜、矜羯羅童子は眷属であるという騎馬武者が現れて、びいどろ童子を奪われ、以来赤鯨衆のツキはがた落ちしてしまう。びいどろ童子に船が襲われたと、浦戸に押し寄せてきた室戸水軍の兵頭の話から、童子を奪ったのが安芸国虎であることを察した嶺次郎たちは、国虎から童子を奪い返そうとするが、国虎との交戦でびいどろ童子の像が砕け、中から卯太郎という少年の霊が現れる。びいどろ童子から離れた卯太郎は童子の力を失ってしまうが、赤鯨衆の仲間として一所懸命働いた。


炎の蜃気楼-赤い鯨とびいどろ童子「終わりを知らない遊戯のように。」
第1版発行 2007年8月10日
伊達の砦に夜襲をかけた赤鯨衆だが、撤退に手間取い、高耶たちがしんがり引き受ける。しかし、高耶と直江は、逃げる途中で山の斜面に転落し、なんとか中学校の倉庫に身を隠す。捻挫をした高耶の手当てを終えた直江は、高耶に覆いかぶさるが、物音がして倉庫の戸を開けると犬が迷い込み、高耶の膝で眠ってしまう。

炎の蜃気楼-赤い鯨とびいどろ童子「拝啓、足摺岬にて」
第1版発行 2007年8月10日
交通事故で死んだ民谷美久の霊体は成仏の仕方がわからず、呼ぶ声に導かれて四国にやってくる。高耶と共に、遍路は始めた美久は、般若心経も堂に入ってきたころ、初めて家族や親友のことを思い出す。みんなにさよならを言いたいと高耶に縋るが、憑依しないと叶わないと知ると、美久は、遺してきた人たちのことを思ってお遍路するようになった。金剛福寺にやってきた美久は、未練の正体を思い出したことを高耶に告げ、高耶から換生という形で四国から出る方法があると聞かされるが、そのまま成仏する道を選ぶ。美久は両親と親友宛の手紙を投函し、足摺岬から飛び立って行く。

炎の蜃気楼邂逅編-真皓き残響「夜叉誕生」
第1刷発行 1999年3月10日(B6判)
換生した色部勝長は、上杉謙信の命を受け、御館の乱で景勝に破れて怨霊大将となった上杉景虎を鎮めに向かうが、景虎の圧倒的な力の前に倒れる。しかし、景虎は上杉謙信の天誅を受けて天へ吸われ、二度と姿を現さなかった。
謙信は、天の闇界で魂を鎮めた景虎に、謙信の名代として地上に降り、怨霊を調伏する任を与える。科人に換生した景虎は、迎えにきた色部と共に牢獄を脱走するが、換生に伴う強い違和感に悩まされ、ふさぎこんでしまう。色部の説得に、ようやくふんぎりをつけた景虎は、丸薬売りに変装して、色部と春日山城へ出立する。景虎は色部から、後見人のひとりが信頼のおける柿崎晴家と聞き安堵するが、もうひとりが、御館の乱の首謀者と言われ、景勝の重臣だった直江信綱と知り、憤怒する。
景虎と勝長は、怨霊の仕業によって水が涸れ廃墟と化していた不動山城下の蔵王堂の集落を訪れるが、自分たちも水分を吸われ倒れていたところを蓮右衛門に助けられる。しかし、景虎たちを助けた村人は、城を落城に陥れた蔵王堂の者であり、景虎たちは、怨霊を鎮めて再び村に水を戻すための生贄として捕まってしまう。城では、城蟷螂と呼ばれる生き人の女が、贄の男たちから子種を得て生まれた子に城兵の霊魂を移し替えようとしていた。城蟷螂は最後まで城を守ろうとした坂崎庄右衛門の妻・寧であり、蓮右衛門は不動山から帰還した最後の生き残りで寧の弟であった。そして、贄の迎えをしていた少年・竹王丸は庄右衛門と寧の息子で、わが子惜しさに城から逃げた寧は、その罪滅ぼしに死霊のために赤子を産もうとしていた。また、蓮右衛門はその赤子に蔵王堂の村人を襲わせて復讐させるために贄を送り込んでいた。義姉を助けにきた庄右衛門の妹・鷺と直江も合流し、怨霊の激しい攻撃に苦戦するが、虎は誰に教わるでもなく、強力な光包調伏を行使しすべての怨霊を調伏してしまう。直江はあくまでも謙信の命令で景虎を主人とすると主張し、景虎は勝って生き残った奴らのためではなく、仲間の怨霊を眠らせるために調伏をすると告げる。


炎の蜃気楼邂逅編2-真皓き残響「妖刀乱舞」
第1刷発行 2000年3月10日(B6判)
怪しい妖刀が出回り、その刀を手にした者は突然乱心して周りの者を惨殺し、自らも自殺してしまうという奇怪な事件の噂を聞いた景虎たちは、春日山城下に向かう。狂刀をバラまいたのは景虎公と自分たち黒鳥党だと言う少年・滋妙太と出会った景虎と直江は真相を確かめるため、仲間になりたいと申し出る。黒鳥党の隠れ谷には、景虎を名乗る能面をつけた若者と、狂刀騒ぎに遭遇した景虎たちを助けた杣の葵助という男がいて、越後を景勝から取り戻そうとしていた。しかし、その裏では、景勝を脅して春日山から金を取ろうと、日輪斎、月輪斎兄弟がたくらんでいたのだった。偽景虎は八朗といい、貧しい村で生まれ、買われた先を逃げ出した罰として、主人に顔を松明で焼かれた。御館の乱後、その主人により、八朗の母と姉は人買いに売られ、八朗は積もり積もった怨みに駆られて主人を殺害してしまう。主人殺しの罪で追われていた八朗は日輪斎に助けられ、母と姉を買い戻す金を手に入れるため、彼らの企てに乗ったのだった。八朗が持っていた吉祥丸が偽者であることを確認した景虎が八朗に本物のありかをつきとめようとすると、轟音と共に大きな揺れが起こる。集められた念同士が結合し巨大な化け物と化した狂刀が駆けつけた景虎を襲い、苦戦を強いられた景虎のもとに、日輪斎に「三郎次を斬るよう」暗示をかけられた直江が現れ、景虎に刃を向ける。直江は葵助によって暗示を解かれ、3人力を合わせて付喪神を倒し、皆に月輪斎兄弟の企みと景虎が偽者であることを告げる。騙し取った金は戦に敗れた遺民のために使うと信じていた八朗は、逆上して月輪斎を刺し殺す。黒鳥党から吉祥丸を盗み出したのは葵助だった。日輪斎の鎌賭けにまんまとのせられ、刀を守っていた藤と、葵助を追ってきた景虎、三郎次追ってきた滋妙太を人質に取られ、葵助が刀を日輪斎に渡そうとするが、景虎の念が爆発して庵が崩れ、全員下敷きになる。ひとり脱出した滋妙太は、吉祥丸に操られて春日山に向かう。
狂刀の聞き込みをしていた勝長は、春日山の密偵と間違えられ、黒鳥党に襲われるが、嫌疑が晴れた勝長は、彼らが景虎公による越後奪回しようとしていることを聞かされる。勝長を襲ったミツは、木場城代・神余仁右衛門の妻で、三条城の落城とともに討ち死にした夫の仇を討つために黒鳥党に加わったと、勝長に話すが、その実は神余家復興を約束に、景勝への臣従を拒んでいた新発田重家の形勢を逆転させるために動いていた。
春日山城下と府内は狂刀騒ぎが拡大し、黒鳥党の生き残りが放った火による火災で混乱するなか、葵助こと柿崎晴家は、大場の怨霊を引き連れて、自分を陥れた直江を攻撃する。晴家は景虎に越後転覆をさせようと謀っていたのだった。晴家を負かした直江は、景虎に憑依しようと群がる怨霊に向け、初めての調伏を放つ。生き人には調伏力は効かず、無事に怨霊を取り払った景虎は晴家の気持ちを受け止める。勝長が景虎の指示通り、春日山城の頂にある毘沙門堂に向けて毘沙門弓を射放つと、毘沙門堂から生じた霊波動が城下へ広まり、狂刀の動きが止まる。それでも、吉祥丸に支配されて殺戮を繰り返しながら、春日山城の門前までやってきた滋妙太に、景虎と直江が立ち向かう。景虎は振り下ろされた吉祥丸を素手で抱きしめ、吉祥丸は大爆発とともに木っ端微塵となる。


炎の蜃気楼邂逅編3-真皓き残響「外道丸様(上)」
第1刷発行 2002年1月10日
黒鳥党の事件から景虎は変わってしまった。問答無用で調伏しまくり、夜になると酒浸りに陥り奇行に走っていた。虚無を餌とする玄奘蜘蛛に捕まってしまった景虎は、眠り続け何をしても目覚めない。宿を借りに来た瞽女から、同じ目にあった者は皆なくなったと聞かされ直江と晴家は茫然とするが、霊体になれば蜘蛛と接触できると知った直江は自らの首に短刀を向ける。まだ息のある直江を助けようとする藤を晴家が制止していると、数日前から景虎にまとわりついていた女の霊・佳那が現れ、継母に毒を盛られている娘を守ることを条件に、景虎にとり憑いた蜘蛛の糸を切りにいってもいいと申し出る。晴家は、継母の犯行を露見させて娘を守るが、佳那の霊力では糸を断ち切ることができなかった。しかし、糸を切ったのは直江だった。直江の声に心を取り戻した景虎は、玄奘蜘蛛をこちら側に引きずり出し、蜘蛛を殺さないでと叫ぶ瞽女をよそに、晴家が蜘蛛を調伏する。玄奘蜘蛛は瞽女の夫で、京で絵師の勉強をするために貯めた金を夜盗に奪われ、殺された無念が蜘蛛の霊と結びついたのだった。
人買いの町・蒲原津では、人買いばかりが血を吐いて死ぬという事件が続いていた。その現場に遭遇した景虎たちは呪殺されていることを確認し、また、虜人たちが何者かの手で逃がされるのを目撃する。晴家と直江は、呪詛石を撒きながら蒲原津の湊へ歩いていく童子の霊と、「外道丸様、ご誕生」と喚きながら通り過ぎる霊の一団を見かける。次に起きた人買いの頓死現場に向かった景虎は、自分を逆竹の兵蔵太と呼ぶ男に捕まってしまう。景虎を浚った男は、宿体の仲間・速之助で、記憶がないという兵蔵太に戸惑うが、盗んだ金塊の隠し場所を思い出すまで外さないと、両者の腕に鉄枷をはめてしまう。そうこうしている間に、景虎を閉じ込めた船は、取人を人買いから逃がそうとする逃がし屋に乗っ取られて沖に出てしまう。不動明王を顕現させ、驚異的な船速を得た直江が、景虎を乗せた船に追いつき、首謀者のあやめと取引をして船に乗り込む。一方、景虎を探していた勝長は呪詛に襲われていた旅芸人を助けるが、呪詛が消える瞬間、藤は弟の顔が現れたのを見る。あやめも呪詛に襲われた旅芸人も切支丹の十字架をつけていた。


炎の蜃気楼邂逅編3-真皓き残響「外道丸様(下)」
第1刷発行 2002年1月10日
不審に思って、善兵衛親子を監視していた晴家は、突如現れた「呪詛石を撒いていた使役霊」の呪詛を受け、倒れる。
景虎たちを乗せた船は、落雷を受けて全員気絶し、蒲原津よりもはるか北、越後と出羽の国境に近いとある浜に漂着する。漂着者が人買いから逃げてきた者と知ると、村人たちは彼らを快く受け入れた。村で導師と呼ばれていた男は、あやめと逃がし屋をしていた鉄で、その側には、蒲原津で呪殺された人買いから取人を逃がしていた男がいた。人返しのために働いていると信じていたあやめだが、魔女のレッテルを貼られ、ゲドの生け贄として捕まってしまう。そして、村が霊の集団に襲われ、苦戦する景虎たちを、使役霊を追ってきた晴家の霊体が助ける。兵蔵太に人格を喰われた景虎は、直江に自分を斬るよう命じ、直江は兵蔵太を斬り、村の少年・仙太に換生させる。善兵衛親子は、晴家たちには「人返しをしていた」と話すが、実際は取人をさらって南蛮人に売っていた。呪者が鉄であることに気づいた善兵衛親子は、藤を生け贄に呪詛返しを行う。ゲド神は、赤と青の炎で、赤い炎は藤の弟凛太郎だった。凛太郎は三年前に起きた取人反乱事件の首謀者で、人買いから逃れようとして、取人と戦をしかけるが、土壇場で人買いに寝返り、凛太郎以外全員処刑されてしまった。逃がし屋をしていた鉄を、凛太郎は見逃し、協力し始める。自分が逃がした取人が、異国へ売られていることを知った鉄は、取人を助けようとするが、南蛮人に囚われ、西洋妖術を叩き込まれる。さらに南蛮人の真の目的は、日の本の国を乗っ取るつもりで、善兵衛は南蛮人の間諜であることを知った鉄は、凛太郎の協力を得て取人を逃がし、取人の村を作ったのだった。鉄は人買いに復讐するため、処刑された取人の妻子に仇討ちされた凛太郎の魂と、新発田重家に毒殺された安田長秀の怨霊を合わせて、外道丸という神を創り出した。ゲド神の炎から、善兵衛が送り込んだ、鉄に呪殺された人買いの怨霊が現れ、鉄の体を突き破る。執念で立ち上がった鉄は、ゲド神を蒲原津に送り込み、止めようとする直江は鉄の呪詛を受けて倒れる。止めを刺そうとした仙太を兵蔵太が止める。兵蔵太は深傷を負ったが、景虎は命を繋いでいた。蒲原津に現れた怨霊と魔方陣の攻略に行き詰った勝長の前に現れた謙信から授かった弓で長秀の霊を抑えるが、凛太郎には届かず、勝長を襲う。生き霊から肉体に戻った晴家は、藤の骸を凛太郎につきつけ、悲憤する凛太郎に、勝長と謙信が立ち向かい、ゲドとその他の霊も一緒に鉄のもとへ押し流す。景虎は、凛太郎の霊にしがみついていた藤の霊体を自分の体内に入れ、噴出した大量の霊もろとも凛太郎の霊を調伏する。
藤は、やがて白衣女と呼ばれる鎮守霊のひとり目として、この世に残る。そして、速之助の換生した安田長秀が景虎たちの前に現れ、景虎は握り締めた拳を震わせる。


炎の蜃気楼邂逅編4-真皓き残響「十三神将」
第1刷発行 2003年8月10日
換生を何とも思っていない長秀は、換生して三日後には調伏を行い、二百の怨霊をひとりで調伏してしまった。
小千谷で橋を怨霊が占拠し、橋を渡れないという奇怪な事象が起きていた。妖異に攻撃されて再び開いてしまった景虎の腹の傷を直した行者・雲門海から、橋の一番奥に怨霊のヌシがいると聞いた景虎たちは、橋への侵入を試みる。雲門海から渡された命綱をつけた勝長と晴家は、蛇身の女人に辿り着くが、攻撃を受け、外の景虎に合図を送ろうと命綱を引くが、綱が切れていて、怨霊の群れに呑み込まれる。綱は故意に半分ほど切られていて、景虎は雲門海に捕らえられてしまう。直江と長秀は、時水の村人に請われて葬列で渡る橋の物の怪の一掃に向かう。ふたりの前にも行者が現れ、ふたりを捕らえようとするが、長秀は容赦なく行者たちに力を撃ち込む。見かねた謙信の天誅が長秀を直撃し、昏倒する。小鬼を竜に変化させて、雲門海からなんとか逃げ出した景虎は、景虎を追って来た直江と合流し、勝長らの救出に向かう。蛇身の女人は、直江たちが村人から聞いた、薬師橋のお百度参りの途中で死んでしまったマツという少女であった。勝長たちは、マツから「最後に薬師如来が眷属十二神将を連れて願いを叶えてくれるはずが、恐ろしい顔をした十三番目の神将が現れて、マツの精気を貪っていった」と聞き、マツの願いを聞き入れて、成仏させようとするが、十三番目の神将に心ノ臓を持って行かれたために、成仏できない。勝長たちの代わりに十三神将の正体を突き止めるため、直江たちが時水の村の葬列で見た薬師橋にやってきた景虎は、十三神将をおびき出すための百度渡りを始める。そして、「小千谷の薬師堂に祀られていた薬師像は、飯山にあった薬師欅からできた仏像で、小千谷と同様に飯山でもお百度渡りで死人が出ていた。小千谷の薬壺欅の根元に、薬師堂と一緒に焼けた薬師像の灰を埋めたところ妖木になった。」と長秀に話した時水の長老は、薬壺欅の妖異に取り憑かれていて、長秀は襲われて魂を抜かれてしまう。さらに、雲門海に化けた薬壺欅に連れ出された直江も、魂を抜かれてしまう。一晩で十二神将を呼び出してしまった景虎の前に、十三神将が現れ、景虎は十三神将の正体である薬壺欅に体を呑み込まれてしまう。妖異から脱出して肉体に戻った直江や、駆けつけた「八海山のおばば」たちのの協力を得て、長秀を十三神将から開放し、長秀の霊魂を体の中に入れた景虎は驚異的な調伏を行使する。初代怨木・薬師欅の犠牲になったお百度渡りの死者の怨念が合体して具現化した十三神将は、あの世へと吸い込まれ、物の怪橋は一斉に失せ、マツも成仏した。


炎の蜃気楼邂逅編-真皓き残響「琵琶島姫」
第1刷発行 2008年2月10日
女怨霊大将こと琵琶島姫が率いるおなご武者の亡霊軍団が、おなごから怨みを買った家ばかりを襲い、「お怨み申します。景虎様」と呟いていると聞いた景虎と晴家は、真相を探りに向かう。待ち伏せしていた景虎たちの前に、おなご武者が現れ、晴家が浚われる。絡まれているところを助けられた、河鹿という化粧師の協力を得て、景虎と勝長は女怨霊大将の本陣に赴く。琵琶島姫とは、上杉家重臣の姫たちの霊であり、おなごたちの長・胡蝶は宇佐見定満の娘・安芸姫であった。おなごのなかには、景虎方として忠誠を尽くしてくれた北条高広の娘・つばきとつぐみもいた。そうとは知らずに、景虎に憑依しようとしたつぐみを調伏してしまった景虎は、つばきに自分の正体を証し、自分の不徳を詫びる。
上田庄の怪異の噂を聞きつけて、野尻池にやってきた直江と長秀は、景勝の父・長尾政景が怨霊葦となって、身体にからみついて池から逃れられないという竜・宇佐見定満がに助けを求められる。謙信の命で、定満は政景を天誅し、怨霊となった政景を池に繋いでいたが、後を長秀に託して消える。直江と長秀は、逃がした政景を追って、琵琶島姫の隠れ家である山中にやってくる。景虎の悲鳴を聞きつけて駆けつけた直江は、琵琶島姫がさらってきた男たちの魂魄を満たしておいた井戸からあふれ出した泥に襲われる景虎たちを助ける。謙信を復元するための塑像を作り上げた胡蝶をとめに入った景虎たちの前に政景の怨霊が現れ、応戦する琵琶島姫たちを呑み込んでいく。勝長と長秀により調伏力を封じていた結界が破られ、景虎たちは政景の怨霊に向けて調伏を行使するが、政景の怨霊を取り逃がしてしまう。景虎たちは、胡蝶を姉の雅姫だと思っていたが、妹の安芸姫であり、姉と同じく謙信に心を寄せていたが、姉ばかりに優しくする謙信を恨むようになっていた。景虎が胡蝶を調伏しようとすると、謙信が現れ、胡蝶をあの世に導いて行く。
景虎の力になりたいと景虎に申し出たつばきは、御館の乱を仕掛けた直江に敵意を抱く。


炎の蜃気楼邂逅編-真皓き残響「氷雪問答」
第1刷発行 2008年7月10日
千年生きた蛇は竜神になれるという、その満願の日を迎えた雪蛇は、成竜の儀を執り行う姿を村人に目撃され、「天帝の罰」を受けて命を落としてしまう。旅の御坊から「弥彦神社の神様にお願いすれば、天帝様にとりなしてくれるかもしれない」と聞いた雪蛇は、弥彦の神様に取り次ぎをしてくれるという天狗に会いに行く。天狗から「我との問答に応えることができたら、取り次ぐ」と言われ、自身のない雪蛇は、景虎たちに後見人となってくれるよう頼む。大天狗・網代坊の問答になんなく応える景虎の前に、網代坊の主・つららと名乗る女が現れ、つららが用意した謎かけに勝利すれば弥彦神に取り次ぐと言う。つららの正体は人間の思念を喰らう狐で、景虎、直江、晴家、雪蛇はそれぞれ、つららが仕掛けた、己の後ろ暗さと問答を繰り広げる。見破った景虎たちは、つららを懲伏し、残された網代坊に、弥彦神との取り次ぎを約束させる。約束通り景虎たちに仕えるため戻ってきた雪蛇は、とても小さな竜の姿となっていた。
新発田の怨霊を調査していた長秀は、仲間になって欲しいという傾奇者の矢次郎にとりついている霊が気になり、監視する。城下では、新発田の館を中心に、六体の古霊が柄杓の形を保ったまま一日一周しており、柄杓星の七つ目の場所は、矢次郎の家である呉服屋で、矢次郎に憑いている古霊だった。矢次郎に憑いている御霊を利用して、怨霊たちに妙見札を配っていた巫女をおびき出すため、矢次郎のもとを訪れた景虎たちは、柄杓星の霊に襲われる。そして、草鞋売りの娘・白菊に気持ちを伝えようとした矢次郎は、白菊にビンタをお見舞いされ、矢次郎の背中の古霊が白菊を襲う。景虎の攻撃により元の御霊に戻った古霊から、「妙見の術は新発田城下を景勝や秀吉の兵から守るための魔陣で、新発田重家が框一族に城下防衛をまかせた」と聞く。矢次郎たちを助けようとした長秀の前に巫女の朱鷺が現れ、矢次郎の背中の古霊を従わせようとするが、景虎が調伏を行使し、矢次郎に幸せになるよう言い残して消えていく。矢次郎は心を入れ替えて、すっかり大店の若主人といった出で立ちになり、白菊に告白すると、白菊も快く受け入れた。


炎の蜃気楼邂逅編-真皓き残響「奇命羅変」
第1刷発行 2009年8月10日
大盛況しているという燃える水について調べるため、景虎は、原料である草水を精製しているオギの里に忍び込もうとするが、幻覚に惑わされて倒れる。里の外れで行き倒れていた景虎は、そのまま人足牢に放り込まれるところだったが、たまたま行商に来ていた河鹿の計らいで、助けられる。里長は小木十四郎という少年で、景虎をいたく気に入り、このまま里に留まって自分の右腕となってほしいと、景虎に願う。里の先代は、甥っ子と、里で一番の俊才の十四郎を養子にとるが、先代の死後、跡継ぎ争いが起き、甥っ子が謎の自死を遂げて十四郎が里長となったのだった。
それぞれ別行動をとっていた直江、長秀、晴家の前に、奇命羅と名乗る、框一族が作り出した合体妖怪が現れ、怨霊調伏を辞めるよう警告し、襲い掛かってくる。さらに、勝長は奇命羅に襲われ、霊魂を奪われてしまう。途中、知り合った母子の子・平八を人質にとられた晴家が、奇命羅に従ってやてきた先に手足を縛られて木に吊るされた勝長がいた。晴家を襲った奇命羅は、晴家の腹違いの弟・次郎三郎を匂わせ、勝長と平八の霊魂を人質にし、オギの里の即身仏は悪霊だから退治するよう晴家に命じる。景虎を助けに向かった直江と長秀は、再び奇命羅の襲撃を受け、直江は奇命羅化してしまう。
オギの里を狙っている框一族から里を守ってほしいという十四郎に協力しようとした景虎は、上人堂での騒ぎに駆けつけ、奇命羅にはめられて、即身仏を破壊しようとする晴家を阻止しようとする。ふたりは、お互いの正体知らずに闘いはじめてしまうが、つばきの助力で状況を理解し、勝長の霊魂を取り戻す。奇命羅に里を守る結界を破られ、魔物の群れが里を襲い始め、さらに奇命羅化した直江が景虎を襲う。景虎と晴家、長秀の三人同時の懲伏により、元の姿に戻った直江も加わって遠称上人の力を封じ、里の境界に毘沙門結界を張る。結界により、魔物は消滅し、影響を受けた奇命羅も退散するが、十四郎は框一族の当主であり、河鹿もまた框一族であった。景虎たちは、そんなこととは知らず、十四郎に「何かあった時は必ず助けに来る」と言って里を去って行く。


炎の蜃気楼邂逅編-真皓き残響「十六夜鏡」
第1刷発行 2010年5月10日
夜叉衆は、藤五郎・平五郎親子から「天女が残したという十六夜鏡に死んだ嫁が現れ、三途の川を渡れないと伝えてきた」との相談を持ちかけられる。景虎が覗く鏡に武田信玄が現れ「冥界から兵を率いて春日山城へ乗り込む」と宣言した後、雷が弥彦山、雁子浜、栃尾近くの里に落ち、赤く燃える球体が出現する。信玄に思いとどまるよう説得するため、景虎からあの世にいる信玄公への遣いを頼まれて悩むつばきのまえに、十六夜と名乗るおなごが現れ、冥界に持ち去られた天鏡を取り戻すため、つばきを冥界に案内すると持ちかける。さらに、景虎のもとには化粧師の河鹿が現れ、「三叉の雷で落ちた球体は冥獣の卵と呼ばれる、冥界の住人がこの世に戻るための卵で、孵化する前に壊さなければならない」という、鏡磨からの伝言を伝える。
栃尾の卵の中には武田信繁・諸角昌清・馬場信春がいて、尼僧・寿心尼の協力を経てその流動制止に成功した勝長だが、奇命羅の攻撃を受けて倒れ、餌として卵の中に取り込まれてしまう。また、弥彦山の卵の中にいたのは、山本勘助・板垣信方で、その破壊に向かった長秀は奇命羅に喰われてしまう。十六夜鏡を研いだ鏡磨から「鏡が映しだしているのは人の心」だと聞き出した晴家も、景虎のもとに戻る途中で次郎三郎の奇命羅に襲われ倒れる。雁子浜卵の中身は武田勝頼で、破壊に向かった景虎と直江だが、奇命羅に操られた晴家によって、景虎は卵の中に吸い込まれてしまう。
十六夜鏡は框の術者が作った宿魂鏡という人の心を操る呪術鏡で、十六夜はその呪力を保つために封じられた霊魂だった。つばきは十六夜に騙され、身代わりに鏡に封印されてしまう。また、冥獣の卵は死者の卵ではなく、奇命羅の卵で、框一族は夜叉衆を卵の餌にしようと武田の騒動を仕組んだのだった。
鏡磨によって奇命羅の術を解いた晴家は景虎のもとに向かう途中で十六夜と河鹿に出くわし、河鹿が框の手の者と気づく。河鹿を取り逃がすも、十六夜鏡を取り戻して、景虎のもとにたどり着いた晴家は、長秀を奇命羅から引きずり出す。大暴れしていた奇命羅の赤子は景虎が心を寄せたことにより大人しくなり、いつの間にか晴家についてきた鏡磨の指示で真鏡を赤子に掲げると、景虎と勝頼の霊を残して粒子と化し、景虎たちによって勝頼の霊は調伏される。勝長に協力していた寿心尼は框一族の王である蘭陵王の妻であったが、気が変わったと、勝長を助け出してしまう。弥彦の卵は夜叉衆が駆けつけたとこにはなくなっており、十六夜鏡に封じられたつばきも鏡磨によって外に出ることができた。


炎の蜃気楼幕末編「獅子喰らう」
第1刷発行 2009年4月10日
尊皇攘夷の志士ばかりを斬る「人斬りカゲトラ」が京を騒がせていた。尊攘派である長州藩士の桂小五郎の元で働いていた蔦・晴家は景虎ではないかと、真相を確かめるべくカゲトラを待ち伏せて問いただすが、カゲトラは晴家に本気で斬りかかる。藩命を帯びて京に赴いた越前福井藩士の校倉忠臣・直江も、「人斬りカゲトラ」の噂を聞き、「人斬りカゲトラ」は金山虎之助であることをつきとめ、幕臣・新垣兵馬の娘・志乃から、天誅と称して殺された父親の怨念により志乃の全身に浮かび上がった人面疽を消すために虎之助は勤王派を斬り始めたと聞く。晴家は長秀に協力を求め、カゲトラを攻撃しようとしたところに、勝長からカゲトラの情報を聞いた景虎が現れ、カゲトラは景虎の部下であることが判明するが、景虎は「時代が動くそのときまでは、我らは他人だ」と言い残し夜叉衆の前から去ってしまう。疲れ果てていた景虎は、もう換生しないかもしれないと、直江に伝えていたが、心ならずも自分の村を襲ってきた黒田信右衛門に成人換生し、大久保忠寛を助けたことにより、彼に仕えていたのだった。
呪殺が横行する兆しを見せ、景虎は大久保忠寛からの依頼で、大高又次郎の用心棒として勤王派浪士の中に潜入し、呪者の手がかりを探っていた。勤王派の仲間の中に景虎を見つけた晴家は、景虎が志士の動向を探っていると察し、景虎と対峙するが、景虎に攻撃することができずに逃げてしまう。そして、自分の住まう長屋に辿り着いた晴家は吉田稔麿に襲われ昏倒してしまう。
行方をくらましてしまった景虎を探すため、京に残った直江は、肩に赤い腕の霊体を載せた少年・伊乃吉に出会い、調伏の聞かない赤い腕を何とかするため勝長と共に御祓い屋に向かうが、公武合体派の要人が呪殺されたのと同じ式神に襲われる。景虎が呪殺の呪者を捜すために行動していることに感づいた直江は、手を引けという景虎を説得し、共に行動する。勤王派の会合の場を襲った式神を追った直江は英霊に襲われて浚われてしまう。呪者は、土御門の傍流であるカグツチ流の宗主・曹柳で、天誅組の挙兵に参加して討ち死にし、強い怨念を残して憑依霊となり、公卿と倒幕を画策していたのだった。直江に憑依した曹柳は景虎に襲いかかるが、景虎は怨霊を封じ込むために仕掛けた鎮将夜叉法の力を利用して曹柳を調伏する。鎮将夜叉法により京の町に多数出没していた怨霊は鎮められたが、新撰組に捕らえられた古高俊太郎の自白により、決起を目論んで会合をしていた尊夷浪士たちは新撰組に踏み込まれ、大高も斬られて死んでいた。大久保から請け負った任務を果たした景虎だったが、志士たちから影響を受けていた景虎の表情は冴えなかった。


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