【作家・目取真俊さんに対する弾圧に抗議します】
のりこえねっと
2025年8月7日、目取真俊さん(芥川賞作家)の自宅に沖縄県警が家宅捜索に入った。そしてパソコン、スマートフォン、衣類などを押収したという。容疑は器物破損。既に経年劣化していたフェンスを「壊した」という理由かららしい。
基地反対運動の象徴的存在である目取真俊への無理筋の家宅捜索を聞いて思った。増長する極右勢力が戦争を人々の日常に浸透させ、反戦を唱える市民を根絶やしにしようとしている。目取真俊は、彼らが狙い撃つ第一の標的なのだと。
これは、辺野古の反基地運動だけを狙ったものではない。市民社会全体への全面的恫喝であり、攻撃なのだ。
目取真俊は、その人生のかけがえのない時間を反基地の闘いに投じてきた。優れた作家である彼は、書く時間が欲しいと言いながらも、その全身を、米軍の銃口の前に対峙させ続けてきた。
思い出してほしい。東村高江の米軍ヘリ基地建設現場では、大阪府警が送り込んだ機動隊員が、反対する沖縄県民に暴力をふるいながら「土人」と呼び捨てにした。また辺野古で目取真俊は、日本の司法が及ばない米軍基地に引きずり込まれ、ずぶ濡れのまま、8時間もの間、銃口の前で拘束され続けた。
無防備な自国民を異国の軍隊に平然と差し出す日本の政治権力。本土の人々の目から巧妙に隠された沖縄の地で、かつて帝国日本が植民地で行使していたような、すさまじい暴力と弾圧が繰り広げられている。
極右は最初に社民党・共産党など左派を叩き、次は外国籍住民をターゲットとし、さらには日本国籍取得者に対して「日本名を使うな」などと攻撃をエスカレートさせてきた。『週刊新潮』に掲載された高山正之のヘイト記事がその典型だ。
そしてついに、言論表現の自由を命の糧とする文学者、芸術家にも弾圧の触手を伸ばしたのだ。声を上げるものをつるし上げ、見せしめにし、「ここに叩いていい獲物がいるぞ」と犬笛を吹く。その合図の笛を待ち構えている犬どもを扇動し、戦争に反対する者に恫喝と攻撃を加えるのだ。
事態が深刻になっても黙っていればいずれ平常に回帰すると思い込む正常性バイアスから目覚めなければならない。今、目の前にある危機に向き合うことが必要なのだ。
この国の為政者たちは、歴史を改ざんし、記憶を偽りのそれで塗りつぶし、不都合な少数派を排除し、真実を表現する作家の口をふさぎ、孤立させている。そして、第二次大戦後の世界が、血の涙で積み上げてきた民主主義と人権を破壊しようとしている。
極右勢力は、言論表現の自由だと主張してデマを撒き散らし弱いものいじめを繰り返している。しかし、言論表現の自由の価値を貶める彼らが最も嫌い恐れるのは、言論の自由の真の価値を人々に知らせる力を持つ作家たちなのだ。
腐った政治権力は、だから優れた作家を攻撃し弾圧する。しかし、それは、自滅への道だ。
作家を弾圧するような政治権力は、いずれ、その傲慢さと無知によって自滅するか、打倒される。それは、この人間世界の歴史が示す経験に裏打ちされた真理だ。
詩人金芝河(キム・ジハ)を弾圧した韓国の軍事政権は打倒された。チリの国民的詩人でノーベル文学賞受賞者のパブロ・ネルーダを迫害したピノチェト軍事政権は滅んだ。小林多喜二を虐殺した大日本帝国は自ら起こした戦争に敗れて自滅した。同様の例は他にも枚挙にいとまがない。
作家・目取真俊への弾圧を無謀にも実行したこの国の政治権力にとって、滅びがさほど遠くないことは、これからの歴史が明らかにしてくれるだろう。
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