甲子園とジャニーズは同じ構造? 新聞・テレビが抱える「高校野球報道」の課題とは #エキスパートトピ
熱戦が繰り広げられている全国高校野球選手権大会で、部員の暴力事案をめぐって批判を浴びていた広陵高校が2回戦を前に出場を辞退するという異例の事態が起きた。
高校の対応を非難する声やSNS上での過剰なバッシングを批判する声など様々な意見が飛び交っているが、高校野球とメディアの歪んだ関係を指摘する論評もある。
なかには、高校野球と密接な関わりがある新聞社やテレビ局について、「故ジャニー喜多川氏の性加害をメディアが報じなかったこと」と同じ構図があると分析する論者もいる。
「高校野球報道」の課題とはなにか?
ココがポイント
過剰な報道合戦が、選手を追い詰め、記者を疲弊させ、時に歪んだヒーロー像や感動ポルノを生み出している
出典:弁護士ドットコムニュース 2025/8/10(日)
閉鎖環境において、判断能力の乏しい未成年者が中心とされ、彼らによる大きな利益を生み出すイベントにメディア企業が根深く関与
出典:松谷創一郎 2025/8/11(月)
「ジャニーズの時と同じ説明」が「甲子園に対するテレビの報道姿勢に腰がひけていること」について成り立ってしまう
出典:弁護士ドットコムニュース 2025/8/9(土)
エキスパートの補足・見解
ここで紹介した3つの記事に共通するのは、国民的な大イベントとなっている「夏の甲子園」の裏にある高校野球報道の負の側面だ。
美談探しに終始する過剰な報道合戦や関係者からのセクハラ、暴力やいじめへの及び腰の姿勢といった「不都合な真実」が見過ごされて、健全なジャーナリズムが機能していない様子が明らかにされている。
最初の弁護士ドットコムニュースの記事は、過去に新聞社やテレビ局で高校野球を取材したことがある記者たちの座談会だ。私もかつて高校野球の地方大会と全国大会を取材したことがあるが、納得できる点がいくつもあった。
特に「なぜ野球だけがここまで特別なのか」という問いに立ち返るべき、という記者の問題提起には深く同意する。
一方、2本目の松谷創一郎氏と3本目の鎮目博道氏は「ジャニーズ問題」との類似性を指摘している。
新聞やテレビというメディア企業が、未成年が生み出すイベントやコンテンツに深く関与しているために、報道機関として適切な批判を加えられなくなり、問題のある状況が温存される構図があるというのだ。
新聞社やテレビ局の関係者はこの指摘に耳を傾け、今のままで良いのか、立ち止まって考えるべきではないだろうか。