「おあいそ」のこころ
テチュ♪
「そのポーズはなんだい?」
テチュテチュ。
(これは「おあいそ」テチ。あたらしいおともだちやはじめてあったニンゲンさんに、なかよしになってほしいときにこうやってあいさつするテチ。)
仔実装達は、初対面の同族や人間に出会うと、よくまるく小さな右手を口元に運んで、小首をかしげ、「テチ」と小さくないて微笑む事がある。
実装石の価値観は「幸福」と「愛情」をもって至上とするものであると聞く。しかし、同時に彼女達は自然界においてあまりにか弱く儚い存在でもある・・・実装石にとって「出会い」とは、常に新しい喜びと、不安や悲しみの予感が一体となった出来事である。
小首をかしげる動作は「疑問」、即ち未知の相手に対する期待と不安が仕草にあらわれたものであり、「なかよくしてくれるテチか?」と言う問いかけである。又、口元に手を運ぶ仕草も同様に疑問の現れであると共に、積極的な敵意や悪意の無い事を相手に伝える意味も持つ・・・
本来、野生の環境であるならば、自ら見知らぬ存在に無防備さをしめして「友好」を求める行為は時に死をまねく。しかし、実装石達は、それでもこの「あいさつ」を半ば本能レベルで連綿と伝えてきた。「すべての生き物は、きっとわかりあえる」と言う、彼女達らしい「善意」とともに。
近年、この仕草を曲解し、あらぬ疑心暗鬼を抱いて拒否感や悪意を抱くこころない人間もいると聞く。しかし、ゆえになお、多くの愛好家がこの微笑ましい「おあいそ」の習慣を愛しつづけている事は言うまでも無い・・・
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