八代の土砂災害 専門家「土砂・洪水氾濫に似た特徴」
記録的な大雨の影響で大量の土砂が住宅や学校に押し寄せた熊本県の八代市興善寺町の土砂災害について、専門家は、土石流によって流れ下った土砂が川にたまり、大雨によって再び押し流されたことで住宅地に堆積した可能性があると指摘しています。
そのうえで、「土砂の一部は依然として山に残っているおそれがあり、早めに取り除くなど対応が必要だ」と話しています。
土砂災害に詳しい東京農工大学の石川芳治名誉教授は、熊本県の八代市興善寺町周辺を上空から撮影した映像を分析しました。
その結果、住宅地の上流部分で高さおよそ100メートル、幅およそ30メートルにわたって「表層崩壊」が発生し、土石流として流れ下ったあと、いったん川でたまり、大雨によって再び押し流された可能性があることがわかりました。
石川名誉教授は、土砂はおよそ700メートルにわたって流れ下った可能性があると分析していて、その背景に山と住宅地を隔てるように通る九州自動車道と「ボックスカルバート」と呼ばれるトンネルの存在を指摘しています。
ボックスカルバート周辺にたまった大量の土砂が、川をせき止めた結果大雨によってあふれ、住宅地での土砂の堆積につながった可能性があるとしています。
また、こうした状況は大量の土砂や流木で川底が上がり水があふれる「土砂・洪水氾濫」に似ていて、崩壊した土砂の一部が、依然として山にたまっているおそれもあると指摘しています。
石川名誉教授は「雨が強まると再び氾濫が発生し、たまった土砂が押し寄せてくるおそれがある。早めに土砂を取り除くなど対応が必要だ」と話しています。