創立60年を超える名門、京都ノートルダム女子大学が、2026年度以降の学生の新規募集を停止した。少子化により学生の確保が困難に。知名度や偏差値を重視する大学受験のトレンドも逆風となった。中村学長は「小規模女子大の社会的な存在意義はまだある」と悔しさをにじませる。
中村久美氏
京都ノートルダム女子大学は1961年に創立した女子大学です。米国から来日したシスターによって中学校、高等学校、小学校が相次いで設立され、在校生や家族、地域の要望によって大学もつくられたというのが始まりです。
最初に開設されたのが英文学科であったことから英語教育に力を入れ、「英語のノートルダム」とも呼ばれてきました。また女子大学として女性のキャリア育成にも積極的に取り組んできました。
現在の学生数は1学年で200人前後ですが、小規模大学ならではの強みもあります。教員だけでなく事務のスタッフも学生の顔と名前を覚えており、日ごろから一人一人に声をかけるなど、きめ細かいサポートを大切にしています。
入学するまで控えめでおとなしい性格の学生も少なくありません。マンモス校であれば、積極的に手を挙げてアピールしなければリーダーに就く機会は回ってきにくいでしょう。一方、少人数であれば人前に出る機会や自ら主張する機会が必然的に増えます。こうした経験を通じ、自信を持って卒業する学生を多く見てきました。
本学は小規模な女子大だからこその良さがあったと思います。ですが様々な逆風を乗り越えることができず、学生の募集を停止することを余儀なくされました。
共学への転換は検討せず
定員割れが始まったのは2009年ごろからです。京都は大学の数が多く、もともと学生の獲得競争が厳しい土地柄。少子化による学生数の減少が競争激化に拍車をかけました。自分に合った学校はどこか、という価値観以上に偏差値やランキングが重視されるようになるなど、大学選びの基準が変わったことも逆風となりました。本学はカトリック系の女子高をはじめ、本学をよく知る進路指導の先生に勧められたり、縁戚者の紹介で進学するケースが多いため、学生の新規開拓には苦戦しました。
入学定員の充足率が8~9割程度であれば経営は可能だったため、難しい状況ながらも一年、また一年と運営を続けてきました。収容定員の充足率によって国から交付される補助金の額が変わることを受け、ここ10年は充足率を高めるため定員も削減してきました。10年前は1学年430人の募集でしたが、25年度の入学定員は330人まで縮小させています。
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