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364日目 ドヤ顔ステラ先生マジプリティ!

364日目


 ギルの体がまっかっか。触るとすごく熱い。『なんか燃え上がるぜぇぇっ!』って朝から筋トレしまくっていた。なんなのあいつ?


 ギルを起こしてクラスルームへ。今日はまだ休み期間で食堂が開いていないため、自分たちでなんとか飯を用意せねばならない。宿屋生活がすっかり染みついたのか、学校的に考えればまだ結構早い時間なのにいつものメンツは起きていた。


 で、『朝飯作ってくれよ!』とか言ってくる始末。昨日あんだけ俺をニヤニヤしていたくせに、なんと厚かましいことだろう。


 もちろん、はいそうですかとうなずけるはずもない。密かに持ってきたおやつを一人でもそもそとうまそうに食べる。やがてほかのルマルマも起きだしてきて、『なんだよ、また拗ねてるのかよ?』、『家に帰って甘えんぼモードになっちゃったのかしら?』とか言ってきやがった。


 これはもう無慈悲なる徹底抗戦も辞さない所存。どうせこの中にまともに料理をできる奴なんていないのだ。ごめんなさいするまでしらんぷりしてやろうと心に固く誓う。


 しかし、ここにきてロザリィちゃんが『拗ねてる──くんもかわいいよ♪ でも、私はみんなに優しい──くんのほうが好きかな?』ってぎゅって抱きしめてくれたの。もう、こんな言葉を聞いてしまったら変な意地なんて張ってられないよね。


 そんなわけでみんなの朝飯を作ってやった。『うめえうめえ!』ってみんな食っていた。だいたい二日三日前くらいから戻ってきたやつが多いんだけど、誰も料理できないから、出来合いのものとか火を通しただけのものとか、ともかくまともに料理と呼べるものを食べていなかったらしい。


 朝食の後は簡単に荷物の整理をする。ちゃっぴぃのクッションなんかを定位置に戻し、俺の衣服もクローゼットに。あと、ロフトや虫篭なんかもちょっとずつ整理しておいた。エッグ婦人とヒナたちも自分たちの寝床を作り直していたよ。ヴィヴィディナも元気に『ギャアアアア!』って悲鳴を上げながら天井をカサカサしていた。


 お昼の時間を過ぎたころ、『遊びに来たぞっ!』、『…休みは楽しめたか?』って天使ピアナ先生、頼れる兄貴グレイベル先生が遊びに来てくれた。ひゃっほう。あ、もちろんステラ先生も一緒ね。


 で、みんなで思い思いに休みの間に何をしていたのか話をする。グレイベル先生は地元でのんびりと過ごしたらしい。狩りをしたり、植物を育てたり、友人の店で新作のお菓子を食べたりしたそうな。『…久しぶりに先輩に会ってな。もっとこまめに帰って来いと怒られた』って言ってた。


 ピアナ先生は『ラギとちょっと旅行に行ったくらいかな?』とのこと。二人の休みがうまく合わず、二泊三日程度のものだったらしい。とろけるようなエンジェルスマイルを浮かべていて、見ているこちらの心が浄化されるようだった。


 なお、お土産はない模様。今度ラギに会ったら呪っておこうと思う。


 ルマルマのメンツもそれなり。俺と同じように家の手伝いをしたものがほとんどだけど、中には冒険者に交じってお金を稼いでいたやつもいるとか。みんなほんのちょっとだけ雰囲気が変わっていて、微妙に仲良さげになっているペアもいる。


 クーラスがロリコンに、ジオルドが老け専になった話をしたら、『ちょっとその話詳しく』、『ううん……ちょっとこれは予想外過ぎたわね……』、『……盛るのやめればいける、かな?』などと一部の女子がやたらと食いついてきた。


 なんでこれだけの食いつきを見せているのにジオルドとクーラスは気づかないのだろうか。あの時も致命的なタイミングで男連中とカードゲームでバカ騒ぎしていた気がする。あいつらはもっと周りをよく見るべきだと思う。


 さて、なんだかんだと話していたら、ステラ先生がピアナ先生に『とーってもおいしいジャムクッキー、いっぱい食べさせてもらっちゃった!』って自慢しだした。えっへんと胸を張り、すごくドヤ顔。迫力が凄まじい。もちろん文句なしにプリティ。


 ピアナ先生、それを聞いて絶望の表情。『えっ、そ、そんなに……!?』って信じられないことを聞いたかのように聞き返す。『焼き立て、だよ?』などと、ステラ先生はさらに煽った。おこさまなステラ先生も最高だと思います。


 『クッキーはおいしかったしぃ、夜ご飯は毎日宴会で楽しかったしぃ。お布団はふかふかで、お風呂もすっごく広くて気持ちがいいの! 毎日誰かが傍にいるし、一緒にご飯を食べる人がいるし、独りぼっちな時間なんて全然なかったんだから!』ってステラ先生はさらなる追い打ちを。


 後半の言葉を聞いて、ルマルマの全員が陰で涙を流したことは言うまでもない。グレイベル先生も、『…思ったより拗らせていたな。一回くらいみんなで飯に誘うべきだったか』って言ってた。


 さらにステラ先生は『これが証拠だぁっ!』って招待状(先生は自力で来たため使っていない)を見せびらかした。『まぁ、お友達の証拠みたいな? 生徒との親密な関係を築いた証みたいな? いやぁ、まさか招待されるとは思わなかったよね~!』ってものすごいドヤ顔で煽りだす。


 ピアナ先生、それを聞いてわなわなと震える。『──くん、わ、私にはそういう話来てないんだけど、え、もしかして実はキライだったりするの……?』って目を潤ませながらこっちを見つめてきた。そんなピアナ先生もマジエンジェルだった。


 たぶん、マデラさんはルマルマの担任だからってステラ先生を招待したのだろう。なので、『どうも、うちの母はルマルマの関係者にしか送っていないようで……』とピアナ先生だけハブいたわけではないことを強調する。


 それを聞いてあからさまにほっとするピアナ先生。『形式上で送られてきただけじゃない!』、『そんなことないもん! お友達の証だもん!』って真っ赤になって言いあう二人がめっちゃプリティでした。


 なお、『…ガキじゃないんだから、くだらんことで喧嘩するな』ってグレイベル先生が二人の首根っこをつかんで引き離したことにより言い合いは終了。『た、立場が上の先生に対してこの扱いっていいんですか?』ってアルテアちゃんが聞いたところ、『…今は授業期間外。だから今だけはステラ先生に年上として接する。ピアナ先生に至っては年齢的にも立場的にも俺のほうが上だ。…だいたい、今のを見て立場を主張できると、本当に思うか?』ってグレイベル先生は答える。正論だ。


 結局、それでなおピアナ先生はご機嫌斜めだったため、最後にマデラさんが持たせてくれたクッキーを提供することに。『じゃむくっきぃ……っ!』って幸せそうに頬張る姿が本当にプリティでした。


 ちなみに、『どうせ向こうでいっぱい食べてきたんでしょ?』ってピアナ先生はステラ先生よりも多く食べていた。『んだよ、お前らだけいい思いしてきたんだから俺たちにだって幸せのおすそ分けしてくれよ』ってルマルマ男子もクッキーをかっさらって『うめえうめえ!』って貪る。


 ルマルマ女子? 『気付いてないだろうけど、あなたたちちょっと全体的に丸くなったわよ?』、『このままだと腹肉鷲掴みコース一直線確定よね』、『堕ちかけるクーラスくん見られたんだし、これくらい譲ってよ!』なんて言ってクッキーをかっさらっていたよ。ロザリィちゃんたち、すごく青い顔をしていた。


 だいたいこんなもんだろう。夕飯は俺&ロザリィちゃん&グレイベル先生で作って食べた。久しぶりにみんなで夕飯を食べられて大満足。家は家で落ち着くけど、やっぱりなんだかんだでルマルマのみんなと食べる飯も最高だ。


 ギルは今日も大きなイビキをかいて寝ている。ふと思ったけど、明日の日記でちょうど一年間日記をつけたことになる。けっこう感慨深い。ほぼ一日も休まず書きつづけた俺って頑張り屋さんじゃね? なにかご褒美あってもよくない?


 キリがいいし、ページも残り少なくなっているから、明日の日記でこの日記帳を完結(?)ということにして、新学期からは気分を切り替え新しい日記帳を使おうと思う。


 うん、このことを見越していたのか、トランクの一番奥に新しい日記帳が入ってたんだよね。しかも【とりあえず入れておきます。今更強制するつもりはありませんが、日記を読むのはすごく楽しかったです。また見せてくれることを願います】ってメッセージ付き。


 思いのたけは明日の日記に思い切りぶつけようと思う。この日記に物を書くのもあと一回。明日は多分明後日のオリエンテーションに向けて英気を養う感じだから、書くことも少ないだろう。その分この日記に対する気持ちを書き綴ることができるってわけだ。


 なんだろうね、この気持ち。別に今まで通り日常は続くのに、日記も書きつづけるのに、お気に入りの演劇のエピローグを見ているような気分だよ。俺ってばマジセンチメンタルじゃね?


 さっさと寝よう。ギルの鼻には思い出のはなびらを詰めてみた。これ、いつのまにやらこの日記に挟まっていたっていういわくありげな代物。命名も俺だったりする。グッナイ。

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