「痴漢や迷惑行為の乗客を電車出禁にしてほしい」SNSで要望の声、鉄道会社が踏み切れない「理由」
● イギリスでは性犯罪者に「利用制限」も
一方で、イギリスでは性犯罪者に公共交通の利用制限を課す制度もあると甲本弁護士は指摘する。 「イギリスでは、性犯罪者に対して『Sexual Harm Prevention Orders(SHPOs)』などの予防的措置を裁判所の命令で民事的に行動制限を課す法制度があり、その一環として公共交通機関の利用制限を課すことが裁判所の裁量で可能です。たとえば、時間帯や路線を限定した鉄道の利用禁止などです。 このような制度を日本で導入するには、裁判所が再犯防止を目的とした予防的措置として個人に行動制限を命じることができる法的枠組み(日本版SHPOs)の立法が不可欠です」 では、実際にこうした制度を導入するとしたらどのような検討が必要となるのだろうか。 「規制を行う要件と行動制限の内容、手続き保障、違反時の罰則を明確化する必要がありますが、特に、個別のリスク評価、これに基づく必要かつ相当な範囲での制限を法律で規定していく必要があります。 また、命令の発動については、裁判官だけでなく更生・犯罪予防の専門家、心理や行動に関する専門家の意見を的確に反映して、制限下での対象者の行動を的確に把握・評価し、人権保障とのバランスがとれた内容の制限に留めるための実施プロセスの構築が求められると思います。 行動の把握については、現実的に人の目による監視は困難でしょうから、ICカードや監視カメラなどの技術的手段を活用が考えられますが、同時に対象者および他の利用者のプライバシーに配慮しながら運用方法を構築していくことが不可欠と考えられます」 【取材協力弁護士】 甲本 晃啓(こうもと・あきひろ)弁護士 理系出身の弁護士・弁理士。東京大学大学院修了。丸の内に本部をおく「甲本・佐藤法律会計事務所」「伊藤・甲本国際商標特許事務所」の共同代表。専門は知的財産法で、著作権と特許・商標に明るい。鉄道に造詣が深く、関東の駅百選に選ばれた「根府川」駅近くに特許事務所の小田原オフィスを開設した。 事務所名:甲本・佐藤法律会計事務所 事務所URL:https://ksltp.com/
弁護士ドットコムニュース編集部