「痴漢や迷惑行為の乗客を電車出禁にしてほしい」SNSで要望の声、鉄道会社が踏み切れない「理由」
●「痴漢に遭った場所」は駅関連が7割
内閣府でも昨年2月、「痴漢は、個人の尊厳を踏みにじる行為であり、重大な犯罪」と指摘、「被害にあっても相談や申告がしにくく、被害の潜在化も懸念される」として、19歳から29歳を対象に、オンライン調査をおこなっている。 調査結果によると、痴漢被害に遭ったことのある女性は13.9%、男性は3.6%だった。何回被害に遭ったかという設問に対しては、「1回」が42.2%と最多だったが、「2回」(27.3%)、「3~5回」(23.4%)と、複数回の被害も少なくなかった。中には「11回以上」被害にあったとの回答もみられた。 被害に遭った場所は「電車内」が62.8%と最も多く、次いで「路上」(13.0%)だった。「駅構内」(階段やエスカレーター)などをあわせると駅関連で実に70.0%となった。
●鉄道会社は痴漢を「出禁」にしているのか?
こうしたことから、SNSでは鉄道会社や警察に対し、「出禁」を含めた対策強化を求める声が高まっている。 そこで、弁護士ドットコムニュース編集部では、実際に「出禁」都内の主な鉄道会社5社(JR東日本、東京メトロ、東急電鉄、小田急電鉄、京王電鉄)に対し、次のような質問を送った。 ・痴漢行為が確認された人物に対し、利用制限や出入り禁止などの措置を行うことはありますか? ・そのような対応を行ううえで、法的・制度的に課題があればご教示ください ・痴漢や迷惑行為について、鉄道営業法・事業法・運送約款・社内規定などで利用拒否が認められる規定はありますか? ・被害者への配慮として、個別に対応されるケース(時間帯変更や警備強化など)はありますか? 各社から得た回答によると、いずれも、痴漢などの迷惑行為を理由に「恒常的な出入り禁止措置」を実施した事例は確認できなかった(2025年8月現在)。 JR東日本や小田急電鉄は鉄道営業法などに基づき、一時的に退去を求めることは可能とする一方で、加害者の特定や公共交通機関の性質を理由に、継続的な利用制限は難しいと説明。東京メトロも「鉄道営業法をはじめとして法的に利用制限ができる定めはない」と回答した。東急電鉄、京王電鉄でも、利用制限や出禁の規定自体がなく、事実上そうした措置は行っていない。