〈広陵・もう一つのイジメ疑惑〉被害を告発した生徒の親が告白「息子は寮でされたことが怖くて風呂も一人で入れなくなった」「息子が“このクソ野郎”って急に涙を流し…」
急に目を見開いて泣きながら叫び出して
SNSでAさんは「広陵高校の硬式野球部で在籍時に性被害に遭いました。<中略>寮の風呂では水の中にしずめられたり熱湯や冷水をかけられたりする殺人行為にも遭いました。<中略>今は広島県の安佐南警察署に被害届を出し捜査中です。またこの前第三者委員会が開かれ第三者委員会にも調べてもらっています」という投稿をしている。(投稿は保護者が代理で行なった) 被害に遭ったとされる時期はAさんが1年生の頃だ。Aさんは度重なるイジメに耐えかねて2年生になる前に退部、退寮して自宅から通学しているという。両親が経緯を証言してくれた。 「加害生徒からのイジメや監督、コーチの暴行や暴言についてこれまで学校側から誠実な回答というのはいただけていません。学校からは『聞き取りをしたが、そういった事実はない。やっていない』としか伝えられていません。 帰寮した日に息子は、最初はただ『具合が悪い』としか言わないので、病院に連れていきました。それで私が薬剤師から薬を受け取って待合室に戻ると、息子がわんわん人目をはばからずに涙を流して『寮に戻りたくない』と泣くので、ただごとではないなと感じました。 それで寮に電話をしてそれを伝え、野球部も辞めて退寮することになりました」(Aさんの母親) 自宅に戻ってからも、Aさんの異変は続いた。1年生も終わろうかという昨年3月のことだった。 「制服を着て家を出ようという時に、息子が急に泣きながら『このクソ野郎』って叫び出して、直後に過呼吸みたいになりました。素直で何事にも前向きに取り組むわが子は寮から戻ってきて別の人間になってしまったようでした。 また、幻聴や幻覚があるように見えたので、昨年11月ごろに精神科に相談に行くと『性的なイジメで同一性乖離症状が出ていた可能性がある』と言われました。すぐに学校側に伝えました」(同)
「校長はどういうつもりなのか」と連絡を入れると
広陵高校は今年1月までの間に当該の生徒を含めて聞き取りを行なった。そして教員2人が保護者のもとを訪れ、「やっていません」という「調査結果」の報告があったという。 「息子の様子からも何かがあったのは明らかだったので、今年2月に安佐南警察署に部員3人による性的暴行と、中井監督とコーチ陣からの暴行に関する被害届を出しました。その後に広島県の教育委員会に連絡し、第三者委員会を立ち上げるということになりました。 その頃になっても広陵高校の校長からは一度も連絡がなかったので、ある教員に『校長はどういうつもりなのか』と連絡を入れると、2、3日後に校長から『A君のことは一生懸命やらせてもらいます』と電話がかかってきました。遅すぎると思いました」(Aさんの父親) すでに第1回目の第三者委員会は終わっており、A君の両親は中井監督やコーチの暴言や暴行について約2時間にわたって証言したという。 「前回は時間切れみたいな形で終わりました。8月26日に2回目の第三者委員会があり、そこで性的暴行などについて話をすると思います。学校側が認めない真実が、第三者委員会の調査で明らかになるといいんですが。 卒業に関してはオンライン対応でどうにかできるようなのですが、本人が『こんなひどいことをしたヤツらと同じ今の学年で卒業なんか絶対にしたくない。100年広陵にいてやる』と言っておりまして、親としても困り果てています。 帰ってきてから寮のお風呂でされたことのトラウマなのか、怖くて1人でお風呂に入ることもできなくなって父親と入っています。私たちはそんな息子の様子を見ています。(加害者たちが)息子へ行なったことに、きちんとした処分もないということも到底納得できていません」(両親) こうした被害者側の主張と、学校側の調査結果とは大きく食い違っている。 Aさんの保護者の取材の後、改めて学校側の見解を聞くべく広陵高校の理事長に話を聞きにいったが「申し訳ない、明日、学校が開いているから学校を通してほしい」と繰り返すのみだった。翌日、改めて広陵高校を訪れたが、学校は閉鎖されており対応をしてくれる者はいなかった。 寮という閉ざされた空間で、いったい何があったのか。第三者委員会の検証が待たれる。 ※「集英社オンライン」では、今回の記事についてのご意見、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: shueisha.online.news@gmail.com X(旧Twitter) @shuon_news 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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