親が子の夜ふかしを許した8月15日 7年ぶり『火垂るの墓』地上波放送が親子に残したもの #エキスパートトピ
終戦80年を迎えた8月15日、高畑勲監督による劇場アニメ『火垂るの墓』(1988年)が7年ぶりに金曜ロードショー(日本テレビ系)で夜9時からテレビ放送された。
この日は、ふだんは早寝させている小学生の子どもに夜ふかしを許して一緒に観る、という親のSNSでの発信が目立った。
ココがポイント
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出典:日刊スポーツ 2025/8/15(金)
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出典:小新井涼 2025/8/15(金)
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出典:映画.com 2025/8/15(金)
エキスパートの補足・見解
そこには、戦争について子どもなりに感じて考えてほしい、という親の思いがあるようだ。8月15日の夜は『火垂るの墓』を観て戦争について親と話したことが思い出になるといい、8月15日は毎年一緒に『火垂るの墓』を観るのを習慣にしたい、といった声が多い。
一方、本作を幼い子どもに観せたくないという声もある。戦争で両親を失った兄と妹の悲運と衰弱して命を落とす姿は、大人でも心を深く痛める。子どもが観ることで心の傷になることを心配するのは当然だろう。
本作には、戦争を伝える力がある。戦時の子どもたちの姿を活き活きと映すとともに、そこに起きた現実から目を反らさない。子どもたちの貧困も死もすべて戦争が引き起こしたひとつの側面だ。
そこに真正面から向き合った本作には、高畑勲監督の反戦と平和への強い思いが、特有の映像描写のアニメーションにこめられているから、時代を超えて人々の心に響く名作になっている。
本作は1989年から終戦日の前後に不定期にテレビ放送されてきたが(計13回)、2010年以降は高畑勲監督の追悼放送となった2018年を含めて3回のみ。今年の8月15日の放送が親と子に残したものは大きい。毎年放送されることが期待されている。