323日目 ババアロリと子供のお守り
323日目
明け方ごろ、寝ぼけたちゃっぴぃにおもっくそ小指をかじられた。乳首よりかはマシだと思うことにする。
ちゃっぴぃをお姫様抱っこして食堂へ。『指を痛めたから今日はお前ひとりで食べてみろ』ってちゃっぴぃに行ったら、『きゅ?』って『えっこいつなにいってんの?』と言わんばかりに首を傾げられた。で、尾っぽでべしべし背中を叩かれる。こいつの尊大な態度に悲しみを隠せない。
しょうがないのでいつも通りに朝食を貢いでやった。『私にはあーんしてくれないのかの?』ってババアロリがすり寄ってくる。朝から面倒なのに絡まれてしまったと後悔した。
『俺はガキ一人の面倒を見るので精いっぱいだ』って答えたら、ミニリカのやつ、『昔はあれだけ「あーん♪」してあげたし、したがっていたのにのう……』ってしゅんとしだした。たまにこんな風に面倒くさいモードが入るからこのババアロリは困る。
で、不本意だけど心優しい俺はミニリカにも同じように貢いでやった。年をとってもこのザマとか、案外精神が肉体に引っ張られている……のかもしれない。知らんけど。
明日でダラダラタイムはおしまいなため、今日はゆっくりすごそう……と思ったんだけど、『せっかくだし一緒に買い物に行こうぞ!』ってミニリカに引っ張られたため、そういうことになった。
書くまでもないけど、俺は荷物持ち。あのババアロリ、いい年してキラキラしたアクセサリーや洋服何かを中心にウィンドウショッピングを楽しみだした。ちゃっかりついてきたちゃっぴぃとリアも一緒になってそれを楽しんでいる。
『のう、こっちとこっち、どっちが可愛いかの?』って三人お揃いのアクセサリーを選んでいたけど、正直どれを付けたって大して変わらない。ろくに見ないで『どれも似合うからさっさとしろ』って言ったら、『適当なことを言うでない!』って怒られた。解せぬ。
しかしまあ、本当に買い物は長かった。女の買い物は長いとよく聞くし、年寄りの買い物も長いと聞くけれど、ミニリカは女で年寄りなのだ。最悪の組み合わせである。
おまけに、荷物持ちがいるからとこれ幸いといろんなものを買い込むし。『デートしてもらえるだけ光栄じゃろ?』ってあいつはない胸を張っていたけれど、デートってのはもっと素敵なものだ。
ああ、ロザリィちゃんとのデートなら何百年だろうと続けて飽きない自信があるのに。あんなのをおこがましくもデートと呼ぶなど、ミニリカは本物のデートをしたことが無いのだろうか?
でも、最後の最後で『付き合ってくれたお礼に、の?』ってアイスクリームを奢ってくれたのは良かった。しかも、超贅沢に三段重ねの奴だった。ナターシャだったら泣いて叫んでも二段までしか奢ってくれない。ミニリカのこういうところは好きである。
ただ、ババアロリのくせにきゃぴきゃぴしながら『そっちの一口くれい!』って食べあいっこするのは頂けない。やるなら女三人でやればいいのに、俺まで巻き込むから始末に負えない。リアもちゃっぴぃも俺のから取っていくし。あいつら一口がマジでデカいんだもん。
ミニリカは『私のお口はちっちゃいのじゃ』って小さめに食べてったけど、宴会の時はもっとデカい口で肉にかじりついてるのを知っている。ババアロリのくせにヘンなところで乙女心を発揮するからわけがわからん。
しかも、『ほれ、もっといっぱい食べんか!』って自分のアイスクリームを俺に食わせようとしてくるって言うね。普通に一口分だけ食べたのに、あいつは俺の一口をどれだけ大きいものだと思っているのだろうか?
というか、そもそもあいつ買うくせにあんまり食べないんだよね。だったら最初から買わないか小さいものを選べばいいのに。俺の長年の疑問だ。
なお、ちゃっぴぃとリアに俺のを食わせていたら俺の手がヨダレででろでろになった。マジ悲しい。
宿に帰ってきたのはだいたいおやつの時間ごろ。なんでも今日買ったものの中にアンチエイジングに関する新商品があったらしく、『早速試すとするかの♪』ってミニリカはご機嫌だった。
あいつ、宴会で暴飲暴食した後は決まって何かしらのアンチエイジングをやるんだよね。逆に、ナターシャはどんだけ飲み食いしても手入れする必要がないらしい。『若いってずるい……』ってミニリカはちょくちょくつぶやいている。
ちょっと大雑把だけどこんなもんにしておこう。顔面パックモンスターに遭遇する前に部屋に戻ったから、まだ微妙に早い時間だ。たまにはさっさと寝るのもいいだろう。グッナイ。