313日目 平和な一日
313日目
なんかヨダレくせえと思ったら、俺の寝間着がちゃっぴぃのヨダレででろでろになっていた。ここまで口の締りが悪いことに驚きを隠せない。
起床後、ちょっぱやで寝間着を脱いで洗濯をすることに。早朝なので息が真っ白。こんな中で洗濯したらまず間違いなくおててが真っ赤っかになる……と思ったけど、よく考えてみれば去年までの俺はもっと早い時間に起きて洗濯をしていた。
で、水魔法を使ってパパッと洗濯。マデラさんはなぜか俺が魔法を使って洗濯するとすごく顔をしかめるけど、個人的な洗濯だから今回は問題なし。そして当たり前のようにすでに庭にはマデラさんが干したのであろう洗濯物が干されていた。さすがだ。
その後は二度寝しているちゃっぴぃを担いで朝食を取る。『洗濯なんて、どうしたんだい?』とマデラさんに聞かれたので、素直に『こいつのヨダレ癖が治らなくて』と答えた。『アンタのおねしょよりかはマシじゃないか』と言われる。ひどい。
朝食はどっしりオニオンスープだった。やっぱ学校のものよりも一味も二味も違う。全体的にどっしりと腹にたまる感じで、食べごたえが凄まじい。あとおなかの底からぽかぽかしてくる。ちゃっぴぃも『きゅーっ♪』ってがぶがぶ飲んでいた。
特にやることもなかったので、朝食後はひたすらぼーっとする。マデラさんが掃除しているのを横目で見て優越感を感じ、顎でこき使おうとする冒険者どもに『今日の俺はフリーだ』と言って優越感を感じ、ついでにヨダレ癖の直らないちゃっぴぃのほっぺをむにむにして優越感を感じた。
途中でリアが『なにやってるの?』と聞いてきたので、『崇高なる魔系の戯れだ。まあ、お子様なお前にはわからんだろう』と返しておく。リアのやつ、問答無用で俺のほっぺをむにむにしてきやがった。あのガキマジ何なの?
しかしまあ、本当にやることが無くて暇だった。働いているときはあんなにも休みたいと思っていたのに、いざ休めるとなると逆にやることが無くなってヒマになるから不思議なものだ。まったく、自分の勤勉さが恨めしい。
そうそう、なんかヒナたちが外で泥遊びしてきたらしく、おやつの時間ごろにケツをフリフリしながら泥だらけで宿に戻ってきたんだけど、あいにく風呂場はマデラさんが掃除中だった。
しょうがないから外の水場で冷水をぶっかけてやろうと思ったところ、マデラさんが『悪いがこいつで我慢しとくれ』と杖を一振りする。一瞬で綺麗になるヒナたち。ものすごい勢いでケツフリフリをし、マデラさんに媚を売りまくっていた。
毎回思うけど、マデラさんの魔法ってどうなってんだろ? ナターシャとか冒険者が使う魔法と全然違うんだよね。いや、何が違うって言われるとうまく説明できないんだけど、なんか根本的に違うと俺の中のエンジェルが囁いているんだよ。
少なくとも、杖の一振りで六匹のヒナをキレイキレイするのはマデラさんくらいしかできないはずだ。正直どうやってるのか見当もつかない。
ざっとこんなもんだろうか。あんまり書くことが無いのは良いことなのか悪いことなのか。夕飯は巻き込まれないようにさっさと喰ったし、今日はミニリカたちも遅かったから特に顔を合わせていない。
しいて言うなら、掃除したての一番風呂をリア、ちゃっぴぃ、エッグ婦人、ヒナたちと共に楽しんだことくらいだろう。リアの泳ぎはなかなか達者になっていたけど、未だに俺好みの熱いお湯だと『あっつぅい!』って俺に抱き付いて涼(?)を取るのが頂けない。乳臭いまな板に抱き付かれて喜ぶ趣味は俺にはないのだ。
さっさと寝よう。ちゃっぴぃは俺の夢魔のぬいぐるみと自分のウサギのぬいぐるみをぎゅって抱き締めて寝ている。小さな体を存分に伸ばして俺のベッドを浸食しやがっている。こいつ専用のベッドでも作るべきだろうか。みすやお。