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日記総評

 日記の継続、よくがんばりました。言い出しておいてなんですが、まさか──がここまで真面目に書いてくれるとは思いませんでした。日常のあれこれがとても詳細に書かれ、まるで私も一緒に学生生活を送ったかのような気分を味わうことが出来て楽しかったです。


 だんだんと文章量が多くなってきたのは、それだけ日々が充実してきた、ということでいいのでしょうか。


 思えば、──には子供らしいことを今までさせられていなかったと思います。つらい思いもいっぱいさせてしまったと思います。同年代の子と遊ばせてあげることもほとんど出来ませんでしたし、正直なところ、──に友達ができるかどうか、私は不安でした。


 でも、日記の中で、──が楽しい生活を送っているのを見て、あなたを拾い、そして育て上げたことは間違っていなかったと、今はそう感じています。昔のあなたを知っているだけに、信じられない思いのほうが強いくらいです。


 友達と過ごす時間は楽しかったですか?

 恋人と過ごす時間は楽しかったですか?


 かけがえのない、言葉にできない思い出を、あなたは幸福だと感じましたか?


 もし、それを感じることができていたのだとしたら、私はあなたを誇りに思います。自らの足で立ち上がったあなたを、(私が名乗るのを許してくれるとして)母として誇りに思います。息子の成長を、とても喜ばしく思います。


 多く語るのはやめにしましょう。ただ、あなたが感じたそれは、かつてのあなたが渇望していたものでもあります。その気持ちを大切にしてください。


 恥ずかしいことをいろいろ書きましたが、これは私なりの誠意です。あなたが恥ずかしいことを書いたのだから、私も書かねばフェアではないでしょう。


 ここからはちょっとした独り言です。読み飛ばしてもらって構いません。


 授業内容の理解に一部誤りがあります。少し教科書を読み込んでみましょう。また、魔法生物への対処も及第点をあげるのには程遠い部分があります。自分以外が頼れない状況を想定し、確実な対処ができるようにしましょう。


 友達付き合いに関しては……殊更に、あなたの友達に対する感謝の念しかありません。昔から拗ねやすく子供っぽいところがあるとは思っていましたが、まだそれが残っているとは思いませんでした。友達に恵まれているということを自覚し、友達に対する尊敬の念を抱くようにしましょう。


 尤も、これはあまり口出しするべき問題ではないと思っていますが。あなたが付き合っていくべき事柄ですし。


 あと、途中の魔法陣はあれじゃ意味がありません。発動したら凄まじい効果が期待できるかもしれませんが、単体で発動することはないでしょう。もっと何かしらの工夫をするべきです。


 最後に。


 ──種々のセクハラ、およびそれに類する行為について話がある。明日の朝の仕事が終わったら顔を出せ。夕飯時でないのは私なりのやさしさだ。逃げたらどうなるかは、言わなくてもわかるな?

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