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296日目 期末テストのお勉強

296日目


 ギルの体がギルギルしい……ん?


 ギルを起こして食堂へ。『なんかすっげぇ久しぶりな気がする!』とあいつは席に着くや否やジャガイモを貪り始めた。いつもの倍以上のスピードでジャガイモが消えていく。『うめえうめえ!』とお代わりもしだした。『これ以上喰ったら夜のメニューが作れなくなっちまうよ!』っておばちゃんも悲鳴を上げていた。


 なお、そんなギルの様子をクラスのみんな&他クラスの連中は懐かしげに見守る。『やっぱこれが普通なんだよな』とティキータのゼクト。『あの可愛い子が大きくなるとああなっちゃうのね……』とバルトのシャンテちゃん。『今なら普通に呪ってもいいよな?』とアエルノのラフォイドル。『食事中に杖を出すな』とすごむロベリアちゃん。


 ちなみに俺は休日限定スペシャルアップルパイをチョイスした。立派なリンゴが贅沢に使われており、控えめなんだけどクセになる甘さがマジデリシャス。ちゃっぴぃも『きゅーっ♪』って肉厚の一番うまいところを喰っていきやがった。ちょう悲しい。


 でも、ロザリィちゃんが『はい、あーん♪』った食べかけのそれを『あーん♪』してくれて超幸せ。俺が喰ってたのよりも何倍も甘い。はにかむロザリィちゃんもグレート。耳に響く誰かの舌打ちの音も実に心地よかった。


 その後は明日のテストに備えて勉強をする。『親友、よろしく頼むぜ!』とすでにギルは勉強を放棄。俺が筋肉に教え込むことを全く疑っていない。いつも通り半裸で腕立て伏せしだした。もちろん背中にはミーシャちゃんが乗っていた。


 とりあえず、直近の基礎魔法材料学を教えることに。発展魔法生物学は実技だからまだなんとかしようがあるし、製図はテストがないからその日は魔法構築学の準備に当てられる。リスクスケジュール的にはこれが一番ベスト。


 とはいえ、基礎魔法材料学は教えることが非常に多い。しかもただの暗記じゃ乗り切れない部分もあるし、かといって計算問題みたいに反射で解かせるのも難しい。空気振動を利用した逆解析によるトレースコピーならいけるはずだけど、シキラ先生のことだし今回こそ対策される可能性がある。


 というか、なんでこんなにも基礎魔法材料学って面倒なのか。最初は暗記にしてもぬるすぎると思ったけど、後半の魔平衡状態図に入ったあたりが本当に鬼畜だ。


 ポポルもパレッタちゃんもミーシャちゃんも、そしてロザリィちゃんも表情は暗い。『おっと、帰省のための帰り支度しなきゃ!』とポポルはサボろうと口実を見つける。が、どうせあいつの持ち物なんて大してないはずなので首根っこ捕まえて口の中にヴィヴィディナをぶち込んでおいた。


 夕飯食って風呂入って雑談していたらクラスルームにステラ先生がやってきた。ひゃほう。


 明日は授業なのにラッキー……なんて思っていたら、『みんな、一年最後のテスト、がんばってねっ!』って超高級シュークリームをプレゼントしてくれた。女の子の間で大人気の並んでも買えない激レアなものらしい。『留年だけは許さないぞっ!』って微笑む姿がマジ女神だった。


 というか、あんなにお高いシュークリームを人数分用意するとか、ステラ先生が良い人過ぎる。一生ついていきたい。養いたい。養われたい。


 あと、『来週のこの時間にはもうみんな帰り支度は済んでいるのかぁ……寂しいなぁ……』ってステラ先生がしゅんとしていた。思えば、テストが終わったらみんな実家に戻ることになっている。先生は学校に残るらしいけど。


 ……冷静になって思ったけど、もしかして俺、二か月近くもロザリィちゃんともステラ先生とも会えないってこと? 正直正気を保てる気がしないんだけど。もう二人なしでは生きていけない体なのに。


 なんか急激に悲しくなってきた。こんなことならテスト勉強なんてせずにもっとステラ先生とカードゲームをして、ロザリィちゃんとイチャイチャするべきだった。


 勉強なんていつでもできるけど、今この時間はどう頑張っても戻ってこないのに。


 俺がナーバスなのにギルはアホ面晒して心地よさそうにイビキをかいている。夜泣きの時もそうだったけど、なんでこいつは周りの安眠妨害をする癖に、こうもすっきり眠れるのだろうか。理解できない。


 とりあえず、ギルの鼻には忌まわしき腕を詰めてみた。グッナイ。


※燃えるゴミ→留年 魔法廃棄物→落第

20150125 誤字修正

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