294日目 魔法造成実習:テスト対策自由勉強
294日目
夜泣きは相変わらずひどい。けどさすがになれてきた。『我の眠りを害するものに、安心快眠プレゼント』ってパレッタちゃんが夜中に呪の子守唄を唄っていたのが印象的。ポポルはガタガタ震えていた。
ベイビーギルをだっこし食堂へ。『そのぬくもりを我に捧げるなり』、『俺今日ちょっとおんぶしたい気分なんだけど』ってポポルとパレッタちゃんがベイビーギルを取り合ったので俺がだっこすることになった。まったくこいつらはどうしてこうも楽観的なのか。
さて、いつも通りベビーフードを与えながら朝食をとっていたら、『きゅぅ……♪』ってなんかやたらとちゃっぴぃが甘えてきた。俺の膝の上に座り、『あーん♪』の受け入れ態勢もばっちり。ついでになぜかすりすりとほおずりしてくる。
どうしてこんなにも甘えんぼなのかと思ったら、『ここのところパパが構ってくれなくて寂しいんだよねー?』ってロザリィちゃんがからかうように笑う。ちゃっぴぃのやつ、『きゅ!』って恥ずかしがるようにそっぽを向いた。でもほおずりはやめない。
なにこのかわいいやつ。まさかちゃっぴぃをここまで可愛く思う日が来るとは思わなかった。ベイビーギルが『ほぎゃあああ!』って次の飯をよこせと泣いていたけど、この時ばかりはミーシャちゃんに任せてちゃっぴぃを存分に甘えさせてやった。
ちなみに、『じゃあ、もしかしてロザリィちゃんも寂しいのかな?』って冗談で聞いたら、いきなりぎゅっ! って強く抱き付かれて『……ばか』って耳元で囁かれた。形容しがたい色気的なものがすごくて腰が砕けそうになる。
チラッと横目でロザリィちゃんの横顔を見た。なんか目が潤んでいて顔が赤い。いつも以上に可愛かった。
で、今日はロザリィちゃんがベイビーギルのおんぶ係に。『今のうちから練習しておかないとねっ!』って気合を入れるロザリィちゃんがマジプリティ。ベイビーギルも嬉しそう。あと新妻感がすごい。惚れ直した。
あと、『きゅ! きゅ!』ってうるさかったので、俺はちゃっぴぃをおんぶした。まったく、うちの大きなお姫様は実に甘えんぼだ。
今日の授業女神ステラ先生の魔法造成実習……と言う名の自習、だと思ったら『この授業も来週実技テストがあるからね!』とステキなスマイルで鬼畜なことを宣言された。実習科目だからレポートのみの評価だと思っていたのに、みんなが絶望に包まれる。
が、話を聞いてみるとどうも普通のテストとちょっと違うらしい。『基本はレポートで成績を付けるから、来週のテストはボーナス点みたいなものだよ! プラスにはなるけどマイナスには絶対にならないから安心して!』とのこと。
どちらかと言うと救済措置の色合いが強く、レポートに自信がない人はここで挽回、レポートに自信がある人はさらなる高みを目指す……という、マジでおまけみたいな扱いらしい。出席だけで加点されるっていうのだから、出ない理由はない。
肝心の内容は『その時までのヒミツ!』とエクセレントな笑顔をプレゼントされたため聞き出せず。まあ、そう無茶苦茶なことはしないだろう。なんたって先生は女神なのだから。
そんなわけで、授業の時間はみんなでテスト勉強。勉強中でもお構いなしにベイビーギルは『おんぎゃあああ!』と泣き叫び、やれ飯を食わせろだのケツが不愉快だの激しく主張してくる。
が、いい加減俺たちも慣れてきたもので、ベビーフードの準備もおしめの交換も見事な連係プレーで乗り切る。役に立たない男子どもには絶えず変顔させてベイビーギルのご機嫌取りをさせた。たまに泣かせる奴がいたけど、そういうやつはみんなにケツビンタ喰らっていた。
『先生……こんな風にできる自信ないなぁ……』ってステラ先生がベイビーギルの世話をする俺たちを見てちょっと寂しそうにつぶやいていたのが気にかかる。別に家事も育児も仕事も俺がやるからステラ先生は何も心配することないのに。
傍にいてくれるだけでいいというのに、育児のことも考えてくれるとかステラ先生マジ女神。
なお、ロザリィちゃんが『今から練習すれば大丈夫だよ!』とステラ先生を励ましていた。ふと思ったけど、女子たちがベイビーギルに甘いのは将来の練習台になってくれているからだろうか? 考えてみればあいつ普通の赤ん坊じゃないし、練習するには持って来いだよね。
夕飯食わせて風呂入らせて寝かせる準備をしていたらステラ先生がやってきた。ひゃっほう。
どうしたのかと思ったら、『今日は先生が面倒みるよ!』とのこと。すでに俺とロザリィちゃん(とちゃっぴぃ)が担当になっていたので、じゃあ一緒にやりましょうかと言うことになる。ネグリジェ姿で一生懸命ベイビーギルにベビーフードを与えるステラ先生の聖母感が凄まじい。
今、ロフトには俺とロザリィちゃんとステラ先生とちゃっぴぃとベイビーギルしかいない。ベイビーギルを真ん中に、みんなで寄り添いあうような格好だ。二人とも寝顔が超かわいい。
ある意味予想通り、二人ともベイビーギルが寝るまで撫で続け、そしてその手を優しく握っている。ちゃっぴぃでさえ、その身を守るかのように尾っぽをベイビーギルの腹の上に乗せている。俺の入る余地があんまりないのがちょっと残念。
なんかちょっと短い気がするけどこの辺にしておこう。本当はもっとたくさんロザリィちゃんやステラ先生の素晴らしい母性やプリティなところといった書きたいことがあるんだけど、今日はガチで眠い。二人の寝顔をもうちょっと眺めてから眠ることにする。みすやお。