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291日目 発展魔法生物学:テスト対策自習

291日目


 イビキはなかったが夜泣きが酷かった。リアってあいつ大人しい方だったんだな。


 残念ながら、ベイビーギルは今日もベイビーなままだ。夜中に何度も泣き出して盛大にぐずる。だっこしても高い高いしても子守唄を唄ってもダメだったのに、ジャガイモズタ袋を触らせるとスヤスヤしだすから不思議なものである。


 ベイビーギルをだっこして食堂へ。すでにみんなある程度の予想がついていたのか、昨日ほど驚かれたりはしない。『それっぽい格好してるじゃん? なぁパパ?』ってティキータ・ティキータのゼクトがからかってきたくらい。直後にプリンの子に頭をひっぱたかれていたけど。


 ちなみにこのプリンの子、ライラちゃんっていうらしい。どこかで聞いた名前だけど、はて、どこだったっけ? 『かわいいなぁ……!』ってにこーって笑いながらベイビーギルに手を振っていたのが印象的だった。


 朝食後にブラックコーヒーをチョイス。眠気覚ましの意味合いを兼ねてたけど、純粋にその香りも素晴らしくてうっとりとしてしまう。『きゅーっ!』って雪辱に燃えるちゃっぴぃが俺の奴から一口飲んだけど、『きゅぅぅぅ……』ってそうそうに負けを認めた。『今度こそ!』ってロザリィちゃんも飲んだけど、『うぇぇぇ……』って涙目になっていた。そんな姿もマジプリティだった。


 もちろん、ベイビーギルにはベビーフードを。きゃっきゃと笑って実にうまそうに食っていた。ミーシャちゃんもだんだん食わせるのがうまくなってたのが僥倖。あと、ベイビーギルはポポルの髪の毛を引っ張って遊んでいた。


 授業は天使ピアナ先生と頼れる兄貴グレイベル先生の発展魔法生物学。『…本当に赤子になってるんだな』、『うわぁ、かわいーっ!』と先生たちもベイビーギルに注目。ピアナ先生に至っては、『ね、ちょっとだけ抱っこさせて!』ってすんげえニコニコしながらベイビーギルをだっこしていた。


 この騒動がひと段落したら、なんとかして赤ん坊になる薬を開発してみようと思う。ピアナ先生に抱っこしてもらって、ステラ先生の腕の中で寝て、そしてロザリィちゃんにあやしてもらうのだ。夢が広がりまくってヤバい。


 内容は期末テストについて。やっぱりこれも来週期末テストがあるから、各々自習するなり質問するなり好きにしなさいってやつ。テスト内容としては基礎魔法生物学の時みたいな感じだから、植物も魔物もまんべんなく復習しましょうって先生が言ってた。


 で、さっそく勉強しよう……と思ったんだけど、『おんぎゃあああ!』とベイビーギルが泣き出す。『…お通じだろう』とグレイベル先生がさっとおしめを変えてくれた。めっちゃ手際が良い。熟練の産婆さんの影を幻視する。


 毎回思うけど、グレイベル先生の女子力はどこまで上がるのだろうか。ピアナ先生でさえ、『なんで手馴れているの……!?』ってびっくりしていた。ピアナ先生は赤ちゃんの世話したことないんだって。


 ベイビーギルもグレイベル先生には懐いていた。どうやらグレイベル先生のだっこの仕方がうまいらしく、笑いながらうつらうつらとして、しまいにはこくん……と寝こけてしまう。逆にピアナ先生はそれほどでもないのか、むしろ髪の毛を引っ張って遊びだす始末。


 でも、『もう、ぐしゃぐしゃになっちゃうよぉ……!』ってピアナ先生は満更でも無さそげ。なんで赤ん坊ってなにやっても許されるんだろう。不思議でならない。


 当然だけど、テスト勉強はたいして進まず。クーラスとか真面目なやつはそれでも結構頑張っていたけど、フィルラドとかポポルとかパレッタちゃんとか不真面目なやつはベイビーギルの面倒を見るという建前の下サボりまくっていた。学生がこれでいいのだろうか。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。クーラスが勉強の合間に二枚目のよだれかけを作ってくれたのでありがたくもらった。ジャガイモ模様と大きく『ギル』って名前が刺繍されたステキな逸品。『ちょうどいい息抜きになった』ってあいつは言ってたけど、途中から結構ガチでのめりこんでいたのを俺は知っている。


 さて、今更だけどこの日記はロフトで書いている。雑談中、『夜泣きが酷くて眠れなかった』って話したら、『じゃあ、持ち回りで面倒見るか』って話になったんだよね。で、ロフトにあるちゃっぴぃのベッドを暫定でベビーベッドとし、夜中の対応として今日は俺とミーシャちゃんが張り込むことになったってわけ。


 『ご飯でもうんちでも何でも任せるの! ギルが寂しいならずっと抱きしめて添い寝してあげるの!』ってミーシャちゃんは張り切ってたけど、すでに深い眠りの淵の中にいる。ついでに幸せそうによだれをたらしている。


 でも、ベイビーギルの手を優しく握っているところに何とも言えない何かを感じた。これが母性と言う奴だろうか?


 とりあえず、ミーシャちゃんのよだれを拭いて俺も眠ることにする。念のため、ベイビーギルの腹にはもう一枚毛布を掛けておいた。おやすみ。

20160122 誤字修正

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