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わたしのリノベ、わたしの選択。「暮らす」と「整える」が静かに重なる家。

昨年、中古戸建を取得し、リノベーション工事を経て移り住みました。新居に住みだしたのが24年8月15日です。

その後、軽微な調整や、元々予定していた別工事が後ろ倒しに次ぐ後ろ倒しになり、当初から計画していた範囲が終わったのが25年2月末頃でした。

そんな中、やっと全体の施工依頼をしたリノベーション会社様の事例写真の撮影までこぎ着け、改めてこの家での生活と、リノベーションをする時にどんな観点、優先度で意思決定したのかを振り返ろうと思います。

施工はエム・デザインさんに実施いただきました。

振り返るとリノベーションや引っ越し後の生活設計を通して実行してきたのは単純に「自分の好きな家を手に入れる」話というよりは「生きる環境を自分で定義・設計しなおし、その実現に心血を注いだ」という順序だったなと感じています。

細部にまで手を伸ばし、思考を巡らせ、選びとったものたち。

今回ご紹介するのは、私がリノベーションを通じて形にした、最高の生活の器である住居のご紹介です。

リビングと書斎が溶け合う空間

白い光が満ちるリビングはこの家を最初に見たときに、夫婦そろって気に入ったポイントでもありました。リビングキッチン側は天高になっており、最大4m近い高さを有し上部に配置された窓から光が降り注ぎます。

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天井の高さと窓からの採光と景観はあとからどうにもできない部分でもあり、リビング正面に広がる緑が広がる景色を含めて、この家の居心地の良さを下支えしてくれている部分です。天窓ではないので真夏でも部屋の温度を必要以上に上昇させるようなことはなく、ただ光を取り込んでくれており非常に気に入っています。

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天井も含めて全面に窓がある作りなので、天気がよい日は光を多くとりこんでくれ、明るく気持ちのいい空間であってくれるので心地よいです。

リノベーションにおいてポイントになったのはキッチンとリビングを分離するナラ材の造作窓と、部屋奥をゆるやかに区切る同材のアーチです。

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アーチがある部分は当初は4.5帖程度の引き戸で繋がる部屋であり、クローゼットと2階のトイレが設置されていました。これを全て取り払ってリビングダイニングを完全につなげつつも、構造上切り替えができる部分にアーチを設置し床材も石目のタイルにすることで、連続した空間ながらも用途をゆるやかに変化させた書斎の要素を作ることができました。

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背もたれが低く透かしが入っているソファは8年程前に「背面から見ても絵になる」部分にほれ込んで購入したものなのですが、誂えたようにしっくりとなじみました。購入の決め手にもなった「背面」が見える配置でソファが配置できたのは実は今の家が初めてなので、長い時を経てやっと「お披露目」ができました。

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アーチとキッチン内窓は本棚と同様のダークブラウンにするかを迷いましたが、後々オイル塗装も可能なため、ソファとの連動制を優先してナラ材にクリア塗装という形にしました。経年によって色味が変わる要素を配置したことで「変化」を捉えられると考えています。

本棚は亡き祖父が愛用していたものを譲り受けたのですがクラシカルで重厚な要素を足してくれており、全体的に「白、明るめ、モダン」な方向性の住宅自体の方向性を上手くバランスしてくれています。

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テレビ台的に壁一面に設置しているダークブラウンの作り付け棚は上部を石目調シートにしてもらうことでモダン+アンティークの領域をつなぐ役目を担ってくれました。IKEAのベストーに棚を半造作的に組み合わせて作成していただきました。インテリア的な観点からのリレーションの要と、生活における収納の両輪を支えてくれています。

こちらの本棚には仕事的な書籍は基本的にはおいておらず、リビング内にあるリーディングスペース的な扱いとしてしています。美術系の書籍、雑誌、エッセイ類が中心であり、左側は飾り棚としています。

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リビングワークスペースは反対側、リビング・キッチンスペース側に設置しています。鏡の前のスペースです。書斎は階下に用意はあるのですが、記事作成やリサーチなどの仕事であればこの場所で実施しています。

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真鍮のゴールドを家全体のポイントとして取り入れており、家具や雑貨類を買い足す際には「真鍮」「ゴールド」を意識的に取り込んでいます。写真のローボードは新居にて購入したものなのですが、天板がブラックの大理石、面材がダークブラウン、ポイントとしての真鍮ゴールド…という作りになっており、インテリア全体のテーマを打ち出してくれているお気に入りです。

「住む」と「働く」、「読む」と「考える」が自然に同居しており、キッチンがそばにあることでのお茶やコーヒー類の用意も簡易で生活と仕事における環境要素として整っていると感じています。この場所にいること自体の幸福度が高く、生活自体に対する心地が信じられないほど底上げされました。

キッチンは半個室で緩やかな繋がりを

空間の構造を語るうえで重要な部分が仕切りの使い方です。

今回のリノベーションで最も実行してよかったことが、機能性がゼロのアーチとキッチンフレームの造作です。リビングと書斎をゆるやかに区切るアーチと、リビングとキッチンを区切るガラスと木でできた縦長のフレームと、この二つの連動によって空間にリズムが作られました。

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透ける境界によって、視線の抜けを保ちながらも、空間の「機能の違い」を区切ることができました。光が多く入る部屋であることはお伝えした通りなのですが、キッチン側はガラスが入っていることにより反射という動きを生み出してくれる点が秀逸です。

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キッチンは既存を流用しつつ、水栓・食洗器・コンロを変更しました。デザイン的にはキッチン面材にシートを張り、取っ手を真鍮に変更しています。場所や天板を変更していないので大きな金額は動いていませんが、雰囲気を出せた点と既存の家電製品(黒)とのマッチもあり満足しています。

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キッチン背面には、carl hansen & sonの tsugiシェルフを後付けで導入したのですが、オーク材と真鍮製のピンで固定する棚は、造作類と黒を基調にしたキッチンに非常に合いました。収納力の面でも、棚が二段だけでもあるとないとでは随分と変わってくるので侮れないな…と感じています。

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お茶系の素材を中心に利用頻度が高くない小皿類などを置いているだけですが便利です。

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一つ一つのアイテムが必要かつ空間を崩さない形で設計されており、陶器や木の質感、柔らかい色味の道具が加わり調和するよう仕上げていただけました。

光を受ける場所、境界を設計する工夫

キッチン照明はリノベーションが決まった時点より、ハモサのライトを導入しようと考えていました。当初はよくあるキッチン照明がベタ付けでついている状態だったのですが、等間隔に照明具を設置できるようご提案いただきました。

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雰囲気を底上げする、小さくも大きな空間のアクセントとして存在感を持っています。自分ひとりでは見落としていたので、こういったご提案を受けられたことは非常に助かりました。

階段照明も真鍮ブラケットのある円形のものを導入しており、ライトに利用されている素材感でリレーションを生んでいます。

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リビングダイニングキッチンと同階に浴室・洗面もあり、こちらも丸いライト、真鍮の壁付け水栓、ブラックの石目の洗面台で室内との調和を意識しています。

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洗濯機を置いていないことで、ホテルライクな水回りを実現できたと思います。壁から壁にツラで洗面台を設置できればよりホテルライクでラグジュアリーな仕上がりになったとは思いますが、検討時間がその他の場所よりも短かったこともあり十分設計することができなかったです。

とはいえ非常に気に入っている場所であることには変わりがなく、洗面室に関してはもう少し手を加えていきたいなと考えています。

ここでどんな時間を過ごしたいか

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私がこのリノベーションで実現したのは「おしゃれな家」ではなく「生活の強度がちょうどいい家」です。もちろんダサいは罪なので、自分自身が「素敵だ」と思える空間にありたいという根本的な信念はありますが、生活をする場であることは非常に重要です。

  • 本を読みたい時に、気持ちよくページをめくれるように

  • 美味しいものを淹れたい時に、道具に迷わず手を伸ばせるように

  • 頭を整理したい時に、壁と光を相棒にできるように

「何を置くか」だけでなく「何をしやすくするか」を軸に空間が設計できたことで、住んでいることと目に入る全てに違和感がなく「心地のよさ」を提供してくれています。

毎朝、この部屋に上がり、窓のブラインドを開けるその瞬間から幸福感に包まれます。ブラインドを開けて光が射す心地よさと、差し込む光を空間が捉えて美しくなじむからです。

「整える」は自己表現で自己保全でもある

この家は何かを手放してミニマルになったり、シンプルになったわけではありません。むしろ、自分の欲しい時間、自分を立て直すリズム、自分が好きな風景を意図的に整えた結果、こうなりました。

私はミニマリズムはクソくらえと思っているし、自分の好きなものは実現させたい欲張りです。しかし、それには必ずしも「量」が必要でないことも、理解しています。

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当然、私たちが暮らしていく家なので、私にとっても、夫にとっても、犬にとっても「良い家」であることは大前提です。「誰かに見せるため」ではなく「自分たちの暮らしを守るため」に施されたもの。

だけどその中で、モノの厳選、配色の妙、機能の重なり方すべてに、意図と意思を込めました。「こういう家、いいな」と思っていただけたなら嬉しいです。そして「誰かのためではなく、自分にフィットする空間を考える」という思考のきっかけになれば、もっと嬉しい。

リノベーションも、インテリアも、劇的変化でなくてもよく、今の暮らしを自分寄りにカスタマイズする行為であるはずです。その場があなたを心地よくしてくれる場所であることを願っています。

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