「無断埋葬」事件の結末
無断で埋葬された14体もの遺体はいまも残る。早川さんは続ける。
「許可なく埋葬されたとはいえ、一度埋めたものを掘り返すことはできません。亡くなった方に罪はありませんからね。結局、そのまま墓地にして、いまでも残っております。
本来、正規の埋葬代金を請求したいところでしたが、200万円を支払ってもらうことで話をまとめました。男は警察官の前で念書に署名・押印し、その書類はいまでも保管してあります。もっとも、1銭も支払われていません。数ヵ月後、念書を取り交わしたパキスタン人は行方不明になり、現在に至っております」
このトラブルについて、本庄市役所の担当者はこう話した。
「土葬については経営者・管理者の方が判断するものであり、行政としてはいいともダメともいう立場ではありません。(埋葬をめぐり、本庄児玉聖地霊園で)トラブルがあったことは把握しておりますが、民間同士のやりとりのため、こちらが何か言える立場にはありません」
予期せぬ事態に困惑した早川さんだったが、東京都・大塚にモスクを置く宗教法人「日本イスラーム文化センター」の責任者から数年前に「ムスリム向けに区画を購入したい」という打診があったことを思い出した。
「大塚のモスクに連絡したところ、改めて『ムスリムの墓を受け入れてほしい』との話がありました。お墓がある限り、何としても霊園を維持していかなければいけません。ある意味、苦渋の決断ではありましたが、受け入れを決め、遺体が無断埋葬されていた場所の近くにムスリム専用の区画をつくりました」