イラストレーターさんが画像生成AIについて勘違いしていること
職業が脅かされるとしてイラストレーターさんなど、画像生成AIに否定的な立場な方々は、法改正が必要であると考えている方も多いようです。
私は法改正までは必ずしも必要ないんじゃないかなと思っています。なぜなら、法改正しなくても、画像生成AIを規制することは十分可能だし、なんなら勝手に規制されていくので大丈夫そうです。
(もちろん法改正して規制した方が明確ではあります)
理由を以下に記載します。
①日本法の影響は限定的である
日本の著作権法30条の4にて、原則として作者に許諾を得なくとも著作物をAI学習に用いることが認められています。要するに、日本国内でAI学習を行う場合だとAI無断学習は基本的には合法です。
しかし、現状だと、著作権法30条の4を根拠にフルスクラッチでAI学習を行った画像生成AIは、ほぼ無い(存在を確認できない)ので、日本国の著作権法は画像生成AIにあまり影響を及ぼしていません。
日本の法律だとAI無断学習は基本的には合法ではあるんですが、そもそも著作権法30条の4を根拠に作成された日本製画像生成AIが存在しないので、たいして意味が無いということですね。
ですので、日本の著作権法でAI無断学習禁止にしたところで、多くの画像生成AIはアメリカ製なので、それらには関係ないってことです。
②著作権法30条の4の但し書きの法解釈次第で、十分規制も可能
著作権法30条の4には、「ただし、当該著作物の種類及び用途、当該利用の態様に照らして著作権者の利益を不当に害することとなる場合には適用されない」という但し書きの部分があります。
この、「著作権者の利益を不当に害すること」とはどんな場合か?という法解釈次第で、日本製画像生成AIが今後誕生した場合でも、規制は可能です。
③アメリカ訴訟の結果次第で勝手に規制される
今、アメリカで画像生成AI企業に対する訴訟が多数起きています。その結果次第で、画像生成AIの無断学習がフェアユースかどうかの判断がされる見込みです。
AI企業敗訴なら、AI学習データから海賊版や無断転載データを除外する、権利取得済みデータを使用するなど規制されていきます。
④アメリカ訴訟の結果が日本に影響する
アメリカで画像生成AIに対する規制が強化されれば、日本国内の多くのユーザーはアメリカ製画像生成AIを使っていますので、日本国内でもアメリカ同様に規制されるのと同じことになります。
アメリカの法律が日本の法律に直接影響するわけではありませんが、日本ではアメリカ製AIサービスを使用しているので、アメリカの遵法(海賊版排除、ライセンス取得化)が、そのまま日本ユーザーの体験にも反映されるということです。
まとめ
今後、アメリカ訴訟の結果を受けて、法改正無しでも30条の4のただし書きの運用を明確化していけば、多くの場合に対応できるのではないでしょうか。
もし、改正が必要とすれば、学習データに対する対価還元スキームの政府判断を入れて欲しいところですが、これは著作権法30条の4とはまた別の立法が必要になるでしょう。まずは、今後のAI企業訴訟の結果を受けて、文化庁のAIと著作権の考え方や資料の事例を充実化していくことが必要そうです。
著作権法30条の4を根拠にフルスクラッチでAI学習を行った画像生成AIは、ホントに無いの?と思った人は以下の記事も読んでね!
画像生成AI企業に対する訴訟については、以下の記事を読んでみてください。
以下の記事を見ると、なぜAI企業が敗訴して、規制強化されていく流れなのかわかると思います!
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コメント
4根拠薄弱にも関わらず希望的観測が強すぎる。書いてて疑問に思わないのか?
Noramiさん
はい、すみません。
この記事はかなり簡単に書きましたので、詳細は省略して書きました…
まあ、MidjourneyとDisneyの訴訟の場合、Midjourney完全勝訴は厳しいとは思います。
部分敗訴でも影響は出そうですね。以下の記事などに書いてますのでもしよかったらご覧ください。
https://note.com/yunomix/n/n61d71dc727b6
生成AIが誕生した時代から順当に変化しているのを認識して法的な知識を身につけるべき時に魔女狩り騒ぎを起こす連中は何をしているのやら
法改正ではwebサービスとしての画像生成は規制可能なのですが、ライセンス的にもローカルでの生成は規制できません。
無理にローカル環境での生成も規制するとなると、それは「特定の計算を規制する」と同義になります。要は幾つかの計算を組み合わせているだけなので。
「画像生成AI」として括るにはそこの切り分けができていない記事かなと思いました。