靖国分祀、今の世代で解決を 古賀誠自民党元幹事長インタビュー
―政治的にどう取り組むべきか。 この問題がいまだ解決できていないのは「政治の貧困」が続いているからだ。上皇さまが世界30カ所以上の慰霊の旅を続けられたが、靖国にお参りできていない。英霊もご親拝いただきたいのに、それができないのは残念だ。靖国の御霊の思いは何かを考えて、重ねて国民に発信し、国民世論をつくり上げていくことが大事だ。ご親拝できる環境整備に全力を尽くさなければならず、われわれの世代で解決すべきだ。 ―「政教分離」はどう整理すべきか。 力足らずであり、反省すべき点はたくさんある。私自身、分祀以外ないということで頑張ったつもりだが、なかなか思うような国民世論をつくり上げることができなかった。 ◇政治利用に危機感 〈小泉純一郎首相は2001~06年の在任中、毎年参拝し、中国や韓国との関係悪化を招いた。06年は終戦の日の参拝に踏み切った。安倍晋三首相は13年12月に参拝し、オバマ米政権が「失望」を表明した。この後、現職首相の参拝は行われていない〉 ―首相や閣僚の参拝についてどう思うか。 A級戦犯合祀という問題を解決しなくてはいけない。今の状況で参拝することには反対だ。近隣諸国ともめ事をつくる必要はない。 ―分祀が実現すれば周辺国の理解は得られるか。 中国や韓国は戦争責任者のA級戦犯を祭っているところにお参りすることで「いつか来た道に戻るのではないか」と言っている。分祀すれば参拝を非難する理由はなくなる。 〈7月の参院選で参政党が「日本人ファースト」を掲げて躍進。神谷宗幣代表は8月1日の記者会見で「私は毎年(サンフランシスコ講和条約が発効した)4月28日に参拝してきた」と説明。終戦の日にも党所属の国会・地方議員有志で参拝すると明言した〉 ―参院選で保守勢力が伸長した。今後、靖国問題が政治アピールに使われるなど影響が生じる懸念はないか。 靖国問題が政治利用されるのではないかという危機感を持っている。幸い、石破茂首相はご親拝の環境を整備すべきだという主張をしており、ぜひその先頭に立ってほしい。 自民党は参院でも少数与党という苦しい立場になった。しかし国民のために一番大事なのは政治の安定だ。長い歴史と伝統を持つ自民党だからこそ国民に示すべき方向があるはずで、靖国問題もその一つだ。(肩書は記事、写真とも当時 インタビューは7月28日に行いました)