広陵高校の元野球部員「被害の実態、明らかにして」 第三者委が調査

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 第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)への出場を大会中に辞退した広陵高校広島市)に対し、監督や部員らから暴力や暴言を受けたと訴えている元硬式野球部員の男子生徒が、両親同席のもと朝日新聞の取材に応じた。生徒は「被害の実態をしっかりと明らかにしてほしい」と話した。

 学校は関係者の聞き取りでは訴えの内容を確認できなかったとしており、生徒側の求めに応じて、今年6月に事実関係を調べる第三者委員会を設置している。生徒によると、今月下旬、第三者委で2度目の聞き取り調査を受ける予定という。

 広陵高校では、今年1月、寮で禁止されているカップラーメンを食べたことを理由に、当時の2年生4人が1年生のほおや胸をたたいたり胸ぐらをつかんだりした暴行事案があったとして、日本高野連が3月に同校を厳重注意した。

 今回、取材に応じたのはこの件とは別の被害を訴えている生徒。1年生だった2023年に寮内で数人の部員から下半身を触られたり、中井哲之監督やコーチ陣からも暴言や暴力を受けたりしたなどと学校に訴えている。

 生徒は「広陵の『攻撃型野球』にあこがれ入学した」と言う。だが、退部し、学校にも行けなくなった。広陵が選手権大会への出場を決めると、精神状態はさらに悪化したといい、「自分がこれだけ苦しんでいるのに何もなかったように試合するのは許せない」と、学校に何度も電話をかけて抗議したという。

 広陵は1回戦を突破した後の今月10日、出場辞退を発表。堀正和校長は、中井監督について当面は「指導から外れてもらう」と説明した。生徒は取材に「もともと甲子園に出るべきじゃなかった。辞退は当然だが、決定が遅かった」と訴えた。

 生徒の両親は「よほどのことがなければ息子がこれだけ苦しんではいない。きちんと調査して真相を明らかにしてほしい」と話した。

 生徒の訴えた内容について、広陵高校は出場辞退前の今月7日に文書で見解を公表した。文書によると、24年3月に被害の申告を受け、関係者から聞き取ったが「指摘された事項は確認できなかった」とした。

 また、生徒側が退部後の今年2月に日本高野連などに情報提供したことを受け、部員全員と職員から聴取したが、同様の結果だったとし、文部科学省のガイドラインに従って第三者委を設置したという。

 学校は14日、朝日新聞の取材に対し、「元部員から具体的な話が得られず、事実認定ができなかった」と説明した。元部員が出した被害届を元に警察が他の部員への聞き取りや、寮内の確認をしたことも明らかにし、「警察や第三者委員会に全面的に協力する」としている。

 両親によると、学校に調査を求めると、「聞き取り調査に伴うリスクはすべて親権者が引き受ける」という旨の校長宛の書類に署名と押印を求められたという。

 この件に関しては、学校は取材に「被害を訴えた生徒が学校に行きづらくなるなどの支障が出る可能性があることを承諾してもらう必要があった」と説明している。

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