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【独自】葵祭の京大生バイト 募集中止 京大 女性・留学生の制限を問題視

2025.07.16

京大は、女性・留学生の雇用をめぐる葵祭行列保存会との協議に基づき、例年掲示していた葵祭での学生アルバイトの求人情報を今年度は掲示しなかったことが、本紙の取材で明らかになった。従来の募集は保存会などからの希望を受けて京大が掲示していたもので、毎年京大の男性学生が「白丁」役として参加してきた。今回、女性学生・留学生の参加を認めない点を違法だと京大が指摘し、両者の協議を経て保存会が募集を取り止めた。

白丁(イメージ)



葵祭は上賀茂神社・下鴨神社の祭礼。毎年5月15日に催され、京都三大祭の1つに数えられる。御所から上賀茂神社まで行列が向かう「路頭の儀」には、例年40名ほどの京大生が、調度品を持って行進したり牛車を牽引したりする「白丁」として参加してきた。

京大は3月末、保存会の示す条件を確認したうえで、女性学生を受け入れるよう保存会に求めた。一方で保存会は、行列では5㌔㌘前後の調度品を携帯して約8㌔㍍を歩くために体力を必要とするとし、女性学生の参加に懸念を示した。京大は、学生本人が体力について自己判断する方式を提案したが、保存会は「今回は対応不可」としたうえで、御所内で女性アルバイト専用の更衣室を確保できないことを強調した。

京大は同時に、留学生についても受け入れを求めた。特に、日本語の指示が日本人学生と同程度に理解できる留学生の受け入れを提案。これに対し保存会は、所作等の事前研修の必要性から募集を断念すると返答した。研修に要する人員や費用を賄う余裕がないという。

これを受けて京大は、更衣室がないことを理由に女性学生を募集しないことや、留学生であること自体を理由に留学生を募集しないことは法律違反だと指摘した。一方で「祭礼(宗教上)の性質」が理由であれば男性のみの募集は許容されるという認識を京大は示したが、保存会は「意見の不一致」を理由に今年度の募集を取りやめた。

保存会の見解


本紙の取材に対して保存会は、「葵祭は1400年以上続く市民全体の神事であり、京都商工会議所などから協賛を得ている側面もある。平安時代の行列と相違点が生まれてよいか保存会だけでは判断できないため、女性学生・留学生の雇用には市民全体の了解が必要だ」と答えた。ただ現時点では、市民全体の了解をとる具体的な手段や資金はないという。また、実際に女性学生を募集する場合、役柄を新設し衣装を新たに用意するなどの対応が必要になると述べた。

一方で京大生のアルバイトがいない状況について「現場としては厳しさがある」とし、「長年多くの学生に参加してもらってきたので非常に残念だ」と加えた。学生にとって祭礼への参加は有意義な体験だと述べ、京大生の募集再開を望む意向を示した。本紙の取材に対し京大は、今後の募集について「先方から希望があれば適切に対応する」と答えた。

京都労働局の見解


本紙は法的な見解を京都労働局に尋ねた。それによると、宗教の特性上、男性のみを募集することは法律上認められるが、葵祭が該当するか否かは答えられないとした。その上で、歴史上男性が務めていた役柄を再現するために男性のみがその役を務めることは問題ないとした。したがって、学生アルバイトの担当する白丁が「歴史上男性が務めていた役柄」であれば、男性のみの募集は認められるという見解を示した。一方で更衣室の有無は女性を募集しない理由にならない、と答えた。また、留学生に関しては「所作の研修の必要性は個人による」とし、所作の研修を理由に外国人を排除する点には問題があるとした。