シリア、クルド人、そしてトルコの戦略的盲点
中東の火薬庫と呼ばれるシリア情勢は、依然としてクルド問題と切り離せない。トルコ政府は長年、シリア北東部にイラクのようなクルド人自治地域が成立すれば、自国のクルド人が同様の動きを取るのではないかという強い恐れを抱いてきた。
この恐れは一時的に弱まった時期もあったが、もしシリアのクルド人が武力で押さえ込まれれば、この懸念は再び力を持ち、政治的な影響力を発揮する可能性が高い。
「安定」の幻想と過激派の現実
現在、シリアで新たに樹立された「暫定政府」は、表向きは統一と安定を目指すとされている。しかしその中核を担っているのは、かつて国際的にテロ組織として認定された**アルカイダ、ヌスラ戦線、そしてIS(ダーイシュ)**などの過激派イスラム主義勢力の元指導者やメンバーだ。
こうした勢力が主導する体制下で、持続的な安定や平和が実現することはない。互いに相容れない勢力が混在し、法と制度の一貫性を欠いたままでは、シリアはこれからも戦火と虐殺の舞台であり続けるだろう。
アンカラへの理性的呼びかけ
トルコ政府は、自国のクルド人との歴史的かつ持続的な和解を模索しているとしながらも、シリアで自治を模索するクルド人に対しては「過激派の影響下にある」という名目で軍事的圧力を加えている。だがこれは短期的には国内向けの政治的得点になるかもしれないが、中長期的には自国の利益を損ねる。
この政策の結果は明白だ:
1. 国内での失敗 – 必要な和解は達成できない。
2. シリアでの行き詰まり – 中央集権的で統一された国家の樹立はほぼ不可能となる。
3. 戦略的損失 – 強硬姿勢を続ければ、シリアは事実上イスラエルの影響下に置かれる。
もしそれが目的でないのなら、この敵対的政策は「戦略的深慮」という言葉の裏に隠れていても、非効率で有害であることに変わりはない。
選択の時
トルコには二つの道がある。
理性と理解をもって行動し、対話によって地域の安定を模索する道
敵意を煽り、分断を深め、国内外の不安定を固定化する道
歴史は、どちらの道が選ばれたかを必ず記録するだろう。そして、トルコ国家のクルド人への視線が恐怖と敵意に覆われ続ける限り、この地域に真の平和は訪れない。
Quote
Wladimir van Wilgenburg
@vvanwilgenburg
"One of the main factors offsetting possible Turkish military operations against the SDF is Erdogan’s concern that such action could blow up his plans to secure Kurdish support at home in order to remain in power." al-monitor.com/originals/2025 - @amberinzaman