10年後、ガンダムやエヴァは生き残っているか──鶴巻和哉監督が見つめるロボットアニメの未来 #アジア文化最前線
——マチュが最後に立ち向かうのが、かつてテレビに登場したものと同デザインの“ガンダム”で、それが巨大化します。これは、巨大に成長したガンダム産業の寓意にも見えたのですが。 メタ的というか、ある種の批評的なところも含めて「オタク的な楽しみ方」だと思っています。巨大な“ガンダム”は、そういうわかりやすさを考えた結果ですね。
「自分のために作る」から「誰かのために作る」へ
——最終話まで作り終えて、鶴巻監督の中で変化はありましたか? 『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』を作りながら、今までとは違う感覚を持っていました。いつもなら、まず自分のために作る。自分が一番面白いと思うものを作ることが、作り手として誠実なことだと思っていましたから。でも、今回は少し違っていて、「誰かのために作っている」という感覚も常に持っていました。自分にもこんなサービス精神があったんだと意外でした。それは長くかかった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を終えたあとだったからなのか、地上波テレビというより一般に向けてという感覚があったせいなのか、“ガンダム”だったからなのか、よくわからないです(笑)。50代後半になった今の自分の感覚かもしれないし、自分が作ったものではない、他者が作った世界観やキャラクターを演出する過程で客観的になったからなのかもしれません。 --------- 鶴巻和哉(つるまき・かずや) 1966年、新潟県生まれ。テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に副監督として参加、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を含む『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ(2007~2021年)では、監督を務めながら、画コンテやデザインワークスでも活躍。その他の監督作に『FLCL(フリクリ)』(2000年)、『トップをねらえ2!』(2004年)、『I can Friday by day!』(2015年)、『龍の歯医者』(2017年)など。監督最新作は『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。 --------- 藤津亮太(ふじつ・りょうた) 1968年生まれ。数多くの媒体に執筆・出演するほか、東京工芸大学芸術学部アニメーション学科で教鞭もとる。著書に『増補改訂版 「アニメ評論家」宣言』『アニメの輪郭』『アニメと戦争』『ぼくらがアニメを見る理由』など。最新刊は『富野由悠季論』。 「#アジア文化最前線」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。新たな才能が生み出すエンターテインメントや豊かな歴史に根ざした伝統芸能など、最新のトレンドや伝統の再発見をお届けします。日本を含むアジア文化への理解を深め、世界とのつながりを広げることを目指します。
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