「Groq」で最新モデル「Kimi K2」を動かす。使い方から料金、実力まで徹底解説
2025年7月、AI開発の潮流は大きな変化を見せています。Alibabaの「Qwen3-Coder」やMoonshot AIの「Kimi K2」など、クローズドモデルに匹敵する性能を持つオープンソースのAIモデルが相次いでリリースされました。これに加え、OpenAIによるオープンなモデル公開の可能性も報じられています。
これらの高性能モデルは誰でも利用できる一方、その能力を最大限に引き出すには強力な推論(Inference)ハードウェアが不可欠であり、これが多くの開発者にとって新たな課題となっています。
この課題を解決する鍵となるのが、本記事で紹介するGroqの「推論向け高速AI処理技術」です。Groqは独自のLPU(Language Processing Unit)により、最新のオープンソースモデルを高速かつ低コストで実行する環境を提供します。実際に、先に挙げたKimi K2やQwen、Llama 4といったモデルの多くが、リリース直後からGroq上で利用可能となっています。
本記事では、Groqの基本からすでにGroq上でアクセス可能になっている「Kimi K2」を実際に利用する方法までを、具体的に解説します。
Groqとは
Groq, Inc. は、AIの推論処理に特化した半導体とソフトウェアを開発する米国のスタートアップ企業で、 同社が独自に開発したLPU(言語処理ユニット)は、既存のGPUとは異なるアーキテクチャで、AIの計算速度とエネルギー効率の向上を目的としています。
日本国内でも注目されており、昨年8月には大手通信キャリアのKDDIも、スタートアップ支援ファンドを通じて同社への出資を行っています。
2016年に元GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)開発者であるジョナサン・ロス氏らによって設立され、機械学習専用の独自ハードウェア開発に特化してきました。
Groq, Inc.は機械学習の推論処理専用チップ「LPU」(Language Processing Unit) を開発しており、これはGPUとは異なる新しいアプローチで大規模言語モデルを高速実行できるのが特徴です。
実際、GroqのLPUを用いたAIサービス「GroqCloud」では、従来のGPU使用時と比べてLLMの処理が最大10倍速いとも言われています。
2024年3月にクラウドサービス「GroqCloud」が開始されると、そのわずか7週間で10万人以上のユーザが利用を開始するなど急速に注目を集めました。
超高速AIプラットフォーム「GroqCloud」
Groq, Inc.が開発したLPUのパワーを、誰もがAPI経由で利用できるようにしたのが、AI推論プラットフォーム「GroqCloud」です。ここでは、その主な特徴を紹介します。
① LPUが実現する圧倒的な応答速度
最大の強みは、その圧倒的な推論(応答生成)速度です。これは独自開発のLPU(言語処理ユニット)により、LLMの複雑な計算を効率的に実行することで実現しています。
ベンチマークでは、従来のGPU利用時と比較して最大10倍の速度でLLMを実行できるとの報告もあります。また、多数のユーザーが同時にアクセスしても、安定して低遅延の応答を提供します。
② 高いコスト効率
Groqは「tokens-as-a-service(トークン・アズ・ア・サービス)」と呼ばれる料金モデルを採用しており、使用したトークン数に応じて課金されます。
大規模に使っても1トークンあたりのコストが非常に低く抑えられるよう工夫されており、利用が増えても速度・品質・コントロール性を犠牲にせず業界最安水準のコストを実現しているとされています。
③ 大規模モデル&長文脈への対応
Groqは最新・高性能なオープンLLMを多数サポートしています。
例えば、Metaの「LLama 3」がリリース直後の2024年4月にGroq上で利用可能になるなど、新しいモデルへの対応も早いです。
またモデルによっては最大128kトークンもの長大なコンテキスト長を扱えるものもあり、長い文章や長時間の会話履歴をモデルに持たせた高度な応答も実現できます。
④ 使いやすいインターフェースとAPI
Groqはエンジニアでなくても使いやすいWebインターフェースを提供する一方で、開発者向けにはシンプルなAPIも用意しています。
わずか数行のコードでGroqを自分のアプリに統合できるため、チャットボットやウェブサービスへの組み込みも容易です。
公式のPythonライブラリも提供されており、APIキーを用意して呼び出すだけでモデルの推論結果を取得できます。
Groqの料金
Groqの料金体系は、前述の通り使った分だけ払う「トークン課金制」です。無料利用枠もありますが、無料枠を超えると、有料利用となります。
※なお、料金ページに載っていないモデル(特定の微調整済みモデルなど)もリクエストに応じて利用可能とのことで、その場合は個別に問い合わせる形になるようです。また大規模用途では割引なども受けられる可能性があります。まずは無料枠で試し、必要に応じてアップグレードしていくのが良いでしょう。
Groqで利用できるモデル
GroqCloudの大きな魅力の一つは、Llama 3、Gemma 2など、業界をリードする多様なオープンソースモデルをサポートしている点です。開発者は、自身の用途に最適なモデルを選択し、Groqの高速な推論エンジン上で実行できます。
利用可能なモデルの最新リストは、公式サイトのモデルページで確認できます。
本記事では、これらのモデルの中でも、2025年7月にリリースされ、特にその性能の高さから注目を集めている「Kimi K2」に焦点を当てて解説します。
Kimi K2とは?
では早速、このモデルがどのようなものか見ていきましょう。
Kimi K2は、中国企業のMoonshot AI社が開発したオープンソースの大規模言語モデルです。
その大きな特徴は、モデルの規模と高い能力にあります。
① 巨大なのに効率的なモデル
Kimi K2は、1兆パラメータを持つ巨大なモデルですが、「MoE(専門家混合)」という仕組みにより、質問に応じて一部の専門家(サブモデル)だけが応答するため、効率的に動作します。これにより、巨大なモデルでありながら処理速度を保っています。
MoE(Mixture of Experts):複数の専門家モデルの中から、質問や課題に応じて最適な一部だけを選んで使う仕組み。全部のモデルを一度に使うのではなく、必要な部分だけ動かすことで、性能を保ちながら計算を効率化可能
② 高度な推論・コーディング能力
膨大なデータで学習しており、推論やプログラミングの能力が非常に高いです。プログラミングのバグ修正能力を測るテストでは、GPT-4.1などのモデルを超える成功率を示した実績もあります。筋道を立てて考えることが得意で、複雑な問題も解決できます。
③ 外部ツール連携と長い文章の理解
Kimi K2は、テキストを生成するだけでなく、外部のツールを自動で使う能力も持っています。例えば、対話中にコマンドを実行したり、ファイルを操作したりできます。
また、一度に128kトークンという非常に長い文章を読み込んで理解できるため、大量の資料をまとめて要約させたり、長時間の会話内容を記憶させたりするのに役立ちます。
④ オープンソースでカスタマイズ可能
オープンソースなので、誰でもモデルのデータをダウンロードして利用できます。研究向けの「Kimi-K2-Base」と、対話や指示が得意な「Kimi-K2-Instruct」の2種類が公開されてます。
開発者はこれらを自由にカスタマイズ(ファインチューニング)して、自社のアプリケーションに組み込むことが可能です。
Groqの使い方(Playground)
それでは、実際にGroqを使う方法を見てみましょう。




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