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【独占取材】ロシア外務省「各国の裁量を尊重」と筆者に回答 新サイバー犯罪条約の「危機」は陰謀論

この記事では、日本で大きな議論となっている「ハノイ条約(国連新サイバー犯罪条約)」について、ロシア外務省への直接取材を通じて検証しています。
今回は多くの方に読んでいただきたく、無料で全文公開いたします。

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1:「村上春樹も禁書に」— 日本を覆う終末論的危機煽り

この数か月、日本のネット空間は「ハノイ条約(国連新サイバー犯罪条約)」を巡る異様な狂乱状態に陥っている。Twitterには「あらゆるマンガ・アニメが規制される」「日本の創作文化が壊滅する」といった終末論的な投稿が溢れ、リツイートとともに恐怖が拡散している。
 
ついには東京新聞までもが「村上春樹の小説が『禁書』に?」という見出しで危機感を煽り、ノーベル賞候補とも言われる作家の作品すら規制対象になるという極論が大手メディアでまことしやかに語られる始末だ(『東京新聞』2025年7月8日付朝刊)。
 
この記事で記者に対して「漫画やアニメだけではなく、小説も犯罪として禁止される危機が迫っている」と主張している弁護士の堀新は、ニュースサイト「弁護士.jp」にも寄稿。
その記事では、手塚治虫、竹宮恵子から大江健三郎、川端康成、村上春樹まで、日本文学の巨匠たちの作品を次々と「禁止対象」リストに列挙してみせる。

さらには上野千鶴子の学術書『発情装置』まで俎上に載せ「外国の未成年の少年の全裸写真を掲載して性的欲求の観点から論じているので、条約の定義を免れるとは言えない」と断じる。

まさに「禁書リスト」の大安売り状態になっているのだ。

2:山田太郎議員が描く危機シナリオ

この問題を大きく喧伝したのが自民党所属の参議院議員・山田太郎だ。山田によれば、2019年12月に「表現規制派のロシア・中国の主導により」新サイバー犯罪条約の策定が国連総会で可決され、当初提案された条約案には留保規定がなかったという。

2023年1月の第4回アドホック委員会では「中国等は、条約交渉の中で、マンガ・アニメを犯罪化することや、表現の自由を守るために不可欠な留保規定を削除すること等を提案してきた」とし、「日本以外留保規定を残す事を強調する国なく、厳しい状況」に陥ったという。山田は外務省と連携して留保規定の維持を働きかけ、2024年8月には自身が「NY国連本部を訪問して条約責任者に直接行った要請等により、マンガ・アニメ規制を阻止し、留保規定も死守した」としている。

山田はこの「危機」を自身の政治的基盤として活用し続けた。2025年7月20日投開票の参議院選挙では「この選挙戦は『表現の自由』を守る闘い、絶対に負けられません」と訴え、比例代表で38万1185票を獲得して3期目の当選を果たした。

選挙期間中も「舞台は、国連での条約交渉から、日本国内での締結手続に移りますが、留保規定を使わずに新サイバー犯罪条約を締結すべきという圧力が日に日に高まっています」として危機感を煽り続け、支持者の動員に成功している。

とりわけ効果を発揮したのが山田の「中露が主導している」というフレームアップだった。SNS上では、山田の主張をベースに中国とロシアを悪役とした漫画風の図解も拡散され、この見方を広めるに至った。

これは、ウクライナ侵攻以降の対ロシア感情の悪化や、台湾海峡問題・尖閣諸島問題を背景とした対中警戒感の高まりなど、西側の世界の一員としての日本で高まっている中露に対する悪感情を巧妙に利用した手法である。

これは条約問題に既存の地政学的対立の文脈に意図的に接続させることで、感情的な反発を煽ったとみてよいだろう。

3:どこにもない、海外・中露からの圧力を示す資料

しかし、これらの主張には疑問が残る。

山田は「留保規定を使わずに新サイバー犯罪条約を締結すべきという圧力が日に日に高まっています」と述べているが、一体どこで、誰からの圧力なのか。具体的な外交文書や公式声明は示されていない。
 
さらに決定的なのは「中露が主導した」とする根拠の薄弱さだ。

条約が採択された今、中国やロシアが日本に対して「留保規定を使うな」「マンガ・アニメを規制しろ」と圧力をかけている証拠はどこにあるのか。

外交文書に記載があるのか。公式会談での発言記録があるのか。国連での議事録に明記されているのか。

山田の主張によれば、中露は日本のコンテンツ産業を潰すために条約を推進したはずだが、それならば条約採択後も継続的に圧力をかけているはずである。だが、そうした働きかけの具体的証拠は一切提示されていない。

同様に、堀も「村上春樹の作品も禁書に」と警告するが、これは条文の解釈の一面を利用して個人の主張に過ぎず、外交文書や議論にそんな話がでたことはない。
 
結局のところ、国内でこの問題を論じている者の一次ソースは、山田と堀の主張か、せいぜい国連のハノイ条約原文を読んだ程度で、それ以上の関係者取材は誰も行っていない。

当事国への直接確認、外交当局者への取材、国際法専門家への検証依頼といった基本的な作業を経ずに「危機物語」だけが一人歩きしているのが現状だ。
 
そこで筆者は、この「危機物語」の真偽を確かめるため、条約提案国であるロシア外務省に直接問い合わせることにした。

4:ロシア大使館からは「本国の外務省に聞いて下さい」

今回、ロシア外務省からコメントを求めるのは困難を極めた。現状、日露関係は戦後最悪の状態であり、日本の報道機関に対するロシア政府の対応は極めて限定的になっている。
 
こうした中で、筆者は、最初在日ロシア大使館にアプローチ。そうしたところ、大使館からは「この件は大使館の所掌外であり、外務省の該当部局に直接送るべきだ」という助言を受けた。

つまり、モスクワの本省に直接コンタクトを取る必要があったのだ。大使館の担当者が教えてくれたのは、DМИБ(情報・メディア担当局)およびДИП(国際情報政策担当局)であった。

さっそく、質問項目をまとめてメールを送信したが、返事はこなかった。

そこで送信から一週間後、催促のメールを送ったところ「回答は部局の指導部で検討中である」と返信が来た。発信元はDМИБ(国際情報安全保障局)であった。

てっきり、広報担当が回答すると思っていたので、これは驚きであった。DМИБ(国際情報安全保障局)は、比較的新しい部局である。ロシア連邦議会の公式機関紙「Парламентская газета」によれば、2019年にロシア外務省が「国際情報安全保障問題を統括する新たな構造部門」として設置を提案した部局だ。

同局の任務は「国際情報安全保障分野での国家政策の実効性向上」とされ、具体的には国際機関やフォーラムでの活動統括、二国間協力、インターネット利用の国際政治的側面の監督などが含まれる。局長は「情報安全保障分野での国際協力に関する大統領特別代表」の地位を持つという。

つまり、ロシアの情報政策・サイバー政策の中核部門が対応するということは、この問題が同国にとってもいかに重要な案件として位置づけられているかを物語っている。

ここからは、単なる日本の国内政治的な憶測を超えて、条約提案国自身がこの問題を外交・安全保障政策の文脈で真剣に捉えていることが窺えた。

5:ロシア外務省・国際情報安全保障局が回答

そして、8月7日、回答を受け取った。以下が、その全文である。

情報犯罪対策への貴殿のご関心に感謝いたします。
お寄せいただいたご質問に関し、次のとおりお知らせいたします。国連サイバー犯罪条約は、国連加盟すべての国の代表団により承認され(国連総会決議79/243)、国連憲章の基本原則に基づいて作成されました。
同条約は、情報通信技術(ICT)の特性(匿名性、越境性、技術的脆弱性)を踏まえ、違法情報の拡散防止に取り組むものであり、締約国が同条約に基づく義務を履行する際における国家主権の保護を規定しています。
ロシア連邦は、ICTの犯罪的利用に対抗するための国際協力の強化を目指しています。

Отмечаем Ваш интерес к проблеме борьбы с информпреступностью.

В связи с поступившим запросом сообщаем, что Конвенция ООН против
киберпреступности одобрена делегациями всех государств-членов ООН (резолюция ГА ООН 79/243) и составлена на основополагающих принципах
Устава Организации Объединенных Наций. Учитывает специфику
информационно-коммуникационных технологий/ИКТ (анонимность,
трансграничность, технические уязвимости) в борьбе с распространением
противоправной информации, предусматривает защиту национального
суверенитета при осуществлении государствами-участниками своих
обязательств по Конвенции.

Россия нацелена на укрепление международного сотрудничества в
противодействии преступному использованию ИКТ.

一見すると、これは外交的な定型文に見えるかもしれない。
「え?これだけ?」と思う読者もいるだろう。
しかし、この簡潔な回答には、日本国内の「危機物語」を根底から覆す重大な含意が込められている。そこで、文言を一つ一つ詳細に検証してみよう。

6:公式回答の文意をどう読み解くか

最も重要なのは「締約国が同条約に基づく義務を履行する際における国家主権の保護を規定している」という文言である。これは単なる外交辞令ではない。国際法において「国家主権」とは、国内問題への外部からの干渉を排除する原則であり、各国が自国の憲法的価値観に基づいて政策を決定する権利を意味する。
 
ロシア外務省がわざわざこの文言を強調したのは、条約の運用において各国の裁量を認めるという明確なメッセージだ。つまり、日本が留保規定を活用して創作表現を犯罪化の対象から除外することを、条約提案国自身が正当な権利として認めているということである。
 
実のところ、山田は「留保規定を使わずに新サイバー犯罪条約を締結すべきという圧力が日に日に高まっている」と述べているが、当のロシアからそうした圧力をかけられている証拠はどこにもない。それどころか、国家主権の尊重を明言することで、日本の判断を尊重する姿勢を示している。
 
回答を通読すると、「情報犯罪対策」「違法情報の拡散防止」「ICTの犯罪的利用に対抗」という表現が一貫して使われている。注目すべきは、文化的表現や芸術作品への言及が皆無であることだ。

これは条約の本来の目的がサイバー犯罪対策にあることを明確に示している。ランサムウェア、不正アクセス、児童ポルノの流通といった明確な犯罪行為への対処が主眼であり、創作表現の規制は射程に入っていないことを示している。

堀が危惧する「村上春樹の作品も禁書に」「手塚治虫から大江健三郎まで規制対象」といった文学・芸術作品への脅威は、条約提案国の認識には存在しない。条約の条文解釈から最悪シナリオを導き出す堀の手法は、条約の実際の運用意図とは乖離している。

7:他国の内政に関与する条約ではない

「国連憲章の基本原則に基づいて作成された」という文言も見逃せない。国連憲章第2条は「各国の国内管轄権に属する事項への不干渉」を明記しており、これは文化政策への外部干渉を禁じる国際法の基本ルールである。

ロシアがこの原則への準拠を明言したことは、他国の文化政策に干渉する意図がないことを公式に表明したと考えられるだろう。
 
さらに「国連加盟すべての国の代表団により承認され」という表現も興味深い。これは条約がロシア・中国の一方的な押し付けではなく、国際社会全体の合意に基づくものであることを強調している。

山田は「ロシア・中国を中心とした表現規制強化派の主導により」条約が策定されたと主張しているが、ロシア側は逆に、これが全加盟国のコンセンサスであることを強調している。この認識の違いは決定的だ。
 
全体として、この回答は極めて礼儀正しく、外交的配慮に満ちている。しかし、その丁寧な文言の背後には、日本国内の「陰謀論」に対する明確な否定が込められている。

ロシアは条約の目的を「ICTの犯罪的利用への対抗」に限定し、「国家主権の保護」を前提とし「国連憲章の基本原則」への準拠を表明した。これは、日本の創作表現を国際的に規制しようとする意図が存在しないことを、可能な限り明確に表明したものと解釈できる。
 
さらに重要なのは、ロシア外務省が筆者の質問にどう答えなかったかである。筆者は質問状で、日本国内での山田らの主張を挙げ「日本のマンガやアニメが「違法コンテンツ」として国際流通から排除される可能性はあるか」「他国に対して、日本のコンテンツ規制を求める計画はあるか」といった具体的な質問を投げかけた。

しかし、回答はこれらの個別質問には一切触れず、条約の一般的な性格についてのみ言及している。これを「回答の回避」と見るのは表面的な理解だ。むしろ、ハノイ条約においてロシア政府が目指すものを明確に示しているといえるだろう。

8:ロシア政府専門家が語るハノイ条約の目的

実際、ロシア政府内部の専門家による見解を見れば、その真意はより明確になる。ロシアの外交雑誌「Международная жизнь」に掲載された論文「Первый глобальный договор против киберпреступности:
от геополитической конфронтации к профессиональному компромиссу(初のグローバルサイバー犯罪対策条約:地政学的対立から専門的妥協へ)」(2024年11月21日掲載)で、Петр Литвишко(ロシア連邦検察総長庁国際法協力総局副局長兼法的支援・法執行協力局長、検察総長上級補佐官、法学博士)は、こう説明している。
 
「我が国の主導により開始された条約の交渉プロセスは、その全過程において極めて不利な地政学的背景という重荷を負い、国際緊張のピークという状況下で何度も決裂の危機に瀕した。そこには、ネオリベラルな集団西側とその衛星国、そして世界の大多数、特にイスラム世界との文明的対立が、悪しき縮図として反映された」

Литвишkoは条約交渉について「反ロシア的声明を発する外交代表者たちが、相互尊重的あるいは少なくとも純粋に実用的な相互作用への無能力を示し、対抗措置を誘発した」と述べ、西側の対応を厳しく批判している。

さらに重要なのは、ロシア側の真の狙いについての説明だ。
論文では「発達した民主主義国家は、人権を踏みにじり情報空間で乱暴を働く無法国家と分類される者たちと、自分たち同士で『品位ある』社会内部で行うのと同じ規模・同じルールで協力することを望まない」として、既存のブダペスト条約(現行のサイバー犯罪条約)の排他性を批判している。
 
つまり、ロシアの真の関心は他国の文化政策への干渉ではなく、「デジタル主権」の確立にある。Литвишкоは「国家主権の保護を条約義務履行の前提とする」ことを繰り返し強調し、各国が自国の憲法的価値観に基づいて条約を運用する権利を主張している。

重要なのは、ロシア側が条約批准国の国内法整備について具体的な指図を想定していないことだ。論文では「締約国が義務を履行する際の国家主権の保護を規定している」と明記し、各国の裁量を前提とした枠組みとして条約を位置づけている。
 
さらに決定的なのは、文化的コンテンツが議論の射程外にあることだ。

Литвишкоは条約の目的を一貫して「ICTの犯罪的利用への対抗」「情報犯罪対策」と表現し、創作表現や文化政策への言及は皆無である。ランサムウェア、不正アクセス、児童ポルノといった明確な犯罪行為への対処が主眼であり、日本のマンガ・アニメや文学作品は当初から関心の対象外なのだ。

この論文が示すロシア政府の認識は、外務省回答と完全に一致していると考えて良いだろう。

9:真の脅威はGAFA。世界が直面するデジタル主権の課題

実際、「中露が主導している」という視野狭窄でハノイ条約を批判しているのは、もはや日本だけという状況になっている。国際社会では、むしろ別の観点から条約の意義が議論されている。

各国政府が共通して直面しているのは、Google、Meta(Facebook)、Apple、Amazon といった巨大テック企業が、検索、SNS、配信サービス、流通を独占的に担い、事実上の「道徳や文化の番人」として機能している現実だ。これらのプラットフォーム企業は、コンテンツポリシーの名の下に各国の文化的表現に介入し、時には政府の政策判断を上回る影響力を行使している。
 
特に深刻なのは、これらが民間企業かつ外国企業であることだ。アルゴリズムの透明性は確保されておらず、コンテンツ削除や配信停止の判断基準も不明確で、異議申し立ての機会も限定的である。自国の文化的表現が、本国とは異なる価値観を持つ外国の私企業によって一方的に規制される状況への危機感は、西側諸国でも急速に高まっている。
 
例えば、イギリスの「オンライン安全法」は、まさにこうした問題意識から生まれた。同法はプラットフォーム企業に対し、政府が指定する「有害コンテンツ」の削除義務を課し、違反企業には売上高の最大10%という巨額制裁金を科すことを可能にした。これは事実上、コンテンツ規制の主導権を民間企業から政府に取り戻す試みである。

ドイツでは「ネットワーク執行法」によりSNSに対して透明性を要求している。また、フランスでは、Netflixなど大手有料動画配信事業者に対しフランス及び、ヨーロッパでのコンテンツ制作にフランス国内での年間売り上げの少なくとも20%を投資することを義務づけている。
 
もはや、インターネットやコンテンツにおける国家の介入を例外なく悪とするのは古い見方になっている。

従来の「言論・表現の自由 vs 国家権力」という対立図式は過去のものとなり、新たなパラダイムが生まれている。それは「国家が自国内の言論・表現の自由を確保するために、越境するテック企業と対立する」という構図だ。
 
つまり、政府は表現を規制するのではなく、表現の自由を外国企業の恣意的判断から守るために介入しているのである。自国民の文化的表現が、透明性のない外国アルゴリズムによって一方的に削除・制限される状況こそが、真の「表現の自由への脅威」として認識されるようになった。
 
この文脈で見れば、ハノイ条約の「国家主権の保護」条項は、決して表現規制を強化するものではない。むしろ、各国が自国の憲法的価値観に基づいて、デジタル空間における表現の自由を確保するための手段なのだ。
 
さらに言えば、日本のマンガやアニメ、ゲームが山田や堀の言うような危惧にさらされないためには、むしろハノイ条約を批准して、デジタル主権を背景に海外からの批判に「内政干渉である」と対抗することであろう。
 
山田や堀の「危機物語」は、この現実を完全に逆転させている。真の脅威から目を逸らし、存在しない敵と戦うことで、日本の文化的表現を本当に守るべき戦いから遠ざけているのである。

10:なぜ日本だけが「存在しない敵」と戦っているのか

では、なぜ日本だけがこうした現実認識に至っていないのか。
大きな理由は、旧来の「表現の自由 vs 国家権力」というパラダイムから脱却できていないことである。これまで日本では、マンガやアニメ表現に対する規制は、常に国家や行政が道徳的背景から主張し、そこに「海外では認められない」「国際的に批判されている」といった外圧論を合体させるものであった。
東京都青少年健全育成条例改正問題、児童ポルノ法改正論議、オリンピック・パラリンピックを前にした「浄化」キャンペーンなどは、いずれも政府・自治体が規制主体となり、国際的な批判を根拠として規制の正当性を主張するパターンだった。
 
こうした長年の経験が、創作者やファンの認識を固定化させている。「規制の主体=政府」「規制の根拠=海外からの圧力」「対抗手段=政府への抵抗」という構図が、ほぼ自動的な反応として定着してしまっている。
 
ここに現在の政治的状況による、西側の物語、すなわり中露を無条件で悪とする感情的反応が加わることで、思考を完全に停止させている。ロシアが提案した条約であるというだけで内容を検討することなく拒絶反応を示し、実際の脅威がどこから来ているのかを冷静に分析する能力を失っているのだ。
 
「ハノイ条約(国連新サイバー犯罪条約)」に対する理解は、いかに「危機物語」から脱却するかにかかっている。

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