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2013年1月30日 (水)

日本酒マニアに必読の本を見つけました。

日本酒が好きになってブログを書き始めてもう6年がたち色々勉強しましたが、蔵などに行って説明を受けて、わかったふりをしているものの、完全に理解しているとは言えない自分がいましたので、市販されている本で酒の造り方やその技術の変遷を書いた本が何かないかと探していたのですが、今まで是という本は見つかりませんでした。

今年になって、Amazonで調べていて出てきた本が 堀江修二著の「日本酒のきた道、歴史からみたの本酒変遷」今井出版(2012年6月初版) という本です。B5判で354ページ、定価2625円税込で、この種類の本にしては高額でしたが、思い切って買ってみました。今まで色々購入したものの、満足のいく本はありませんでしたので、僕としてはチョットした賭けでした。

ところが2日後に届いた本を読んでみて驚きました。製造技術についてはやや軽く書いてありましたが、日本酒の造りの歴史については、凄く詳しい内容でした。未だ全部は読み終えていませんが、あまりにも感動したので、早々とブログで紹介することにしました。

それがこの本です。

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本の目次を簡単に紹介します。

Ⅰ.酒の基礎知識
 1.酒とは
 2.日本酒の製造と製造のあらまし
 3.酒米の歴史

Ⅱ.日本酒のルーツを求めて
 1.日本酒のきた道①縄文の酒
 2.日本酒のきた道②弥生の酒
 3.日本酒のきた道③神話と祭りの酒
 4.麹のきた道
 5.酒母のきた道

Ⅲ.中国と朝鮮の酒造りの歴史
 1.中国の酒造り
 2.朝鮮の酒造り

Ⅳ.日本酒の歴史をたどる
 1.奈良へ平安の酒
 2.鎌倉時代の酒
 3.室町・安土桃山時代の酒
 4.江戸の酒
 5.明治の酒
 6.大正・昭和・平成の酒造り

Ⅴ.杜氏さんたちとの出会い
1.OH式二重蒸気槽の開発について
2.井戸水のマンガンの除去
3.白米の不思議
4.不思議な電気分解水の性質
5.袋吊の事始め

凄い内容ですね。日本酒のルーツや歴史および中国の酒造りの部分が占めている割合が多いですが、これは堀江さんが長い間研究調査してきた集大成の結果だそうです。単なる日本酒の製造の歴史だけでなく、酒造りの専門家としての専門性の高い内容まで含まれています。これだけのものを書くには、凄い調査がいると思いますが、堀江さんてどんな人なのでしょうか。

わかりやすい記事を見つけましたのでそのURLをご紹介します。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20121014-OYT8T00328.htm

本当はこの記事から抜粋すればもっと判り易くまとめられるのですが、読売は記事の転載や写真の転載を許可していないので、URLを見ていただきます。堀江さんの写真も載っています

堀江さんは島根県立出雲産業高を卒業後県の工業試験所で(今は島根県産業技術センター)に勤務され、永年日本酒や農水産加工物を研究され、ご退職後は酒造技術の研究や指導をされている現在76歳の現役の技術屋さんです

堀江さんが日本酒の道に入ったのは19歳の時ですが、本格的に日本酒の歴史に関心を持ったのは30歳ごろの時だそうで、その時から地道に勉強し、その作り方でお酒を実際に造って勉強したそうです。だからとても奥が深い内容になったのです。もちろん酒造製造技術者としての経験も豊富で、自分の酒造製造技術者としての人生の集大成にしたいとして造った本だそうです。

ですから読みでがあります。僕はざっと読んだだけですから、まだまだ理解できていないところが多いのですが、その中でも今まで知らなくて、そうなんだと感心したことがありましたので、そこだけをチョットご紹介します。

1.日本酒の火入れについて

  Wikipediaの中で、火入れの技法は、の室町時代に書かれた醸造技術書『御酒之日記』にもすでに記載され、平安時代後期から畿内を中心に行われていたことが分かると書いてあり、そんな前からこんな技術を日本人はパスツールの500年以上前に使われていたとは凄いことだなと信じていたのですが、この本では中国の北宋時代の1120年の北山酒経の酒の中で、煮酒が火入れであることが記されており、これが日本に伝わったらしいと書いていあります。そうか中国の方が先だったのかというのは納得です。

中国の酒は小麦粉をベースにした酒ですが、造り方は日本酒と共通したところがあり、中国からの技術導入であってもおかしくありません。もちろん日本酒はその後独自に新しい形に進化してできたことは間違いありません。

2.泡あり酵母と泡なし酵母について

 泡なし酵母は昭和38年に島根県の簸上酒造の蔵で全く泡の出ないもろみができて、これを造醸造試験所に持ち込んだのをきっかけに、泡なし酵母の研究が始まったそうです。泡が出ないのは発酵で発生した炭酸ガスの気泡が酵母表面に吸着しない性質があるからだということがわかったそうです。協会酵母には新政の6号酵母とか真澄の7号酵母など色々あることは知っていましたが、これらの酵母には泡あり酵母と泡なし酵母があり、泡なし酵母の方が扱いやすいので、今ではそれが標準となっていて、601号とか701号というように酵母の後に01の番号を付けているそうです。知らなかったな・・・・・ これは常識ですかね。

3.袋吊り絞り

 最近は高級な大吟醸などの清酒は袋吊りがあたりまえとなっていますが、これが堀江さんが初めて行った方法だなんて知りませんでした。この方法は今から約50年前に考え付いたものだそうです。当時の搾りはほとんど槽でしたが、大吟醸のようなもろみの数量が少ないものを大きな槽で搾ると、タイミングを間違えると異臭がついたり、味が重くなったりして良い酒ができないという、現場の杜氏の声を聞いて小型の袋で搾ることを思いついたそうです

今では当たり前なことですが、当時は画期的なことだったのですね。これにより各種の鑑評会で良い成績をおさめられたとのことでした。現場の悩みを聞いて技術開発をしている堀江さんの心意気がわかります。

4.OH式二重蒸気槽の開発

 昭和46年秋にある蔵の杜氏が酒造りに失敗して持ち込んできた問題を解決することで生まれた蒸米機のようです。当時は省エネや省力化で各蔵が積極的にボイラーを導入した時ですが、ボイラーの蒸気を直接蒸し用の蒸気として使うと蒸気に含まれる清缶剤や鉄分のためお酒の品質を悪くすることがあったため、独自に間接蒸米機を作ったことによって、蒸が悪くなったためとわかったそうです。

和釜は昔から使われていた蒸米機ですが、和釜は下記のような構造をしていますが、理想的な蒸米用蒸気発生システムだったそうです

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それは蒸し開始時と蒸し終了時には水面のレベルが大きく違うことにあるようです。和釜は吹き始めは湿り蒸気が発生し、米をしっとり蒸すことができるのですが、釜の水が蒸発すると水面が下がり、発生した蒸気が釜の壁面で加熱され水分の少ない乾き蒸気に変わるので、これにより蒸の最後になると蒸米の表面の水分が取り除かれるようなメカニズムになっているそうです。知らなかった・・・・・・・

堀江さんはボイラーを使って間接的に蒸気を発生させ、しかも後期には乾き蒸気を発生させる装置を設計し完成させたそうです。これを発注した日本海酒造の岡田杜氏のOと自分の名前の堀江のHを取ってOH式二重蒸気槽と名付けたそうです。今でもヒット商品だそうです。ここでも現場に密着して考案する堀江さんの姿が見えますね。

僕はまだまだこの本を熟読していませんが、これからしっかり勉強しようと思っています。皆さんも読んでみませんか。

もうひとつ皆さんに紹介したい本があります。その本は副島顕子著の「酒米ハンドブック」文一総合出版の本です。この本は2011年7月に出版されていますが、全国で使われてきた酒米を約150種類写真付きで紹介した本です。とてもわかりやすいので、手元に置いていおく本としてとても良いと思います。価格は1470円と買いやすい価格になっています

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著者の副島さんはどんな人なのでしょうか、インターネットで調べてみました。副島さんは大阪府立大学理学部卒で、植物系統計分類学が専門で、種分化や生物地理を研究しているそうで、趣味として利き酒師で日本酒指導師範(こんなのあったっけ)をしているそうで、それから日本酒の酒米の種に興味があったのでしょうね

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写真入りでとてもわかり易い本です。お米の写真、名前の由来、系譜図、育成地、生産地等が書かれています。勉強になります。

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コメント

私の本を高く評価、紹介していただき本当に心から感謝しています。私はこれまで共著はだいぶありますが、一人で書いたのは初めてです。一人での出版は誤字脱字などがないかなど本当に不安です。
このように評価していただくと著者として大変うれしいことです。本には難解のところがあると思いますが、わからないところがありましたらメールをください、知りえた範囲で解答できると思います。なお、この本は昔の文献から当時の酒を復元して初めて書くことができた本だと私は思っています。

堀江様 僕のブログを見ていただいてありがとうございます。僕はもう70歳になりましたが、日本酒が好きで、いまでも色々な蔵めぐりをしています。

確かに最近は色々な技術が広まって、良いお酒が作れるようになったのは確かですが、その時感じるのが昔はどんなふうにして、酒を作ったのだろうかと思っていました。

その中で見つけたのが堀江さんの本でした。またいろいろ読みなおしてみて、わからなことがありましたら、教えてください。

ありがとうございました。

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