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173日目 基礎魔法陣製図:立体魔法陣の展開図

173日目


 ギルの拳から笑い声が。試しに人形をかぶせたらすごくいい感じに人形が笑う。二人で人形師のトップを取ろうと熱い約束を交わした。


 ギルの拳に人形をかぶせたまま食堂へ。ひとりでにケタケタ笑っているように見える人形に誰もが驚き、杖を抜いて警戒心をあらわにする。俺も裏声&腹話術で『ジャガイモダイスキジャッキーッテヨンデネ!』とギルの手の動きに合わせて演技しておいた。


 なお、俺の演技は『限りなく不気味でアンバランス』とバルトラムイスのシャンテちゃんにボロクソに言われてしまった。『パパとみた人形劇はもっと自然な感じ。リアリティはあるけどそれだけ。心がこもっていない』とのこと。シャンテちゃんの人形へのこだわりに驚きを隠せない。


 なお、ジャッキーを右手に宿したギルは今日も『うめえうめえ!』とジャガイモを喰っていた。ギルがジャガイモを喰う度に笑い声が狂気を帯びだしてきて超怖い。ちゃっぴぃなんて泣いて俺に抱き付いてきてた。どうせならロザリィちゃんに抱き付かれたかった。


 さて、今日の授業はキート先生の基礎魔法陣製図。授業が始まる前に、例の落書きを確認したところ、




『一番下の人、ありがとうございます。クラスは秘密ですが俺は一年です。ロザリィちゃんとナターシャさんは見たことあります。ロリコンは滅ぶべき。シエナちゃんについて詳しく』


『俺も↑とほぼ同じ。ライラって子はしらね。ロザリィってのは知ってるが、あの子のクラスとまわりにいるやつが気に食わねえ。ここでいうべきじゃないと思うが俺の正直な意見。悪意はない。ロリコンは滅べ。シエナちゃんについて頼む。下サンクス』


『お前らバカか? なんでメルティについて聞かないんだ? 可哀想にもほどがある。きっと真に素晴らしいものをみたことないんだろ? ロザリィちゃんは知ってる。結構有名だよな。主にあの子の周りが。あと一番下のやつありがとう。それと俺は妹が好きなだけで、あと妹に似ている子が好きってだけの、いたって普通。ロリコンじゃない。シエナちゃんについてしくよろ!』


『えっマジロザリィって子知らないの俺だけ? つーかロリコン以外後輩かよ。あ、今から俺はエルな。お前らも適当に短く名乗れ。ロリコンはそのままでいい。自己紹介が終わったらシエナちゃんについて教えてやる。だからロザリィ&ライラちゃんとナターシャさんについて頼む。スペース使ってスマン』




 ……と書かれていた。上二人が俺と同じ一年なのはいいとして、ルマルマと周りにいるやつが気に食わないってどういうことだ? ちょっと理解に苦しむんだけど。あ、もしかして毎朝食堂でギルの筋肉を見せつけられるからだろうか?


 とりあえず、



『僕はルギとでも名乗りましょう。ロザリィちゃんの素晴らしさを書くには余白が足りません。最高です。あと、ロリコンさんはほどほどにしとかないと妹さんに嫌われちゃいますよ?』




 とだけ書いておいた。来週の返事が今から楽しみである。


 さて、早速授業が始まる……前に今回の課題の提出と前回の課題の返却があった。次々に名前が呼ばれていく中、実にその八割ほどの人間が無残にも『再提出です』と言われ、絶望にうなだれていた。


 『初めてということもあるでしょうが、線の太さが変わっていたり、はみ出したりしているのが多すぎます。少しくらいいいや、という魂胆がまるわかりです。少なくとも、製図法以外ではケチの付けようのないものが最低ラインです。君たちは物事を甘く見過ぎています』とキート先生がちょっと真面目に話していた。


 ポポルに至っては『クッキーの食べかすくらい払っておきましょうよ……』と呆れられていた。あいつ、図面の上でクッキーを食べていたらしい。ちょっとどうなってんだろうか。


 もちろん、俺とギルは問題なし。宿屋の仕事でも手を抜いていいものなど何一つとしてなかったし、それくらいは言わなくてもやる癖がついてしまっている。


 んで、今週の課題の説明。もうここに書くのは面倒だからだいぶはしょるけど、教科書にある立体魔法陣の展開図を描いてこいってやつ。あと、逆に展開図から立体魔法陣の図面を描いてこいってやつもあった。


 前回より課題数そのものは少なかったものの、単純に作業難度が増えているので時間はかなりかかりそう。キート先生が図面の説明や描き方のヒントをくれたけど、それにしたって説明が不親切すぎる。


 『もっとわかりやすくお願いします!』ってクーラスが抗議したら、『こういうの、言葉で説明するのってすごく難しいんです。教科書を自分で何度も読み直し、自分なりのやり方を見つけられるようにしましょう』ってキート先生が死んだように笑っていた。


 しかも『君たちもつらいでしょうが、私はその君たちが描いた図面を一人で全部チェックしなきゃいけないんですよ……』と明らかにヤバそげな声。


 よく考えたら、キート先生ってルマルマ、アエルノチュッチュ、ティキータ・ティキータ、バルトラムイスの全員の製図を一週間以内にチェックしたうえで、ほかの仕事もやらなくちゃいけないわけだ。ブラックってレベルじゃねーぞ。


 これにはクーラスも同情を隠せなかったらしく、無言で自分のおやつのクッキーを渡していた。俺、あいつのこういうところは見習うべきだと思う。


 午後のフリータイムは課題を進める。最近、フリータイムのはずなのに全然フリーじゃなくてつらい。でも、ロザリィちゃんが俺の脇腹をつんつんしながら『お・し・え・て・♪』ってやってくれて超うれしかった。幸せすぎて鼻血でそう。


 あと、そんなロザリィちゃんを真似したのか、エッグ婦人とヒナたちがフィルラドの脇腹をくちばしで執拗につつきまくっていた。残像すら出るレベルだった。フィルラドは泣いていた。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。ギルは今回も俺の動きをコピーして課題を進めていた。拳がケタケタ笑いながら線を引くものだから気になってしょうがない。さっき寝る前に『今朝の約束はなかったことで』と通達しておいた。


 ギルはいつものように大きなイビキをかいている。アホ面の割に歯並びだけはすごくきれい。なんかイラッとする。


 今日はリチャードスペシャル一号とベンジャミングレート二号を混合したものを鼻に詰めてみた。フガフガ言ってるけど、たぶん明日には元に戻ってるんだろう。ギルじゃなきゃとても出来ない芸当だ。

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