「あー、聞こえてる?」
「あ、ああ、いつも通り良好だよ」
彼女が自身は星核ハンターだとカミングアウトした次の日、まさかとは思っていたが、いつも通り何のゲームをするかと問うメッセージが彼女から届き、あちらに選択権を委ねたのちに指定されたゲームを開くと、銀狼は何食わぬ顔──実際には顔は見えていないが、声だけで想像が出来る──でいつも通りボイスチャットを始めた。
初めは表面上いつも通りにゲームを進めていたが、少しすると彼女はこちらの様子に違和感を覚えたらしい。
「ねぇ、今日はなんか固くない?どうしたの?」
お前のせいだよ、と言えない俺はなんとか言い訳を探す。
「あーその、同僚と軽く揉めてな、少し頭をよぎるんだよ」
「へぇ?仕事熱心なのはいいことだけど、遊ぶ時は全部忘れて遊んだら?宇宙ステーション「ヘルタ」機関メンテナンス係のレインさん?」
「─────っ!?なっ、はっ?お前……、ハッキングはしないって……」
「うん、言ったね」
「ならなんで知って……」
「これは約束するよりも前にもらったデータだから」
「ズルっ!?」
「ズルじゃなくて頭脳プレイって言って。一応言うけど、これ以上は本当に詮索しないし利用もしないつもりだから」
彼女の言葉に安心するべきか現時点で知られている情報を憂うべきかと戸惑うレイン。
その時、銀狼が突然
「そう言えばこれも調べてたんだけど……レインって有休消化率が良くないみたいだね」
「してんじゃん、それ以上の詮索」
「そこは気にしないで。……それでさ、今度有給一気に使って仙舟羅浮に来てよ」
「……は?」
「今度、そのあたりで動く予定だから。エンカしよう」
銀狼の突然の言葉に、レインは大きくため息を吐いた。
「どうしたの?有給は正当な権利なんだから、使えるうちに使いなよ」
「……あんたらが動くってことは、仙舟そのものがめっちゃ危ないってことだろ?」
「そこは安心して、私が安全圏まで案内するから。ほら、これで断る理由はないでしょ?会おう」
「なんでそんなに会いたいんだ」
「だって……友達でしょ?」
レインは抗議しようとしたが、どこから始めていいのかわからずため息を吐くしかなかった。
すると、沈黙を肯定と見做したのか
「よし、それじゃああなたの代わりにオンラインで休暇を申請しておいてあげる。それと、仙舟までの移動手段も用意してあるからその詳細をあとでメールで送るね。しっかり確認して、絶対会いに来て!」
銀狼は高めのテンションで一方的にそれを言い渡すと、そのまま通話が終了した。
残されたレインは、一人で今後のことを考えてため息を吐くのであった。